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ベタでチャーミングなラブコメ映画「僕の妻のすべて」

映画

僕の妻のすべて [DVD]

電撃愛を実らせ結婚した夫ドゥヒョンと妻ジョンイン。7年後、妻の“本性"にウンザリし離婚願望を募らせた夫は、“伝説のカサノバ"ソンギに妻を誘惑してほしいと懇願する。人生最後の大仕事と決めたカサノバは、彼女との偽りの愛に思いがけず本気スイッチが入ってしまい、二人のラブラブな姿になぜか嫉妬した夫と決闘にもつれ込んでいく……!?



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王道ラブコメ

菊地成孔氏絶賛のラブコメ「僕の妻のすべて」を観終わりまして。
いわゆるひと昔前の王道ですね、オーソドックスなやつ。

今を去ること2年前、2012年の韓国映画で…2012年というのはマーヴェルの「アヴェンジャーズ」が公開された年です。世界各国で「アヴェンジャーズ」1位になりました。この年の韓国の1位は「アヴェンジャーズ」ではなく、「アヴェンジャーズ」は2位に甘んじたんですね。この年、韓国で1位になった映画は、「僕の妻のすべて」というラブコメディです。ほんっとに素晴らしいラブコメディですね。
 
韓国映画の中でも、アメリカナイズされた…もうほんとに何て言ったらいいのかな…例えば日本で三谷幸喜さんがね、ビリー・ワイルダーが好きでアメリカ調のコメディをやる…トライなさる、というようなこともありますけども、あんなもの…(笑)、「あんなもの」って言っちゃいけませんね、しまった〜!(笑)…ああしたもののですね、何兆倍ぐらいいいですよ。これ是非観ていただきたい。

http://d.hatena.ne.jp/djapon/touch/20141025

ウチはラブコメが結構好きでして、とはいえ最近のはあまり観てないんですよ。
80年代、アメリカ謹製のラブコメですね。
以前書いた好きな映画リストの記事でもラブコメは三つも入れてる。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

「僕の妻のすべて」は、そんな古きよきラブコメ好きの琴線に触れる作品でして。


家に帰ればずっと愚痴ばかりの妻と何とかして別れたい夫はカサノバ...日本なら石田純一だと思うんですが、そういう「不思議な力で女を落とす」パワーを持つ男に妻を誘惑するように頼むんだけれど...といった感じでして、これは吉本新喜劇みたいなベタなシナリオの話なんですが、かなりの欠点がありましてですね。この話って妻と別れたい理由が毒舌とか押しの強さなんですが、残念ながら妻を演じるイム・スジョン、「サイボーグでも大丈夫」で自分をサイボーグだと思ってる少女を演じていた女優さんでして、彼女がかなりチャーミングなんですよ。
料理は上手いし可愛いし、トイレまでついてくるのはちょっとアレですがそれ以外は問題ない。

もっと嫌な妻なら夫に感情移入するんでしょうが、まったく納得できない。
いや、別れるならもらいますよ。

代役を立てるならペ・ドゥナにしたい感じの役柄。
80年代のハリウッドならゴールディー・ホーン。
今の日本でドラマ化するなら上野 樹里が妻、旦那が森山 未來。
カサノバ役は斎藤 工か稲垣 五郎。


サイボーグでも大丈夫(プレビュー) - YouTube

妻がチャーミングすぎて、旦那が別れたいというのが贅沢といいますか、つまり、まぁ、そういう辺りも魅力と受け取れないくらいに冷めている関係ということなのかもしれませんが、ほんとイム・スジョンはチャーミングでして、この妻と別れたいなら大概の女性はダメじゃね?という感じなんですね。

自立する妻

この映画、変化点はカサノバへの依頼より実はラジオのDJ役を引き受けたことで、これにより自分が社会へ出る、そして自分の力で生きていけることを知ってしまった専業主婦が自立することを知る女性の映画でもあるんですよ。
愚痴は、専業主婦として家にいるからこそ無意識に起きていて、それを外に向けてDJとして発散すればあとはチャーミングなひとりの女性である妻が残り、だから旦那は昔のように惚れ直し、しかし妻にカサノバをけしかけ離婚しようとしていたのに……という矛盾が起きる。

カサノバ役のリュ・スンリョンは「ポイントブランク 標的にされた男」で元傭兵役をやってた方でして、シリアスな芝居もできますが、こういう何かあるたびに自殺しようとする芥川で、おバカなイケメン役もできていいですね。
マッチョさを見せつけるのに真冬にタンクトップでミルク缶を肩に担ぐのは魅力的というより変質者っぽいですが。

憧れの日本と地震

地震がポイントになるんですが、吊り橋理論で二人は恋に落ちて結婚し、安定した日常の中で冷める。
そしてそんな安定した二人の関係が崩れる、そのときに再度地震が起きる。
この地震は、夫婦の関係性の暗喩として機能してる。

この映画における日本という国は、二人にとってモラトリアム的な憧れの異郷として扱われ、過去の、惹かれあう二人の象徴でもある。
二人が初めて出会い、愛を育てた運命の場所、楽しかった思い出の象徴。
だから愛を再確認したいときは日本語で話そうとする(ぎこちないのは御愛嬌)。
反日だなんだってのは大きく取り上げるのに、こういう「憧れのステキな国 日本」みたいな扱われ方にはまったく触れられないってのもなんだかなぁという感じですね。

こういうラブコメは、いいバランスのがなかなかない。
菊地氏の言うように80年代のアメリカのラブコメ好きな人なら間違いない作品。


映画『僕の妻のすべて』『恋は命がけ』『ヨンガシ 変種増殖』予告編 - YouTube