ゾンビあふれるセカイの新しい家族のかたち ドラマ「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」

フィアー・ザ・ウォーキング・デッド  シーズン 1 (字幕版)

「ウォーキング・デッド」と同じ世界を舞台に、問題を抱えながらロサンゼルスで暮らす混合家族の目を通して、ゾンビによる世界の終末が訪れる様子をリアルに描くドラマ。機能不全に陥った混合家族が、各地で報告されているウイルスはゾンビによる世界の終末の訪れであると気づき、必然的に団結する。

祝日に出かけることもなく、洗濯と掃除とウォーキングデッドの消化に費やしてみました。
本家のシーズン5を観終わり、次いでスピンオフの「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」(以下、FTWD)をAppleTVに表示させて鑑賞。azanaerunawano5to4.hatenablog.com





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ゾンビ世界の家族像

本家本元「ウォーキングデッド」は、保安官の主人公ニックが昏睡状態になり、気づけば世界が既にゾンビ(作中ではウォーカー、バイターなどと呼ぶ)の物になっているところから始まる。

これはダニー・ボイル「28日後…」を思わせる導入。
徐々に世界がゾンビによって文明が崩壊しつつある過程が描かれない。

28日後... (字幕版)
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FTWDは、そんな徐々にゾンビ化する症状が広まる過程を描く。
 
  
中心になるのは、とある家庭。
アラブ系のトラヴィスには、元嫁ライザと息子クリストファー。
シングルマザーの白人女性マディソンの家には、姉アリシアとジャンキーの弟ニック。
そこにアラブ系のサラザール夫婦と娘オフィリアが動乱の流れでひとつになる。
この異文化、異人種の集合である現代アメリカ的コミュニティが中心になって物語は進行する。
 
まだシーズン1なのでゾンビも新しいものが多く固い(シーズン5のゾンビは年季が入ってるので柔らかい。ナイフプレイ上等)。
あえてアラブ系登場人物を多めにしている辺り、今後の展開に何かしらありそう。
アジア系キャラを配置しなかったのは、本家で大活躍してるからですかね。
 
 
本家シーズン5では、もはや他人同士であろうがグループは家族。
一人のためには他の人間が命を張る。
それが信頼になり絆が深い。
対して壁の中に住む住人らは外の世界から目をそらしている。
戦闘力999レベルの主人公パーティが戦闘と無縁の街に訪れればごたつくのは当然の話。
カルマ背負いまくってるニックが、すっかり禅マスターになった棍術の使い手 旧友モーガンが現れ、その辺りの展開が面白そうなのにシーズン6まだ見れない……うぅ。

だからこそスピンオフのFTWDで、社会文明崩壊後の家族のかたちに関し、いちからリブートさせて描こうというのはよくわかる。
 
 

雑なシナリオの疵

ただシナリオが少々雑なところがいくつか。

もう世界がゾンビ化していくのはわかってる。
どういう程度キャラ紹介に時間を使うか、背景世界のゾンビ・パンデミックの時系列との相互関係になってくるんですが、序盤重く感じるのはいかがなものか、と。
そちらをざっくり端折って、変化にぶつかったときの人間の対処とかゾンビ化を受け入れきれず殺すことすらためらうってのが結構サクッと描かれてるのも気になった(トラヴィスが銃でゾンビを撃てないってシーンがそれに相当するが……そこしかない)。
みんな、すんなり受け入れすぎなのよな。

たとえばアリシアの彼氏が熱を出してウンウン唸っていて、噛み痕もある。こうなればウォーカーに転化して看病の途中で襲いかかってくる彼氏を泣きながら包丁で刺しまくるみたいな展開が……と思ってたら、次の話になって、なし崩し的にもう柵に囲われていたり、「死人が蘇る」という異常事態をまず飲み込む混乱があるのかと思ったらもうみんな知ってたり、そのクセ米軍はいろいろやらかしてるせいで内緒にしてたり(死んだ人間がゾンビ化するって知ってるなら隔離云々も市民側が飲み込みそうなものなのに「なぜ連れて行かれるの?!」みたいなリアクションは今ひとつよくわからなかったり)その辺の処理は、雑な印象。
柵を破って外の世界に行けば、ゾンビだらけなのはわかってるのに徒手空拳とか。
 
 

ミショーン

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そしてウォーキングデッドの重要キャラであるミショーンのようなあざといキャラがいないのはネック。
日本刀を使い、ゾンビのアゴを切り落とし鎖に繋ぐことでゾンビの群に同化して終末世界を闊歩する黒人女剣士というのはカートゥーン的であるし、ドラマにおいてケレン味を担ってるキャラクター。
物語において軽妙さを担ったり、あるいは異端であったりというキャラクターの存在はとても重要。
ミショーンが、いないだけで、物語は随分と地味になってしまう。

ウォーキング・デッド2
 
ミショーンが非日常的だからこそゾンビの世界で輝くし、平和な世界と折り合いのつけられないダリルなんかを描く意味も出てくる。

FTWDの場合は、謎の金持ちヴィクター・ストランドがその役割になるか。
舌先三寸の話術とスマートな立ち居振る舞い。
謎の過去と考えを隠した謎の男。
海に浮かぶヨットへの脱出を企む辺りの展開は、映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」を思わせるが。
ゾンビ相手に細身のスーツで銃を片手に戦うなんてのは、画的になかなかよさそう。

 
同じ世界を舞台に違う切り口で描こうとするスピンオフ、試みがなかなか面白い。

プライム会員なら無料で見れるんで時間があるなら是非どうぞ。
一切繋がって無いので、これを見てから本家「ウォーキング・デッド」を見ても全く問題ない。
こちらを先に見るってのも面白いかもしれない。

シーズン1が8話、シーズン2が15話だそう。
かなりガッツリと描かれそうなので評価はシーズン2を見てから。