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「日本型軽減税率に関する誤解」を説明してもらっても、やっぱりロクでもなかった


なんとなく夕方のニュースをだら見してたら例の財務省の減税案に関して
「反対が多いが、それには誤解があるんじゃないのか?」
という中身でフジが特集コーナーをやってた。

解説は、中央大学法科大学院教授・森信茂樹氏。
誤解があるか?と思いながら見てたが、なんだこりゃあ、と。




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日本型軽減税率(財務省案)

まず財務省案をざっくり。
10%の税率を飲食品に対してのみ8%にする。
そのために財務省が言い出した軽減方法が以下。

たとえばスーパーで1,000円の買い物をする。
1.税率が10%なのでレジでの支払いは1,100円
※ここで20円払いすぎが発生
2.店頭でマイナンバーカードをレジ横の端末にかざす
3.購入したデータは「還付ポイント蓄積センター」へ→20ポイントが加算される(1ポイント/1円として)
4.のちほどPCやスマフォなどで手続きを行う
5.税務署から還付される(税金100円が20円還付され80円に、上限は一人頭4,000円以上?)

今回の消費税で
税収:5.4兆円増
軽減税率:1.3兆円減?
財務省案(日本型):0.5兆円減?

なので、このプランの方が負担少なく実現できる、と。
……。

番組内で森信茂樹氏の言う「制度への誤解」とその回答(Q&A)は以下になる。

「誤解がある」というもの

Q.個人情報がいろいろ言われるのにマイナンバーを使って大丈夫か?という声に対して
A.「マイナンバーの番号そのものを使うのではなく、単にカードに埋め込まれたICチップを使うので個人情報は読み取られない」
読み取るのは

  • ICチップの記号
  • 購入日時
  • ポイント数


Q.PCやスマフォでのアクセスが難しい
A.郵便局やコンビニなどに専用端末を設置する案がある


Q.忘れたらどうする?
A.家族での合算が可能、事後の記載も可能


Q.カードリーダーにかかる予算は?
A.既存のカードリーダーにシステムで組み込むので導入費用は抑えられる


Q.たった4,000円のためにわざわざこんなことをするのか?
A.低所得者対策


Q.こんな案の導入は難しいのでは?
A.品目ごとに税率を変える軽減税率案の方が難しい
※軽減税率は食品などに関してだけ8%の税率、それ以外のものは10%の税率になるために煩雑で複雑になる

どこが誤解なのか?

さてさて。
別にウチが言ってるわけじゃなく番組内でこういうことを言ってた。
誤解というか、これだけ説明されても誤解でもない感じがする。

まずマイナンバーの利用についてって部分で言えば「マイナンバーカードは持ち歩くようなものではない」と以前言っていたのに持ち歩かないと還付がないだけといって、さらには

麻生太郎財務相は10日の参院財政金融委員会で、財務省がまとめた還付方式の消費税軽減制度案をめぐり、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度に基づき国民一人一人に交付されるマイナンバーカードを忘れた場合でも「レシートをもらっておいて後でカードを持っているときに(還付の)ポイントをためられるようにすればいい」と述べ、事後対応が可能との考えを示した。大門実紀史氏(共産)への答弁。
 財務省案では、還付を受けるにはマイナンバーカードをレジでかざす手続きが必要になる。麻生氏は8日の記者会見で、カードを持っていかなければ「減税はない」と述べていた。税の公平性を欠くとの批判が出たため発言を修正した形だ。(2015/09/10-13:07)
時事ドットコム:カード忘れにも対応=消費税軽減案で−麻生財務相

レシートで対応すんならそもそもカードリーダーだのからやめりゃいい。
だったら確定申告の際に処理すりゃいいんじゃあ……。

TSUTAYAカードなら落としても痛くないが、マイナンバーカードをポイントカード感覚で使ってる時点でいろいろ問題発生しそうなのに「ICチップしか使わないから大丈夫です」って、いやいやそんなことを心配してんじゃねーよ。
どっかの飲食店でマイナンバーカード用のスキミング装置が使われたら「え?そんなことは想定してなかったなー」とでも言うのかしら。
正規品リーダーばかり使われることを想定してる時点で何にも想定してない気が。


ちなみにカードリーダーは既存のものが使える、とのことだけれどカードリーダーの普及率が100パーセントじゃないんだから当然ながらそれ用の予算が(まず絶対)必要になる。しかも多めに(公共事業ってのは毎回同じ)予算を無駄に盛り付けてどこかのメーカーにカードリーダーを多めに外注し、機能を削りまくったカードリーダーを納入し、どっかの下請け会社が受け、設置するために人が派遣される労働が発生する。
その前にまず「どこにリーダーが必要か?」という話になるので調査のためにアンケートだか申告制だかあるいは調査員が回るとか、まぁいろいろ考えられる。

なにせ「還付ポイント蓄積センター」ってなんだよって話ですから。
ポイント還元のためにどっかの天下りで偉いさんがトップに据えられ、サーバーセンターの機材と人員を確保しなきゃならない。
コンビニや郵便局に設置する端末の費用は???

「低減税率普及センター」みたいな求人が派遣会社に回るんですよねー。
で、コールセンターを数カ所立ち上げ、日々質問の電話がじゃんじゃん入る。
かくて税収が増えても0.5兆円では補いきれない無駄な予算がガンガン必要になっていくのでした。

最後に

この軽減税制が低所得者対策ってのも「めんどくさくても貧乏人はやれよ」って話に思えて仕方がない。
4,000円くらい気にならない金持ちは面倒ごとから解放されるってことなわけで。
卵1パックのために安いスーパーまで自転車で走るような主婦は、これからはマイナンバーカード持って歩いてパソコンで申請しろって言われるわけですか。

どこの何が誤解なのかよくわからない。
一般市民の生活が見えてない、現場を見ない人らが机上で考えた感がすごく出てる。
税制システム的には可能でも、一般市民からすればやっぱりロクでもない。
「(科目ごとの)軽減税率案よりマシ」かもしれないけれど、だったらそもそもこの軽減税率案自体がどうしようもないってことですか。

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