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SWITCH VOL.33 ジャズ+タモリ=ジャズタモリ

SWITCH Vol.33 No.5  ジャズタモリ TAMORI MY FAVORITE THINGS

タモリは謎の人だ。世界のエンターテインメントに輝く唯一無二・絶対無比の才能を持つ喜劇人として、長くテレビの世界を中心に活躍しているにもかかわらずアウトローの世界に踏みとどまっている。タモリは自由。タモリの品質にジャズの精神を重ね一冊の特集として問うていく



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「人は向上心なんか持つとロクなことがない」「ジャズも向上心を持ったらダメだな」「コルトレーンも向上心さえ持たなければなぁ(笑)」などと二人は楽しそうに私のそばで話していて、私はその場の気体を共有しているだけで溶けるようである。

「あの日のベイシーの音楽」能町みね子

いいとも!をやっていたころは金曜の夜に岩手県一関まで向かい、タモリがジャズに浸ったという名店ベイシー。
そのベイシーのマスターであり、タモリとは大学時代からの旧知の関係である菅原正二とのジャズ談義を中心とした「タモリとジャズ」の特集ジャズタモリ。

「ヨルタモリ」で共演する能町がコラムを寄せ、糸井重里がジャズとタモリについて語り、
渡辺貞夫、菊地成孔とジャズについて答えているのが前パート。


そしてタモリとテレビに関しての後パート。
タモリに「今のテレビに必要なこと」を聞くロングインタビュー。
笑福亭鶴瓶、みうらじゅん、宮沢りえが語るタモリ。

タモリが現在放送している「ヨルタモリ」についてこう語っている。

「(最近のテレビに関して)こうすればいいのに」という思いはずっとありまして、いまはそれをちょっと「ヨルタモリ」は試してるんです。まず、一切番宣をしない。
(中略)
それから、スタジオの笑いは極力抑えて、トークの時の笑いは一切なし。これはあたらしい発見があったんですけど、トークのBGMをなくすと一般の方でも編集点がわかるらしく、まったくのゼロではなく極力抑えることにしています。
内容に関しても、全部嘘だらけ。本当のものはビールだけ(笑)。いままでバラエティ番組で「これは違うな」と思っていたことをスタッフと相談しながら全部取っ払ってみてるんです。
やっぱり従来のことを踏襲して、それを伝統と思っていてはダメなんでしょうね。

あの番組は他のトーク番組と比較してもかなり異色。
素のタモリは一切登場せず、終始コントの世界にもかかわらずゲストや女将の宮沢りえは本人役で、タモリは作中作の番組に登場するキャラとスタジオの客との二役をこなすトーク番組であり、コント番組。
かなり特殊だからこそマニア受けはいいものの、一般ウケはあまりしている印象はない。

テレビで見せるタレント”タモリ”の顔と、趣味人でありジャズに傾倒する”タモリ”の顔は異なる。
昔はもっと音楽人としての側面を強く見せていたけど、最近はヨルタモリのなんちゃってワールドミュージックコントくらいでしか見かけない(後はタモリ倶楽部)。


この特集ではそんなジャズとタモリという両面をどちらとも網羅しようとする試み。
前半でタモリは多くを語らずひたすら趣味人としてジャズを楽しみジャズを感じる様子が描かれ、後半ではテレビを語る。
鶴瓶が「タモリがテレビの師匠だ」と語るインタビューも面白いし、ジャズというよくわからないものの輪郭の雰囲気を楽しむための入り口としてもいい。
前半も後半も非常に読み応えがある。

とりあえずタモリがベイシーで聞いたという19枚のジャズのレコードリストを見ながら、ひとつひとつ味わって見るのもいいかもしれない。

SWITCH Vol.33 No.5  ジャズタモリ TAMORI MY FAVORITE THINGS