はてなブログ戦線異状なし

※はてな向け記事です
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戦線は、膠着状態にあった。

幾ら銃弾を撃ち込もうと、刃物を振り下ろそうと死ぬことがないブログ同士の戦場は言わば不死者の慣れ合い。
力尽き廃墟と化した無数のブログがその屍をさらそうと、
「小遣い稼ぎとしてのブログ」
「ブログで成功してあの界隈でライターデビュー」
「プロブロガーで生きる新しいライフスタイル」
「まだブラック企業で消耗してるの?プロブロガーで一攫千金」

戦場の実際を知らぬ新兵は夢を語るようなコピーに容易に引っ掛かり、戦場へやってきては己の力の限界と現実を知り、やがて主の消えたブログは廃墟と化し砂漠と化す。
砂漠はひたすら広がり続ける。
墓標のように屹立する無数の廃墟(ブログ)を覆う曇天を、今日もブックマーカーは屍肉にたかるハゲ鷹のごとく飛び回り「凍てつく波動」「何周目だよ」と糞のようにコメントをひり出し投げつける。



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奪い合うのはPVというドラッグ。
PVを一気に稼ごうと自らに火をつけ燃え上がれば注目は集まるが、オーバードーズと同じく自らの破滅も招きかねない。
釣りと呼ばれ何度も燃えあがらせればいずれ陳腐な道化として飽きられる。
道化の屍は顧みられることもなく砂に沈んで行く。


「嫌われる勇気」を合言葉にした決死隊を中核とする第三次ライフハック作戦、サードブロガー上陸作戦、秘密結社互助会事変、そして青二才の嵐作戦と失敗。
さまざまな勢力が戦場で猛威を振るい、そして消えていく。

残るのはひたすら塹壕の中で耐え続けた者、あるいは最前線で立ち戦い抗い続けた者。
そして誰にも顧みられずそれでいてあきらめない者。
あとは狂人。

廃墟と化したブログの間。
「ブロガー殺すにゃあ刃物はいらぬ、やる気を少し削りゃいい♪」
ブログのプリントアウトを撒きながら、スタスタ坊主が歌いながら練り歩く。
おそろしいおそろしい。


そんな戦線のどこか。

砂塵を巻き上げ巨大な車輪を回し進む車が見える......正しくは骨格のみの構造物と呼ぶべきか。
骨組みだけの神輿に車輪を付けたような姿をしている。
そんな支柱と内燃機関で出来た巨大な構造物に無数の人間がしがみ付き、一心に経を唱えている。
身に一糸すら纏わず、物質文明を否定することで己の存在を昇華しようと欲する新興宗教ミニマリズム。
その移動する神殿。

己の肉体のみを存在価値とし、物質を神に捧げることで多幸感を得る。
「電気が勿体ないからLEDライトで一夜を過ごします」
「布団が勿体ないから寝袋で過ごします」
「瞑想タイムが増えました」
「今日も服を捨てます。たった4着で一週間過ごせました」
「フランス人を見習います」

信者は唱えながら己の家財道具の一切合財を巨大な神殿の車輪の下に投げ込む。
ゴリゴリと音をたて、信者のモノを踏みつけることで砂を越え神殿のフランス製の車輪はぐるぐると回り、ゆっくりと進む。


「なぁ、アイツらは何が楽しいんだろうな?」
男が無線機に向けて言う。
男のブログは満身創痍ながらも生き残っている。
塹壕の中からつきだした望遠鏡の先には、砂漠を進む神殿の姿。

「さぁてね。あぁやってモノを捨てるのが楽しいらしい」
無線機から別の男の声が聞こえた。

「何のために?」
「モノを捨てるためにモノを捨ててるんだよ」
「へぇ……じゃあ全部捨てる方が早いじゃないか」
無精ヒゲだらけの顔を歪ませ男が笑う。

「あぁ、だがアイツらが楽しいのは捨てる行為自体だし、捨ててそれを周りに披露することなのさ。何もかも捨てちまったら自慢することも、捨てる愉しみもなくなるじゃないか。だからわざわざ捨てられるものを買って、ゴミにして、捨てて言いまわるのさ。いつまでも使えるようなものを買ってしまったらいつか何も捨てられなくなっちまう」
「……そりゃあ。業が深いねぇ」
「だからさ、そんな不自然なことをしなきゃあならないから、お互いに保証が欲しいのさ。お前の信仰は間違ってない。その代わりにお互いにブックマークをつけて支え合う。独りで捨ててりゃあキ○ガイだが、みんなでやったら流行だ、ファッションだよ」
「確かにそうだな。禅僧にでもなりゃあいいのに」
「現生欲求や習俗への執着はあるのさ。豊かになったからこその物質文明へのカウンターだろうが、贅沢な現代の生活を根っこにした単なる清貧をパッケージし直しただけの薄っぺらいカルチャーは不自然な……あ?誰だ、あれ?」



双眼鏡の向こう。
神殿に向けて突っ込んで行く何者かの姿が見える。
何人かでフォーメーションを組み攻撃を仕掛けているが、神殿は止まる気配を見せない。
「我慢できなかったんだな……しかしあれに攻撃は効かんよ」
無線機から力なく声が流れる。
ガリガリと回る車輪は攻撃に関わらずひたすら回り続ける。

「アイツらは外を向かない。自己の信仰に対する絶対的な自信と信者同士の相互補完。あの絶対フィールドが破れないなら外から何を騒ごうが無駄だ。時折、内ゲバ的に『お前はエセミニマリストだ』『ミニマリストの定義とは』なんだかんだとやってるが……」
「なぁ?アンタはアレと戦わないのか?」
男がニヤニヤしながら聞くと無線機の向こうの相手が笑った。
「あ?何の得があるんだよwww あの神殿のいく先はいずれ断崖絶壁か、何もない砂漠か知らんが、あの車輪が回り続ける先までどれだけの信者が残るんだか。あの信者が何年何十年アレを続けるってのか?それならそれで面白い。こうやって黙って見てるのが無難なのさ。ここが戦場でも、オレたちは戦ってるわけでも競い合ってるわけでもない……ただここでダラダラ生き残ればい」
突然、無線が途切れる。
どこかの塹壕が爆発した。

男は、軽く十字を切ると無線を切り、ノートPCのキーボードを叩きはじめる。
記事のタイトルは“はてなブログ戦線異状なし”にするか。


今日も、はてな戦線は膠着状態にある。

【参考】dobonkai.hatenablog.com
zeromoon0.hatenablog.jp
honeysuckle.hatenablog.jp

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