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「広告が消えても広告主は損しない」は本当か?

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anond.hatelabo.jp

AdBlockという、Web上の広告を非表示にするツールがある。
はてブほか、このようなアド(=広告)ブロックツールを喜んで使っているやつらは多い。
しかし、彼らは自分たちが「割れ厨」と同じことをしている自覚が無いのだろうか。

この増田の誤認は「ユーザーに対し能動的対価を必要とするコンテンツ」とウェブ広告という受動的なモノを同一視して語ってるところにある。
割れは、対価が必要なコンテンツを違法な手段で手に入れる行為。
動画の違法DL、雑誌の万引きの方が近い。
そしてアドブロックは、レコーダーのCMスキップ機能に近い。
全部同軸で語るなら、チャプタースキップ、CMスキップ機能も違法DLも同じってことになる。
いやいやいや、と。

こんな露骨な誤認識、釣りである可能性も否めないけれど。



【スポンサーリンク】


強力な効果

一言でウェブ広告と言ってもアドセンスのように
「明確に【スポンサーリンク】と明記しましょう」
「誘導するような書き方は許しません」
のように規約があって、貼る側からすればものもあればなかなか気を使い突然規約違反と言われ停止されるものもあれば、情報商材やアフィリエイトのように文章を読んでいたら突然「〜などとお悩みのあなたには是非⚪︎⚪︎をお勧めします!」と広告リンクに誘導するものもある。

ネイティブアド、一見記事に見えるインラインやPR記事、グレーなステマ。
白いもの、黒いもの。
それらも「広告」
これらをすべて同じように扱い、しかも一般ユーザー目線、広告屋目線、アフィブロガー目線、一般ブロガー目線で語れば混乱するに決まってる。

CMスキップ機能

広告なんてなければ一番平和だが、広告が一切なければ売り込む他の手段が発達する。
アドブロックの発展によって正しい広告なんてまず発達しない。
より狡猾な手段に移行せざるをえない。
なにせネット広告はお手軽だからこそこんなに発達したわけで、テレビや雑誌のCMのように間接的で予算が必要なわけでもなく、自コンテンツへ直接ユーザー導線を確保できる。

CMスキップ、チャプタースキップはあくまで録画した番組に対し有効なので、だからこそ許されてる面は強い。
仮にリアルタイムに視聴しているテレビでCMをすべて表示させない機能があったとすれば(常に追いかけ再生をしている全録機で、再生速度を若干遅くすることでCM時間分の差を常にどこかで確保するとか……)さすがにどこかから問題視する発言が起こるかもしれない。

広告が消えても広告主は損しない

tokimaki.hatenablog.com
んで、こういうコンテンツブロッカー話で定番の

Adblockユーザーはもともと、バナークリックして商品を購入する可能性の極めて低い人たちなので、彼らが広告を非表示にしたところで何一つ困らない。むしろターゲット選定の手間や、誤クリックが減ってありがたいくらい。

というツイッターで何度も見た話が記事の形で上がってくるわけだけど、こういう「広告=クリックするもの(CVR)」でしか見ないのも視点が狭い。
テレビCMだって触らなくても広告は「目にする」ことだって大事なわけで、クリックされなくたってそのイメージをユーザーに刷り込むために広告は表示されるし、そこに予算を突っ込んでる。
なのにそれが無駄になっちゃうわけですよ。
広告主は損しない?
いやいやいやいやいやいや。

自分にしろ広告クリックはあまりしないけど、検索結果から興味のあるものが表示されていれば広告クリックすることはある。
「そーいえばどっかの広告でこれでてたなー」で調べることだってある。
店頭で迷った時「これ最近よく(広告で)見るよなー」で買うこともある。

それは広告を「見た」からですよ。

なにいってんの?広告消されたら広告主は広告でないから被害あるじゃない。購入だけじゃなくて知ってもらうための広告ってのもあるし、クリックしないから表示しなくていいってのは雑すぎないかね。
http://b.hatena.ne.jp/entry/266552074/comment/satohu20xx

Web上の広告ってクリック前提みたいになってるけど、俺はただ見るだけで商品名を知ったりとかあるけどなー。テレビCMみたいに。商品購入するのは必ずしも広告バナークリックからじゃないよね。
http://b.hatena.ne.jp/entry/266552074/comment/umaemong

あ、コメントにもあるのね。


そういう視覚的な広告効果もゼロになるのに

とにかくここで主張したいのは、広告が嫌な人がAdblockを入れたところで、広告主は何一つ損をしないこと。誤クリックや望まぬクリックが減るのであれば、嬉しい。そうなれば広告主としては、1クリック単価をもっと引き上げて出稿したって構わない。スポンサーが安泰でこれからも広告料を支払う意思がある以上、広告ブロックでWebメディアが衰退するわけがない。

は?
広告って「広く告げる」から広告。
「広くクリックしてもらう」じゃない。
認知啓発、ブランディングだって広告の大事な役割。
クリックどころか表示すら許されないってのに。

表示しないってのに「衰退しない」ってのもすごい極論。
実際、現状ですらアドブロックが業界に与えてる影響を数値化したらかなりのもんでしょうよ。

林檎帝国

今やスマフォからのアクセスが急上昇している中、iOSという広く使われているOSの標準ブラウザに対してコンテンツブロッカーというものが導入されれば、そりゃあ広告主だってダメージを食らう。
昔みたくAPPLE=ニッチなユーザー層だけが使うPCって時代ならまだしも、今やデスクトップからスマフォに変わり、しかも強大な影響力のある林檎帝国のiOSに標準搭載で広告をブロックすることも可能な機能が提供された、だから話題になってる。
別にアドブロック機能のあるブラウザがなかったわけじゃない。
標準機能としてそれが提供される流れが見え始めたからざわついてるわけで。


今回のコンテンツブロッカーが問題なのは、ゴミ屑だろうが名文だろうが何でもかんでも「広告」という存在を一律排除するからだし、今回は「コンテンツブロッカーとして可能にした」だけだけれど、これを標準化すればウェブの風景は当然変わる。

個人的には、わかりやすい広告をでかでか載せてる方が、広告に見えない広告や紛らわしいPR記事やステマが増えるよりよほどいいと思うし、これでわかりやすい広告が消えたからってウェブにおける活動が収束するわけじゃない。
ツイッターにツイートのふりして流れてくる広告が当たり前になってるように、ネイティブアドがあれこれ言われてたのにこれで待ったなしになってく方がなんだかなぁ、と思うわけです。

広告なんてゴミ屑だの言ってる間に、気づけば記事全体がゴミ相当になってたっておかしくはない。
なんつーのか、暴対法で暴力団が看板掲げてるうちは良かったのに地下に潜ったり、全体像が見えなくなったり、細分化されてこれまでの暴対法で対策できなくなるようなね。
強すぎる規制ってのはその対象を無くすわけではなく、形を変えさせる力になりえるって話なんだけどもねぇ。

このまま「だってクリックさせたい対象は変わらずクリックするんだから広告主は問題なーし」なわけない。

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