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美女の死とロクでなしの男たち「悪魔の倫理学」

悪魔の倫理学 [DVD]

イケメン俳優:イ・ジェフンや実力派女優:ムン・ソリなど、豪華キャストが競演!偽善の警察官、残忍な闇金業者、傲慢な教授、狂気のストーカー、下衆男たちの運命を描いた、韓国サスペンスが登場。とあるマンションの一室で、美しい女子大生ジナが殺害された。隣の部屋に住む警察官のジョンフンは、ジナに思いを寄せるが余り、彼女の部屋を日々盗撮していたのだった…。



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複数箇所で同時進行に物語が進行し絡み合う〜グランドホテル形式を使ったサスペンス。

警官であるキム・ジョンフンは、女子大生キム・ジナの部屋に盗聴器とカメラを仕込み記録しているストーカー。
あるとき、元彼であるハン・ヒョンスがジナを殺害。
キム・ジョンフンは一部始終を目撃するが、ストーカーの事実があるために表に出すわけにはいかない。

しかしジナ殺害で逮捕されたのは不倫関係にあった大学教授のキム・ステク。
やがてハン・ヒョンスは盗聴器に気づきそれがキムジョンフンの仕業であると気づく……。


といった具合。
一人の女性の殺人事件をきっかけに、そのストーカー、元恋人で殺人犯、不倫関係の恋人、そして借金取りまで現れて入り乱れる。
それぞれの場面が電話を介して繋がり切り替わる。
そこで物語の多重感が生まれる。

遠く離れた場所から、見ず知らずの声しか聞こえない状況で会話をする。
どんな表情なのか、何が起きているのかは相手には見えない。
そこに映画的な仕掛けが仕組まれてる。

冒頭、通りを歩くジナを煽り気味で(しかもタイトな衣装を着せセクシーに)撮り、そこへ電話がかかってくる。
写真スタジオに引き入れそこで撮影が開始される。
終盤、これと反転の状況になる合わせ鏡の構造。


作中、こういう話が出てくる。

その昔、気遣いや気配りを司る神がいた。神の名はクーラ。
(中略)
ある日、クーラは人間を作ろうと考えた。だが材料がない。そこで大地の神に土をもらい人間の形を作った。
次にゼウスのもとへ行き魂を吹き込んでもらった。
そうして人間が誕生したわけだ。
神にとって人間の行動は面白いやら可愛いやら。そこで三人の神たちは人間の所有権を争いだした。
”自分のものだ”と。
そして法廷で決着をつけることにした。
(中略)
さて、どんな判決が下されたか。
1つ、人間が死んだらその肉体は大地の神のものとする。だから死ぬと土に埋めるんだ。
2つ、死後の魂はゼウスのものとする。当然だな。
判決を聞いたクーラは怒った。”人間を考えたのは自分なのに不公平だ”
そこで裁判の神はこう言った。”クーラよ、お前は人間が生きている間、彼らを所有しなさい”と。
だから人間は生きてる間は心配事が尽きないんだ。

この幾筋もの人の思いに歪み絡んだ物語は最終的にこの話と同じく裁判によって決まる。
一人の女性の死を中心にぐるぐる踊る男の自分勝手な情欲と執念。


タランティーノでいうと「レザボアドッグス」くらいの絡みっぷり。
盗聴してる隣人、ストーカーしてる元彼、不倫してる大学教授、金のために無理やり働かせる金貸し。
誰も彼も自分勝手、まともな登場人物が、一人もいなくて面白い。
ロクでもない。


悪魔の倫理学 - YouTube