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映画「キングスマン」をファッションから考える

kingsman-movie.jp


映画「キングスマン」観てきました。
極上爆音上映@立川。

感想記事は多くあると思うので、ここではファッションの面から「キングスマン」を考えてみたいと。

※ネタバレなしで書いてみました




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MADE IN ENGLAND

まずサヴィル・ロウについて。

英国ロンドン中心部にある高級紳士服の仕立て屋が多いサヴィルロウ。
「サヴィル・ロウ」がなまって「背広」になったという雑学も有名。
そこに仕立て屋「キングスマン」はある。

秘密の暗号
「ブローグではなくオックスフォード」
は、靴の飾り穴(ブローグ)のあるものではなく、プレーントゥのオックスフォード靴をという意味だそう。
フルブローグシューズは飾り穴なので少しカジュアルな印象になりやすい。
確かに英国紳士であれば、プレーントゥ(飾りのないつま先)の方が固いイメージ(さらに内羽根式であればなお)。
[チャーチ] CHURCH'S CHETWYND  CHETWYND BLACK(BLACK/UK 7.5)
[アルフレッドサージェント] Alfred Sargent 5タイ キャップ・オクスフォード ALDEBURGH (BLACK BURNISHED CALF/9)
※上がチャーチのフルブローグ チェットウィンド、下がアルフレッドサージェントのストレートチップ


今作では、そんな“服”が象徴的に使われる。

主人公エグジーは、前半フレッドペリーのポロシャツにアディダスを羽織っている。
フレッドペリー(英国)の上からアディダス(ドイツだが、今作ではアメリカ)というのが英国ワーキングクラスのイマドキの若者。
前半パブのシーンで、友人はロンズデールを着てたり(ロンズデールは英国ボクサーが立ち上げたブランド)やはりアディダスだったり。
エグジーの足元は、アディダスのジェレミー・スコットコラボのスニーカー。

もちろん、これらはワーキングクラスの文化をわかりやすく示してる。
アディダス、フレッドペリーを着て失業保険で食い、昼日中からパブでだべりつつエールをあおる。

MADE IN USA

アメリカの象徴である悪のサミュエル・L・ジャクソンもアディダス。
英国でのアディダスは、イアン・ブラウンが着てたり、ポール・ウェラーが着てたり、ナイキほどアメリカ的でない感じがいいのかもしれない。

ビッグマックもアメリカアメリカ。
かぶるのは、ハットではなく常にキャップ。
James Lock & Coでシルクハットを買ってましたがあそこは英国王室御用達(ロイヤルワラント)。
日本でも以外と手に入りやすい。

MANNERS MAKETH MAN

サヴィルロウで仕立てたスーツが、ハリーからエグジーに渡る。
マナーが人を作るように、格好も人を作る。

キングスマンは、エグジーがハリーというメンターに出会い成長する物語であり、ハリーの英国製スーツがエグジーに渡ることで世代交代が起きる。
英国の身分制(アッパークラス、ミドルクラス、ワーキングクラス)を前提にしている。

アディダスやロンズデール、フレッドペリー(ワーキングクラス)を着ていたエグジーがサヴィルロウ(アッパークラス)のスーツを着る立身出世。
配役からしてアッパークラスの(サー)マイケル・ケインやコリン・ファース(セントマーチンズ卒)に対しウェールズ人のタロン・エガートンがワーキングクラスの役というあたりもいろいろ考えさせる。

youtu.be

スウェーデンでは王室不要論があるらしくだから出てくる政治家も「共和主義だから王女なんてどーでも」みたいな発言をしてみたり。
いろいろと暗喩的な部分も多い。

メガネ

「ハリー」は国際諜報員ハリー・パーマーのハリー。
それを演じていたマイケル・ケインがアーサ役なのもポイント。

ちなみに作中の重要アイテムであるメガネは、国際諜報員の伝統でオリバーゴールドスミスかと思ってたんですが(ハリー役のマイケル・ケインは、オリバーゴールドスミスのコンサルを着用してた)、今回の作品では、カトラー・アンド・グロスだったそうですが。
うーむ。

まとめ

新世代の成長と旧世代の活躍、そして道半ばで倒れた旧世代の後を継ぎ成長した新世代が次世代を担う。
それはアッパークラスではなくワーキングクラスからの成り上がり。

おバカでブラックな英国伝統スパイ映画。
いきなり終盤、カンフーアクションで見るような空中ストップモーションが出てきたりするあたりも狙ってるし、下ネタやブラックジョークもたっぷり。

かなりエグいシーンに真反対の曲をかけてみたり、最後近くのブラックな「どっかんどっかん」シーン(観れば分かりますが)にあーいう曲をかけるとスタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」を思わせたり(そーいえば「シャイニング」っぽいシーンがあった)。

諜報員キングスマンは、円卓の騎士になぞらえ、それぞれのコードネームが決められていたり(マーリンはアーサー王の助言者、魔法使い)そのあたり元ネタがわかっている方がすんなり観れる。
アメリカナイズされたエグジーは、犬の名前にジェイムズ・ボンド(007)でもジェイソン・ボーン(ボーンアイデンティティ)でもなくジャック・バウアーで「JB」とつけるのも米国文化の影響大。
ハリーがエグジーの状況を映画にたとえて「プリティウーマン」「ニキータ」などいろいろタイトルを出すのにエグジーはさらにそれより古い映画を知ってたり、英国人の犬好きを露骨に出して見せたり小ネタも多い。
ガンカタ並みのアクションは、格闘で巻き込み関節を取り、盾にするのが目的の格闘術というのはなかなか魅せるし合理的。

立川の極上爆音上映で観てきたんですが、さすが音質が素晴らしくやっぱりあそこでの映画鑑賞は常習性がある。
特に今作では音楽がかなり重要な要素。
観るなら是非音質の良い映画館で観るのがいいかと。