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ミステリが苦手でもいいけれど “理系”と言われるとモヤモヤする



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普段本を読まない男性に「最近読書してるんだ」と言われたとき、何を読んでるのか聞くと2人に一人は東野圭吾って答える気がする。(世代的なものかも)


私はジャンルも時代も問わず、かなり満遍なく本は読んでいる方だと思うけれどミステリーだけが苦手だ。

湊かなえと恩田陸だけは好きなんだけど、東野圭吾もダメだし貴志裕介もなんか受け付けなかった(『クリムゾンの迷宮』だけはめっちゃおもしろかった)。
シャーロックホームズもアガサクリスティもいまひとつ心に留まらない・・・。あ、西尾維新はほんとダメ。

「本は読むけどミステリは……」という記事。
とまれミステリ読み的には疑問だらけ。

長年ミステリ読みをやってるので、読んでモヤモヤしたところを幾つか。
理系?理系ねぇ??
※記事タイトルは「私がミステリーが〜」より「私がミステリーを苦手なわけ」の方が文法的に座りがいい




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作風

鳥人計画 (角川文庫)

まず冒頭挙げてる作家の名前。
・東野圭吾
・恩田陸
・湊かなえ
・貴志裕介
・西尾維新

東野圭吾の場合、「探偵ガリレオ(1998)」がドラマ化され知名度が一気に上がったが、作家活動自体は1985年から活動。
ミステリ読み的には、東野圭吾と言えば浪花少年探偵団や「放課後(1985)」「鳥人計画(1989)」の本格ミステリ作家のイメージなんだが、リンク記事でいう東野圭吾というイメージは
「福山でドラマ化されて読んでミーハーな」
という蔑称的な使われ方をしてるように思える。

その割に湊かなえ、恩田陸、東野圭吾、貴志裕介、西尾維新などどれもアニメ化、ドラマ化、映画化されている作家ばかり挙げるのは、ミーハーで手に取ってるように思えるんですが……。
そもそも貴志裕介はミステリというよりはスリラー寄りの作家。
「クリムゾンの迷宮」もミステリが苦手という記事に挙げるには相応しくない(ミステリじゃないから面白いんじゃあ……)。
 
 

西尾維新

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

西尾維新もラノベ寄り。
「ミステリダメだわ―、西尾維新ダメだわ―」
は違和感がある。

西尾維新は、講談社の2002年 「クビキリサイクル」にて第23回メフィスト賞を受賞しデビュー。
もともとメフィスト賞は、ミステリ界では地雷原、番外地的な賞。
純粋にミステリとしてよりもアバンギャルドな作品が受賞する。
だからこそ西尾維新や舞城王太郎が受賞しデビューできたとも言える。

その後、戯言シリーズは終了(スピンオフは継続)。
化物語に始まる○○物語シリーズでラノベ界から注目されることになる。
ミステリ的な作品としては「難民探偵」や掟上今日子の「忘却探偵」シリーズがあるが単純にミステリとして見れば正直弱い。
「ミステリ」の看板を背負わせるには経歴的にも作風的にも疑問のある西尾維新をここで出してくる辺り、果たしてミステリを何と思ってるのかが今ひとつ理解に苦しむ。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

メタミス

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)


ミステリーの基本的な筋って基本一緒だと思う。(だからこそミステリーなのだが)
つまり、


①事件・謎解き発生

②不可能・相反する状況の発覚

(この辺で連続して起こることも)

③条件の調査・提示

④方法の解明

⑤犯人発覚

⑥動機・目的の解明
②~⑤は順不同。
まず、話の筋が、事件の犯人と方法を解く以外ない。
出発地点と終着地点が決められている。

(中略)

しかし、ミステリーはほぼ正解(事件の解決)に向かって話が進むので、なんだかみんな同じに思えてくる。
解決に向けて、条件を当てはめてその理由と方法を証明していく作業。たまにひっかけが出てきたりして。
私がミステリーが苦手なわけ - 読書系フリーターの日常

これにしろ、ミステリが同じことばかりやるわけがない。
ミステリは意表を突く、読者を裏切ることが主眼。
決まったことばかりをやるわけもない。

物語世界から逸脱しようとする行為を楽しむのもミステリの醍醐味。
物語に対し自覚的、物語に対し自己言及的。

定番の例としては竹本健治の名作「匣の中の失楽」などがある。
作中の物語が作中の現実を否定し、作中の現実が作中の物語でしかない。
存在を否定しあい捻じれたまま展開する二匹のウロボロスの蛇。
一本道でもなければ、物語がどこに辿りつくかも見えない。

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「物語世界は読者が読んだとき脳内に再現される虚構である」前提で物語を描くものを「メタ(アンチ)ミステリ」と呼ぶ。
物語世界内における探偵という特権的ポジションに対する疑問を盛り込んだ麻耶雄嵩「隻眼の少女」や人知を越えた真理を知る神が登場する「神様ゲーム」という亜種もある。
時には登場人物が自分の存在を虚構として自覚的であったり、時には登場人物が作者の意に反し戦うこともある。
叙述トリックが仕掛けられていれば、物語世界ごとひっくり返ることもある(実に文系な試みですね)。

そういうものもミステリの愉しみのひとつ。
普通の一本道のミステリを読む中で、不用意に亜種のミステリに出会い驚かされる。
それが面白い。
  
 

理系ミステリ

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こんな感じで、ミステリーは理系っぽいので苦手です。
 
 
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苦手意識ゆえにあまりミステリーを読んでいない。
文系でも没頭できるミステリーって、どっかに落ちてないかなぁ。
私がミステリーが苦手なわけ - 読書系フリーターの日常

ミステリが理系と言われたのは森博嗣以降のことか。
少なくともミステリにおいて理系と呼ばれる作品は少なく、東野圭吾「探偵ガリレオ」が出た当時“科学を使った理系なミステリ”などとどこぞに書かれていたような記憶があるけれど、どちらにしろ数えるほどの作品しかない。

論理的=理系ではなく、抽象的、感情的、非論理的=文系、というのも誤解。
ミステリは、理系ではないからこそ、森作品が“理系ミステリ”などとと呼ばれると思うのですが……。


個人の趣味嗜好なので、勝手な思い込みでミステリを決めつけて読もうが読むまいが、それはどちらでも一向に構わないんですが「ミステリって○○だからさぁ」という歪んだ思い込みを前提で理系/文系に印象で雑に落とし込みミステリをネット上で語られてしまうと実にもにょる*1からツッコミも入る。
なんでも理系・文系に別けるのは、ちょっとなぁ……。

「ミステリとは~」と一般化して語るなら、もう少し広く読んだ方がいいのではないかと思うのですが。


ミステリ関連のまとめ記事置いときますね。
「文系」ミステリの参考にどうぞ。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

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*1:歯がゆい、モヤモヤする