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サブカル地獄変 渋谷直角「奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール」

マンガ

奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール

「ボサノヴァカバー」で世を震撼させた渋谷直角の最新長編漫画!

自意識の不良債権を抱えた男女たちの葛藤を生々しく描き話題を呼んだ怪作「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」から2年。渋谷直角の最新長編漫画がついに発売!

奥田民生に憧れる35歳のライフスタイル雑誌編集者・コーロキは、仕事で出会ったファッションプレスの美女・天海あかりにひとめぼれ。
しかし、それがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった……。

もう決して若くはないとはわかっているけど、仕事で迷い、今後の人生を憂い、うっかり恋に狂ったりもする……いつになったら、奥田民生みたいに「力まないカッコいい大人」になれるのか?

青春の最後の最後の残りカスのなかでもがき苦しむover35男たちの人生迷走曲!




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渋谷直角の前作「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」はまさにサブカル版笑うセールスマン。
サブカル的サイコホラー短編集だった。

今回は、一冊まるまる一本の長編。

あらすじ

奥田民生に憧れる編集者コーロキはあるとき、ライフスタイルマガジン「マレ」編集部へ異動になる。
そこにいるのはオシャレな編集部員。
慣れないオシャレサブカルな編集部の中で仕事をこなすうち、コーロキはファッションプレスの天海あかりと出会い恋に落ちる。
しかしあかりはコーロキを翻弄し……といった具合。

今どき感

前作のようなサブカル者の心にグサグサ突き刺さる部分は減ったものの、やはりサイコホラーなのは変わりなく、しかも今時の風俗も盛り込まれている分、カフェで〜にあった昭和感が薄れているのも面白い。
たとえばコーロキが某ライターと揉める。
途端、ライターの揉め事ツイートがまとめられるネット社会。

※↓見よ!これが手書きトゥギャッターだ!
f:id:paradisecircus69:20150723214117j:plain

他にもLINEだとかNAVERまとめだとか、いかにもイマドキのネットが登場してニヤニヤさせられる。

サブカル、仕事と並んでもう一つの柱が恋愛。
コーロキの恋愛下手っぷりもなかなかのもので、35歳という設定の割には男子中高生みたいな恋愛観。
たとえば彼女と付き合うことになったのはいいけれど少し返事がないからって途端に浮気だのなんだの疑いだし一人で苦悶する。
いやー、それが許されるのは20年前までだろ……。
さらには彼女のアカウントを探し見つけては更新してないかチェックしまくる。

※↓見よ!これが返事がないからって悶々と苦悩する35歳だ!
f:id:paradisecircus69:20150723214759j:plain

……あんた、ストーカー予備軍じゃないですか。

さすがに恋愛パートはあまり感情移入できなかったわ。
ここまではならないものなぁ(既読無視を気にするタイプよね)。

民生

コーロキの好きなのが奥田民生という絶妙なチョイスもいい感じ。
洋楽を聴くようなサブカル者は邦楽をバカにしがちなんだけど、そういう中で奥田民生は知名度の割にバカにしづらい。
女性だったらaikoとかじゃないかなー。
「え?お前aikoは菊地成孔が絶賛してたのに知らないの?マジで言ってる?」
とかかませば、サブカルっ子は「ぐぬぬ」となりそうなw

オタサーの姫的な、コミュニティ内の男を次々振り回すことで満足感を得るオシャレ/ファッションクラスタなサブカルの姫(傾国の美女)と、純情で不器用な奥田民生になりたいアラサーの物語。
今回は物語性を増した分「カフェで〜」よりもホラー感は下がった感じ。

毎度のことながら実に痛々しいと感じるのは、自分もサブカル者だからだろうか。


奥田民生 愛のために - YouTube