≪ネットde私刑≫が最先端トレンド

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photo by trombone65 (PhotoArt Laatzen)

先日書いた記事が話題になったあざなえる~。

ネットで喧々諤々の論争を引き起こした内容。
今回は管理人を某居酒屋に迎え、大いに語ってもらった。

取材協力:某居酒屋




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シロかクロか?

――先日の記事が随分と話題になったようですが?
まぁ賛否両論になるのは予想してましたが広まり方は予想より大きかったですね。批判系のブログやまとめ、バイラルは右へ倣えで山ほどあるのに、論調が違うものは少なかったですから。反論に関しては想定内ですが。


――想定内ですか?
反論と言っても、まとめやバイラルの情報がベースですし。美術に関しても、雑で限定的にしましたからツッコミどころは多い筈です。仮に法律の解釈を持ち出すにしろ翻案権が出てくれば詳しい方で、チマチマ理屈を詰めてもどうせ読まれないですから。隙がある方が叩きやすいですから。


――模写と著作権侵害に関して擁護されているようですが?
そんなことは書いてませんよ?

azanaerunawano5to4.hatenablog.com
・美術の歴史的に模写、習作は禁止されていなかったし悪いことでも無かった(そういう時代もある)
・現代でもパロディが許されてる芸術家もいる
・デジタルとアナログは違う
・権利者により訴えを起こされれば、学生の未来も、今後のパロディやオマージュの未来も暗い
・バイラルやまとめが決めつけたことを嬉々としてばらまくバカ

こう書いてます。この中に具体的な法解釈はないですよ?


――そうですか?擁護に見えたんですが
日本は、法治国家です。

法治国家は司法が量刑と判断を行う。
社会的に一般人が勝手に法律を独自に解釈し罪を決め、吊るしあげるのは法治国家じゃありません。
シロ/クロ言うのは、私の役目じゃありませんよ。マッドマックスじゃないんですから。


――えぇ、それは確かにそうですが。
物事にはさまざまな評価軸が同時に存在します。

美術的評価、歴史的評価、法律的判断。
それぞれの軸の解釈が同様になるとは限りません。
判断は時代によっても国によっても変化しますから。
「あの学生の作品は法律的に無実」なんて決めて書いてません(そう思っていないですし)。


――そうですか?

実際、著作権侵害は裁判でもかなり難しい部類。
似ている=パクリだなんて安直な話ではない。

そもそも大学の卒業制作で作られた作品が著作権を侵害しどんな利益を得たのか。
これに対しいわさきちひろ側が訴えて何の得があるのか。

仮に訴えれば、いわさきちひろの権利者側が裁判費用をドブに捨て、一人の美大生の未来を潰した上で、絵画に関しての知見が狭いことを美術界に広める効果があるでしょう。
大学の卒業制作が、いわさきちひろ作品にどれだけの経済的損失を与えたんだろうね?
「似たものを見つけてパクリと騒ぐだけ」のどんなバカにでもできる簡単なお仕事 - あざなえるなわのごとし

「似ている=パクリだなんて安直な話ではない」
→裁判で検証し、その結論によって盗作に関する法的判断は確定する

「一人の美大生の未来を潰した上で、絵画に関しての知見が狭いことを美術界に広める」
→訴え出、裁判に勝ち、美術に法的判断を持ち込みにパロディやオマージュを許さないことを示す

権利者が法的に勝つ可能性を否定していません。
法的に完全に無罪だと思っていれば、こんな書き方はしません。
法治国家ですからクロかシロかを決めるのは一般人じゃないと思ってます。

親告罪である著作権侵害に関し、権利者が訴え出てグレーをクロかシロか決めるために裁判費用を使い、証拠を揃え、何日も時間をかけ法曹家が喧々諤々検証を行い判断を下す。そこで初めて罪が確定する。
それが法治国家のシステムじゃないです?

今や匿名の書き込みを意図的に抽出し、まとめあげ、あるいは記事にしてばらまき話題にして儲けることを企む連中がいる。
そんな連中に踊らされ、法治国家であることを忘れネットの情報だけで勝手に法を独自理論で解釈し、罪を断定しクロだと糾弾し≪ネット私刑≫に走る連中がいる。



――そう読まれてないようですが?

