船上の狂気と逃走 映画「海にかかる霧」


『海にかかる霧』予告編 - YouTube

不況下にあえぐ漁村。今日もチョンジン号は、一発逆転の大漁を夢見て沖に出たが叶わない。追い詰められた船長のチョルジュは、中国からの密航者を乗船させるという闇ルートの仕事を引き受けてしまう。沖合で密航船と合流し、密航者たちをチョンジン号に乗り換えさせて陸へ運ぶ―簡単に見えた計画は・・・。

「殺人の追憶」の脚本家 シム・ソンボが監督。
ポン・ジュノが共同脚本として参加しているのだそうで。




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映画「チェイサー」でポン引きをやってたキム・ユンソクが船長。
船の老朽化に伴い、金が必要だがどーしようもなくなり密輸の仕事を受けようとする。
しかし仕事は中国人の密航。
背に腹は変えられず危ない仕事に手を出す。

キム・ユンソクが主人公と思って見てたら船員にドンシクという若者が乗ってて、この人が元東方神起のユチュンらしい。
こっちが主人公だと思わんかった。
いろいろあって、途中で中国人が全員船倉で死んでしまう。
ガスが発生したんだとか。
密航者だから当然そんなものを届け出るわけにもいかない。だからすべて闇に葬らなきゃあならない。

ところがユチュン演じる船員ドンシクが中国人の娘に惚れて、娘一人だけは別の場所にいたため生き残る。
ドンシクは娘を隠そうとし、船長から逃げ回り隠し守らなきゃあならない、船の上での隠れん坊が始まる。
船長は船を守るためなら船員すら殺し始める。

恐怖で支配する船長。
借金に疲れ果て、目の前で妻が浮気していても怒ることもない冷え切った夫婦関係しかない船長には、もはや船しか生きる場所がない。
この辺はさすが名優キム・ユンソクの演技が素晴らしい。
殺人にも躊躇がない静かで暗い妄念を表現してる。


キム・ユンソク演じる船長とユチュン演じる船員は対称形。
すべてに疲れ船しかない船長と、まだ若く可能性があり恋に生きる船員。

派手さはないんだけど、こういうしみじみと深い作品を今の日本で撮れないのはなんでかなぁ、と思ってしまった。
韓国の漁船に中国人が密航する、なんてのも中国と韓国を見れば、そこに風刺も込められてる。
一見の価値はある。