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ポリリズムとフローな音楽のススメ

音楽

※動画多め、連休向けボリューム増
 

ZAZENのライヴに行くと特に実感するのだけれど、この動画のように変則なリズムによる「訛り(リズムのゆらぎ、フロー)」の気持ちよさがとても強い。
訛りは、リズムとメロディが微妙にズレるその境に生まれる。

特にライブでは、セッションとして即興で合わせることも多く演奏に緊張感がある。
つんのめるようなリズムに合わせられず観客が置いてけぼりになるのも、それはそれで面白い。
ラップ界隈では、日常的に見られるテクニックですが。


 



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アフリカ音楽

アフロ・アメリカン特有というよりか、フロウする“理由”っていうのが、ポリリズムに起因してるっていうところで。フロウっていうのは、例えば視覚的に言うところのフレーミングなんかと同じで、“二重秩序“があるとボヤけてくるっていう。結局ポリリズムのことなんですよね。
(中略)
例えば両手は、訛らずにポリリズムが出せるわけで。極端な話、手が1本だった場合、ポリリズムを出そうとすると、訛らざるを得ないっていうかさ(笑)。これは単なる一例ですけど、サンバのタンボリンって普通に人が叩くと訛ってるわけね。それは、片手で打ってるからで。両手で打てば訛らない。当たり前だけど、手ひとつに指5本分の秩序があるから、メカニズム的にも、例えばブラジルの打楽器だとか、片手で叩くものは訛ってくるんだよね。
【インタビュー】 DCPRG 菊地成孔×ヒップホップ 〈2〉|HMV ONLINE

アフリカなどの音楽には、複数の拍子が同じ曲に同時に存在する構造がある。
重層的に違う拍子が重なる……いわゆるポリリズムやクロスリズムと呼ばれる。
アフロ・ミュージックに多い。

この微妙なズレが面白い。
 
 

菊地成孔


日本で訛りというと菊地成孔関連を連想する。

まずはプログレッシブジャズバンドTipographica。
“時代劇としての高速道路 Highway As A Samurai Play”
意図的にジャズで訛りを行う実験として組まれたバンドだけに、楽曲はどれも変速を盛り込み訛りっている。
 
 
JAZZDOMMUNISTERS 『DRIVE feat.OMSB,AI ...

さらに菊地&大谷能生のJAZZ DOMMUNISTERS

JAZZ DOMMUNISTERSが面白いのは、ジャズミュージシャンである菊地氏がラップ側からジャズにアプローチしたベクトルの妙だと思う。

たとえばロバート・グラスパーは、ジャズ側からラップにアプローチをすることで名盤BLACK RADIOを作り評価され、ATCQ*1はトラックにサンプリングとしてジャズを使ったけれど、そのアプローチはラップの文脈にある。

菊地氏のように自身が現役のジャズミュージシャンでありながらラップマニアであり、ラッパーとして楽曲に参加しているという特殊なスタンスだからこそこんな変態トラックになったんだろう。
 
 

菊地一派のOMSBは、トラックメイカーとしても素晴らしい才能がある。
(ソロ名義の2ndアルバムはトラックのみ)
この曲はそんなに変速でもないのだけれど、絶妙なリズム感はやはり天賦の才か。
  

そしてOMSBの参加していたSIMI LAB。

ヒップホップはご存知のとおり、カチンカチンのトラックにラップが好きなだけフロウするっていうのが大抵じゃない? だけど、僕の頭の中では、トラックもヨレてる、つまりポリリズム的に“訛ってる”っていうのが出てきたらすごいなっていうのは昔からあって。ウチらDCPRGの演奏はそっちを指向しているんで。要するにヒップホップ用語で言うところの「フロウ」しているんだと。ヒップホップはマシン・ミュージックだから、なかなか”ヨレて”打ち込むっていうことが難しいじゃないですか。だけど、「WALK MAN」は、手打ちみたいにヨレてるトラックを延々と貼ってて、「これはすごい」と思って。
【インタビュー】 DCPRG 菊地成孔 × ヒップホップ|HMV ONLINE

 
  

ARI HOENIG QUARTET


こちらはアリ・ホーニグの変態ドラム。
左手でメロディ刻みつつ、右手右足で徐々に速度を上げていく。
頭の中がどうなってるんだろうか(身体で叩いてるんだろうが)。

実に変態ですね(いい意味で)。

こちらもアリ・ホーニグ。

2012年に来日して行ったコットンクラブでのライヴ映像。
拍子が違うメロディとリズムが同時に進んでいく。
 
 

ANTONIO SANCHEZ

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のサントラを担当したアントニオ・サンチェス。
今さら付け足すこともない超絶テクニックがよくわかるアングルの動画。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

JASON LINDNER

変速かつ変則編成。
ジェイソン・リンドナーに天才ジャズドラマーのマーク・ジリアナ。
ラップとペットが絡み合う変態セッション。
情報量が多過ぎて処理するのが大変。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com
 
 
最近、ガレージなんかのストレートなロックをあまり聞かなくなったのは、こういう変則リズムの面白さを知ってしまったからかもしれない。
ロックでなまったりすれば、それは単なる演奏のズレで処理されてしまいそう。
そういったものを許容はするけれども、要素として昇華せず初期衝動で突き進むのがロックンロールだから*2

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*1:ア・トライブ・コールド・クエスト

*2:要素として取り込んだものはポストロックに分類される。これまでにない特殊な要素があればすべてポストロックに分類されるというのも雑な処理ではあるが