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ビットコインが返還されないのは当たり前

headlines.yahoo.co.jp

仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の取引所「マウントゴックス」=破産手続き中=を利用していた京都市内の男性が、同社の破産管財人に対して、預けていたBTCの返還を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。倉地真寿美裁判長は「BTCは所有権の対象とならない」と判断し、請求を棄却した。

なかなかエグイ判決が出た。

ビットコイン(BIT COIN)は、データでありモノではない。
たとえ口座に残高があろうが実体のない数字だけの存在を「所有」しているとは言えない
→返還できない

ということになった模様。




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不換紙幣

そもそもBTCは、いわゆる兌換紙幣のような代替えの通貨とは異なる。
国の信用がベースになる不換紙幣(信用貨幣)に近い。

信用の裏付けが「国」ではなく「システム」って辺りが特殊な存在。

ビットコインの仕組みというのは、究極の法の支配である。
 
ビットコインはプロトコルによって自動的に動いており、そこに人間の恣意的な意図が介在する余地がない。不正は出来ないし、採掘量は決められており、ブロック生成者に与えられて、これも権力によって捻じ曲げたりもできない。
 
中心にあるのは、ビットコインユーザー(マイナー)たちの、ビットコインにかんする取り決めであり、契約である。その周りを、人間が囲んでいる。悪事を働く人がいても、この契約に違反してればビットコインの世界では何も起こすことができない。ビットコインは性悪説だというが、相手を信頼する必要がなくても、契約に照らしあわせて、そのルールを守る人々だけがネットワークを構成すれば、結果として、取引が成り立つ。この仕組の中心にあるのはあくまで契約であり、人間ではない。
 
こういう仕組みを、Distributed Autonomous Organization (自律分散組織)と呼ぶが、ビットコインそのものは、そのDAOの実証的なモデルだ。
ビットコインと法の支配 : アゴラ - ライブドアブログ

まぁ、システムベースの虚構独立国家とその通貨みたいなもんですね。

法の庇護のもとに

BTCにおいて通貨を支える信用は契約でありユーザー同士の行い。
だから国の法に訴えても通らない。

BTCは国のものでないのだから国の法規に法る裁判に訴えて返還手続きを行ういわれはない。
今回の判決は

「BTCは架空だし国が管理する通貨じゃないよね、知らんがな」

といったところ。
BTCと言ってもギーク同士の地域通貨のようなもの。
ゲームの中のゴールドをやりとりして奪われても訴えるのは難しいのと同じ。
それをRMT*1してるのなら法でなんとかなりますが。

架空の中のやりとりは、日本の法治下に無いから自由にできる。
地域通貨、学校通貨、人生ゲームで流通するお金、お母さんへのカタモミ券。
個人が個人間でやり取りする中で、新しい通貨や価値を生み出してもいい。
ただし揉めても国や法は知らん、と。

「じゃあ法治下にないBTCで、あの社長逮捕されたの?」

と思うがこちらの記事で解る。headlines.yahoo.co.jp

インターネット上の仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の取引所を運営していた「マウントゴックス」(東京、破産手続き中)から大量のBTCが消失した問題で、マウント社のマルク・カルプレス社長(30)がBTC取引の決済用口座を不正に操作し、米ドルの残高を水増しした疑いが強まり、警視庁は31日、私電磁的記録不正作出・同供用容疑でカルプレス社長を8月1日に逮捕する方針を固めた。
 
 捜査関係者によると、カルプレス社長は社内のBTCの取引専用口座と売買決済用の口座を不正に操作し、BTC残高とドル残高を実際より多く水増しした疑いが持たれている。警視庁は社長らから任意で事情聴取を進めていた。

「米ドルの残高を水増しした疑いが強まり」
「社内のBTCの取引専用口座と売買決済用の口座を不正に操作し、BTC残高とドル残高を実際より多く水増しした疑い」

逮捕理由は、米ドルとの決済口座における水増し行為ですよね。

国は、不換紙幣に対して信用を保つ。
だから保証も行う。
もし国が保証しなければ不換紙幣はただの紙切れ。

ゲームのアイテムに所有権はありやなしや?

そんなニュースのコメントから一つ。

これ結構問題な気がする。ゲームのアイテムには所有権がないって事になるけど妥当かな?株券も電子化してるけど。QT:「ビットコインは所有権の対象に当たらず」東京地裁(産経新聞) - Yahoo!ニュース
http://b.hatena.ne.jp/entry/261808539/comment/Miyakey

ゲームのアイテムに法的所有権は認められないでしょうね。
実際に日本円を使いアイテムを買い、それを奪われた……ならまた別かもしれませんが。
今回のBTCの場合と比較すると前提がいろいろ異なる。
こちらに弁護士の見解がある。

「今回問題となるソーシャルゲームの課金アイテムは、仮想空間内の無形物であり、民法上の『物』にはあたりません」と指摘する。
 
では、ゲームの課金アイテムが「物」にあたらないとすると、損害賠償請求をする余地が一切なくなってしまうのだろうか。森本弁護士によると、「必ずしもそういうわけではありません」という。
 
「ソーシャルゲームの課金アイテムを『有償で取得したアイテムを利用する権利』と捉え、財産的価値を有するこのような権利を騙し取られた、あるいは手違いで消失させられたことによって侵害されたと、法的に主張することが可能です。
(中略)
つまり、ソーシャルゲーム内の課金アイテムは「物」ではないとしても、それを利用する「権利」が侵害されたとして、損害賠償を請求できるというわけだ。ゲームという架空空間の行為についても、現実世界の法律が適用されるということは知っておいてもよいだろう。
http://www.bengo4.com/internet/n_268/

法治下に無い虚構のゲーム内アイテムでも「有償」「権利侵害」という法治下の事柄に縛ることで法に取り込めば可能ということですね。
今回のBTCに対しては「有償で取得した」と言うことが認められなかったんでしょう。

株券はそもそも法治下にある有価証券なのでBTCと比較にはならない。

法の外 法の内
BTC→BTC BTC→米ドル/米ドル→BTC
ゲームのアイテム RMT
  株券

ざっくりこう考えればわかりやすい。
裁判は、法治下で機能するんだから、表右にしか通用しない。

電子化されていることの問題ではなく単に資産として法的保証範囲がソシャゲのデータ(ガチャ用コインとか)と同じレベルの物と見做されているだけ。電子マネー電子債権の心配はいらない(きちんと法的裏付けがある)
http://b.hatena.ne.jp/entry/261810656/comment/NOV1975

そうですね。
ですからBTCの仕組みがすごいのはわかるけど法の庇護を求めるのは無駄な話。
それが明確になったのが今回の裁判ってことじゃないでしょうか。

返してほしければBTC国の裁判所にでも訴えなきゃあ無理かもしれない。

*1:REAL MONEY TRADING:ゲーム内アイテムなどを実際のお金を使い売買する行為