擁護の印象を与える要素を切り貼り、地の文では今回の件に関しての断定を避ける書き方を意図的にしました。
まとめサイトの本歌取りとも言えるかもしれませんね。
特定指向を持つ情報で読み手の判断にバイアスがかかるようにしてあります。
糾弾するサイトばかりですから、意図的な逆バイアスにも効果がありました。

隠された情報とバイアス

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photo by brentdanley


――そういえばいわさきちひろさんの名前を元々記載してあったという話が出ていますね
あれは意外な情報でした。hagexさんが取り上げていますが、hagex.hatenadiary.jp

多摩美術大学の卒業制作がパクりパクりと言われているけど、違ったみたいよ~ だからキライなんだよな~ ハムスター速報、netgeek、保守速報。


図録には"いわさきちひろ"の名前が書いてあった
実際は名前を出した明確なオマージュ(パロディ)みたいですね。
その情報が隠される、出ないことで「無断のパクリ行為」と断定しやすくなっていたらしい。

本来、権利者でもない部外者が何かを晒して「パクリだ」と叫ぶなんて筋違いなんですよ。大学の話で、作品も学生の作品。権利者が訴えたわけでもなく、プロの作品だったとか販売されてたって話でもない。
こうして都合よく叩けそうなものを探し出し、晒し吊るす。
≪魔女裁判≫の様相ですね。
※画像注:AKB握手会画像の参考としてまとめの「ホイミ速報」を使ったらしい……それは別件だけど……(脱力)
まとめを参考にし、まとめに叩かれるとは……。
↓画像下部に見切れている作品で、リンク先の抱き枕抱えて路肩で寝ている画像を参考にしたそうで
コミケ後の秋葉原では、駅前で女の子と添い寝をする人も!? - TETRA REPORT★



グレーのものは、あくまでもグレーとして捉えるのが正しい。
ネットの情報と知識だけで罪を確定できるなら知財裁判所はオンラインの素人だけで運営できますよ。
 
 

非親告罪によるウォーボーイ化

――私刑は話題になってますね
えぇ。ネットでは“パクリ”という言葉が容易に使われ過ぎです。
盗作というのは一見してわかりやすく一般人でも判断しやすい。
だからこそあーだこーだ言いやすく、吊るしやすいんだと思いますね。
ボクがクロだと思うからクロだ、なら司法はいりませんが、叫ぶ本人には私刑を行っているという自覚がない。


――著作権に関してはTPPの影響も言われますが
TPPにより著作権侵害が非親告罪化すれば≪ネットde私刑≫もさらに増えるかもしれません。

現在は親告罪であるため著作権侵害があった場合でも、権利者(例えば作者)が訴えない限りは黙認される状況となっている。

niconicoにおいてだけでも、

MAD、イラスト・動画・音楽など
ゲーム実況・歌ってみた・演奏してみた
など多数の二次創作コンテンツが存在するが、一部の作品では権利者が確認しているとしか思えない状況でも削除されていない物も存在している。[1]

コミックマーケットなどの二次創作同人作品を扱うイベントや、個人サイトやPixivなどのイラスト投稿サイト、ニコニコ静画での二次創作イラストの掲載など、極めて広い範囲でこの「黙認」の影響があるのが現状である。

非親告罪化が行われると上記のような黙認が無くなり、警察などが著作権侵害として二次創作を取り締まる事が可能になるといわれている。日本では今までにない出来事であり、実際には警察は動かないのではないかという意見がある一方、非合法になる事で警察の動きとは無関係にこういった活動が不可能になると危惧する声もある。
著作権の非親告罪化とは (チョサクケンノヒシンコクザイカとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

ネット警察と言われますが、今行われているのはネット私刑団、もしくは勝手に罪を判断して吊るすネット司法と言ってもいいかもしれない。
非親告罪化すれば、非親告罪の法律を錦の御旗にしてさらに「汚物は消毒だー!」の活動が活発になるかもしれない。
まだまだネットは、地獄になりそうです。

もう追う側に回る方が楽しそうですね。

*そういいカバンからスプレーを取り出し、自分の歯を剥き出しにして色を吹き付ける。口元がキラキラ銀色に染まっていく。

さぁ、ネット私刑ウォーボーイ!
一緒にV8を讃えよう!疑わしきは罰しろ!
パクリをいぶり出せ!!世界の果てまでググり尽くせ!
オリジナル以外はすべて滅びろ!!!

ネットは偏狭で陰鬱な地獄であることを見せつけてやれ!!
V8!! V8!! V8!! V8!! V8!! V8!!

――二人の背後。居酒屋の客全員が白塗り半裸、両手の指をからませ、V8ポーズをとり、スプレーで銀色に塗った歯をきらめかせ叫び続ける。
V8エンジンの横にハッキリと刻まれた「netgeek」「保守速」「パクリ誅すべし」「オリジナルこそすべて」「TPP萬歳」の文字。
コールは止みそうにない……。

(fade out)

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