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意外と本格SFサスペンス 映画「ミッション8ミニッツ」のオチはかなりややこしい

ミッション:8ミニッツ [Blu-ray]

これは面白かった。
予備知識なし、主人公と同じ状態で物語が追うと一番面白く観れるタイプの作品。
ということで観るつもりのある方はこの辺で。
(また、いつか)

観た方、観る気のない方、ネタバレしても構わない方は、以下。
まずはあらすじから。



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あらすじ

電車の中で目覚めるスティーブンス大尉(ジェイク・ギレンホール)。
向かいの席には見知らぬ若い女性(ミシェル・モナハン)。
女性は自分のことを「ショーン」と呼び親しく話しかけてくる。
混乱する中、電車で突然爆発が起き、スティーブンスが気づくと狭い空間に閉じ込められている。
小さなモニターがありそこにいる女性から爆弾の話をされるが混乱しているスティーブンには理解できない。
そして再び気づくとまた電車の中に。
向かいの席には見知らぬ若い女性がいて、やはり親しく話しかけてくる。

タイムループ

ループものには何種類かあって有名どころだとビル・マーレー主演の「恋はデジャ・ブ」押井守の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」
最近だと桜坂洋「All You Need Is Kill」
スタートレックNGの「恐怖の宇宙時間連続体」なんてのもあった。

今作ではスティーブンス大尉が電車でテロが行われ爆弾が爆発する8分前に送り込まれその時間を何度も繰り返す。
観客は予備知識なしでスティーブンス大尉と同じ視点で同じ時間を繰り返すうち徐々に情報を知ることになる。

なんども同じ時間を繰り返し、でもこの理不尽な環境下に何か不自然なものを感じる。
当然、裏がある、と。

ただ爆弾犯を探る過程はそんなにミステリ要素はない。
結局、総当たりですので。

量子論的多世界解釈

さて、問題はオチですね。

最終的にスティーブンスは8分後に安楽死を依頼し、再びプログラムで8分の世界へ旅立つ。
その世界でスティーブンスは爆破を食い止め、8分後の世界が新しく続くことになった。
そして現実とされていた世界は書き換わり、スティーブンスが新たな人生を過ごす世界に収束し終わる。


オチをバーチャルな仮想世界だ、という人もいるんだけど、それって作中に登場する「量子論的な〜」という説明を考慮してない。
もちろんその可能性を否定する材料もないけど、だったら量子論を持ち出さなくていい(それも多世界解釈の一つという納得の仕方もある)。
あそこで量子論を持ち出したのは「ありえたかもしれない世界が複数存在する」多世界解釈を作中で裏付けするため。
でなければ「これはありえたかもしれない世界を作るヴァーチャルプログラムなのだ(どやぁ」で充分足りる。

主として流れる時空間が太い幹だとして、幹から無数に伸びた枝と枝の間を跳ぶ、あるいは生やすのがあのプログラムだ、というのがあの世界での扱いになるんだと思う。


シミュレートではなくあり得たかもしれないパラレルワールド「爆弾が爆発しない8分の後の世界」を実際に作り上げ、そして当初の現実とされた世界(博士がいる、カメラがある方の)を書き換えてしまった。
しかし爆弾が爆発しなかった世界が新たに作られたとき、その枝が本流(幹)に統合され枝が幹になった。
あるいはカメラのいる主時間軸がパラレルワールドに推移した(つまりグッドウィン空軍大尉が博士に逆らいスティーブンを安楽死させた世界も同時に存在しているがカメラはそこにないため作中では描かれない)という捉え方も出来る。
カメラという存在が、世界を観測することで世界はそこに「ある」(収束する)


多世界解釈というのは「複数の世界と時間が同時に存在し得る」という意味。
プログラムによって量子論的な複数の波動関数の収束が起きている。
だから、スティーブンが新たな人生を進む世界も死んでしまう世界も同時に存在し得る。
観客に対しそういう解釈の可能性を残すのがあのオチ。

ただ仮に多世界解釈で無数のパラレルユニヴァースが存在するとすれば、それはプログラムの力ではなくそもそも存在し得たんだろうし、だとすればあのプログラムは多世界内の視点を(今作で言えば、スティーブンであり、カメラであり観客が現実と思っている世界)収束させる〜つまり移動できる、移動させる、物語内世界を書き換える機能を持ってる、という解釈が一番正しい気がする。
なかなかややこしいですが個人的にはこれが一番しっくりくる。
映画として描かれる物語(可能性)は、1つしかない。

どれが正解と描かずあとは観客の解釈に任せる、という形式はどんな解釈をしようが正解。
これもまた考え方のひとつ。


さすが監督ダンカン・ジョーンズ。
こんだけややこしいシナリオをよく映画化したもんだ。
説明を書きながら伝わってる自信が全然ない。
同じジェイクギレンホール主演「ドニー・ダーコ」並にめんどくさい。


映画『ミッション:8ミニッツ』特報 - YouTube