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男か女かそれが問題 映画「ハイヒールの男」

ハイヒールの男 [DVD]

韓国No.1の個性派俳優、チャ・スンウォン主演によるクライムアクション。犯罪組織からも恐れられる脅威の戦闘能力と暴力性、そして完璧な肉体と容姿を兼ね備えた刑事、ユン・ジウク。しかし、そんな彼にも人に言えない秘密がひとつだけあった。



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1980年代「噂の刑事トミーとマツ」というドラマがあった。
男っぽいガサツな刑事マツ(松崎しげる)は危機に陥ると相棒のナヨナヨした刑事トミー(国広富之)に「男女のトミコー!」と叫ぶ。
するとトミーのトラウマが喚起され、バトルモードが立ち上がり、得意のカンフーで大暴れ、悪党を退治する、という今だと某団体から大クレームが起きそうな、他人の性的トラウマを刺激して二重人格を操るという刑事ドラマがあった。


この映画の主人公ユンは男が惚れる男。
強くストイックで寡黙。
しかし実際は昔から性同一性障害に悩み、女性性を否定するために軍隊に入り、刑事になった経歴の持ち主。

まずアクション。
ユンを演じるチャ・スンウォンの手足が長く、すらっとしたルックスは非常にアクション映えがして、ゴツさよりも優雅さというか、バレエのような動きでヤクザ者を次々倒していく。
スラリとした手足の長さがとても見栄えするアクションはフィクション的とはいえ流麗。
冒頭の何人ものヤクザを相手に素手で、刃物を手に左右から襲いかかる連中を圧倒する。
ここで男らしさとか、強さを強調するからあえて表現を誇張している。

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そして刑事を辞め、女性として生きようと決意するところでは急に動きがなでやかになる。
少しの仕草に女性っぽい演出が散見する。

同一性障害に悩むユンは不眠症に陥っており、運転中意識を失い、交通事故を起こす。
そのまま病院に運ばれるんだけれど、そこでユンを尊敬する後輩刑事に腕を見られてしまう。
そこには幾つもの注射の跡が。
後輩は「(ドラッグをやっていることは)内緒にしておきます。何も見ていません」と言うんだけれど、実際には女性ホルモンを打った痕。
だけれど、それを言えない。
そういう葛藤がある。
男性的な外見で男性的な仕事につき、周囲からも男らしい男という視点で見られている。
しかし実際は昔から女性に憧れ女性になりたいと思い続けてきた。

そんなユンにイ・ソム演じる女性は気を寄せていて、でもその思いは叶わない。
ユンの好きな男性は遥か昔の幼なじみ。
でもそれを言うこともなく、モヤモヤしたままどう展開させんのかと見ていたら……。


コメディに転びそうなシーンはあるが、全体としてのメインのトーンは悲しさ。
そしてクライマックス。
現実世界での男性としての要求と自分の中での女性への渇望とで決着をつける。

アクション映画としても面白いし、シリアスなドラマとしてもよくできてる。
かなりオススメできる一本。
ハイヒールの男 - YouTube