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予告に見る日本と海外の「恐怖演出」差

映画

ホラー映画の予告編を見るといろいろ面白い。
ざっくり古い順に見ていきたいと思います。




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海外編

1958年ハマープロの「吸血鬼ドラキュラ」
軋む扉、煽り立てるような音楽とナレーション。
そして美女の叫び、などなどのクラシックな道具立て。
これが当時における恐怖の演出。
昔はこういう映画を深夜にテレビでやってて観はじめて眠れなくなる(怖いのではなく)なんてありましたっけ。


そしてロメロの偉大なる1968年「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」ですね。
予告を見ると面白いんですが非常にクラシックなんですよね、演出やナレーションはハマープロの時代を思わせる。
扱っているのがゾンビですから近代感を感じる。


1977年、ダリオ・アルジェントの名作「サスペリア」
ゴブリンの音楽と暗く美しい映像。さすがさすがの名作っぷり。


1978年「ハロウィン」も特徴的な音楽の印象が強い。
何かありそうなシーンを繋ぎ合わせて期待を煽る。


ダリオ・アルジェント「デモンズ」は1985年。
この予告面白くって、80年代っぽいニューウェーブの音楽とSEだけが流れる。
中身が「映画館に閉じ込められゾンビ(デモンズ)に追い掛け回される」話ですからあまり観客に情報を与えたくなかったのかもしれない。


こちらはホラーというよりホラーコメディですが1987年「モンスター・イン・ザ・クローゼット」
このチープなモンスターが銃撃にも耐えるわ、なぜか未知との遭遇みたいにコミュニケーションとろうとしたりよくわからないバカ映画なんですが、ナレーションなどあえてクラシックな演出をしているのがわかる。
全身出てるせいで着ぐるみ感が丸出しなわけです。
これはコメディだからいいんですが。


予告編だと面白そうに見える映画1994年「マウス・オブ・マッドネス」
クトゥルフ神話をイメージしてるのは明らかな感じで、とまれデモンズの方がよくできてるんですが。
この映画のダメなのは「モンスター・イン・ザ〜」と同じくクリーチャーがモロに出てしまっているせいで怖さが半減しているところ。
恐怖の対象が思いっきり出ると怖く無くなってしまう。


そもそもクリーチャーってのはあまり怖くない。
怖さというより、ゾンビに見られる肉体の破壊などによる痛さとかエグさとかそっちの方が強い。
全身グロい怪物よりも、人の皮でできた仮面を被ってチェーンソー持ってる男の方がよほど怖い。

なので、クリーチャーを出すならチラ見せして後は肉体破壊系で見せるのがやり口。
怪物は全身出したら終わり。
ヘルレイザーなんて、あの鉤爪で引き裂かれるのがエグい。

日本編

続いて、日本のホラーはどうか、と。

1958年「亡霊怪猫屋敷」
この予告だけでも素晴らしいですが、現代と過去のパートで白黒とカラーを使い分けてみせたり、非常に面白い。
怖さ、といういうよりもこの辺りはいわゆる舞台劇をそのまま映画に昇華したようにも思える。


これ自体はあとで作られたものかと思うんですが1959年「東海道四谷怪談」。
音楽を使わずひたすらセリフと自然音を使う。
実にネットリとしているし、肉体破壊系のエグさとジワジワ来る怖さの両方がある。
予告自体は今っぽい。


1960年「怪猫・お玉が池」
こちらも「亡霊怪猫屋敷」と同じくテロップ処理が多い。
火の玉、化け猫などクラシックな道具立てが揃ってる。
そして時代を飛ばしますが(ちょっと多いので)

近代Jホラー

一時期日本でホラー映画が廃れる。
これはクラシックな怖さのコンテクストの断裂があったからなんですが。
しかし「リング」など、日本のホラーは独自の恐怖表現を持って復活する。

1996年「女優霊」
この見切れ、というのは新しいというか、ハリウッド謹製のモロに飛び出るクリーチャーの怖さとは全く違う鳥肌ものの怖さ。
モロに出てないってのは見ている人が自分で能動的に見つけて、そして理解する。
その理解にこそ怖さがある。



映画「呪怨-ザ・ファイナル-」予告編 - YouTube

今度、呪怨の完結編をやるそうで。
なんかうさんくさいYoutuberらしき姿が見える気がするんですが……きっと気のせいですよね。

で、伽椰子の登場って素晴らしいんですよねー。
本編にあったシーンなんですが、

呪われた家に入る→二階で重いものがドサッと落ちる音(一階から見えないのでリアクションのみ映る)→何かが這いずる音(まだ見えない)
→ゆっくりと伽椰子の姿が見え、あの「あああああああああ」という声→引きつる人物→這いずり近づいてくる伽椰子

この登場って、もう最初の「どさっ」の時点でさんざ煽ってる、煽って煽って、じらした末に出てくるのが長い黒髪の座敷女ライクな伽椰子の姿。
このタメとそれに相応しい造形のバランス。
もしこれで出てくるのが頭にツノが生えたクリーチャーだったら全然怖くない。
絶対に話が通じなさそうな頭のおかしい人外の女だからこそ怖い。


座敷女だってやっぱりカサカサと四つん這いで歩くのが一番怖い。
立ってるのも怖いですけど、あれで人じゃない、人であっても完全に何かを踏み外したってのが伝わるから怖い。
ここで「恐怖心理学入門」の動画を貼って終わりたかったんですが、まともなのがないので(観たい人はググってみよう、こわいぞ)座敷女を貼って終わります。
未読の人は是非どうぞ。

座敷女