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この映画は何のために? 映画「皇帝のために」

映画

皇帝のために [DVD]

将来を期待されながらも肩を故障し、2軍生活を余儀なくされていた投手 イ・ファン(イ・ミンギ)。
1軍復帰を目指しながらも野球賭博に手を染めていたファンは、八百長に絡んだとして球界を永久追放される。
賭博の金を巡るいざこざで、釜山最大規模の暴力団組織「皇帝キャピタル」の代表サンハ(パク・ソンウン)と出会ったファン。
ファンに底知れぬ魅力を感じたサンハはファンを組織に迎え入れる。持ち前の野心と冷酷さで、ファンは頭角を現していくが・・・。

んー。
韓国のノワール映画好きなんですけどねー。
この映画の場合は、ほめるところが少ないなぁ。
 



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主演のイ・ミンギというと映画「その怪物」で冷酷な殺人犯役を演じたイメージが強い。
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
※惜しい映画ばっかり出てるな……

モデル出身、細マッチョでキツそうな顔つきの個性派俳優。
なかなかいい感じ。
今回、野球賭博で球団を追いだされた男が暴力団に入り、そこで頭角を現すというなかなか難しそうな役柄。
はて、どんなものかなと観たわけですが。
 

ベースボール

まずこの映画って役者はそこそこいい感じなんですよ。
イ・ミンギもいいし、パク・ソンウンもいい味出してる。

ところがシナリオがなんかいろいろ生かせてない。

まず野球賭博で追放された元野球選手かどうかなんてほぼ関係ない。
もっと野球に絡んだエピソードがあるとか、元チームメイトの活躍がテレビで流れるとか(野球は独りでやるもんじゃないんだから)何かあるのかと思ったら単に
「お前元野球選手なんだから野球賭博の担当な」
と任されるだけ。
いやいや、おま(ry

なんかちょこちょこ野球に絡めるんだけど、絡めなくても成立することばかり。
だったら二人でキャッチボールさせて、会話させるとか、野球が暗喩として機能する何かがないのかなぁ。

イ・ミンギは、動けるんだけど、元野球選手なのに戦える理由がシナリオ的に特にない。
問答無用で強いから、これも謎。
アクションは、この手の定番になりつつある鉈でなくて包丁。
なので刺す、斬るが出来るんだけど、重みがない分なんか軽く振りまわしてる感があって。
だったらイ・ミンギに金属バット持たせてS級ヒーローばりにオラオラとボコボコ殴らせる方が、多少カリカチュアライズしていてもまだキャラとしてはアリですよ。
 
 

演出とシナリオ

演出はどうかってーとこれまたなんかパッとしない感じ。

売りとしては

「新しき世界」「アジョシ」「悪いやつら」・・・に続く、韓国ノワールの強烈な傑作が登場!

とあるんだが、比較が悪い。
いやいや、ノワールのクオリティで「新しき世界」にまったく敵わないし、アクションでは「アジョシ」のクラヴマガの方が断然魅せる。
キャラクターに関しても「悪いやつら」の方がクオリティ高い。
比較したらダメですよ。

脱いでるシーンもあるんだけど、無駄に脱いでて必然性が薄い。
ほんと誰のため?

シナリオ的にもねー。
たとえばイ・ミンギは自分が成りあがるためにパク・ソンウンに罠を仕掛ける。
で、その仕掛けが唐突(一応ネタバレなので伏せますが)。
しかもその同じ仕掛けを連チャンでやってしまう。

問答無用の裏社会で成りあがるために何を仕掛けるか、という企みの上手さを見せるから面白い作品になる。
それが上手かったのが「新しき世界」「エレクション」で、今ひとつなのがこの「皇帝のために」。
 
パク・ソンウンのキャラの動機もわかるんだけど、これまた唐突に「実はこんないきさつがあってね~」と急に役柄変更。
それで「助けに来たぜ!」だけっておま……
せっかくなら自身の忠実な部下を連れてくるとか、大番狂わせの仕掛けをするとかあればいいのに。
単に無策なだけじゃねーか、と。。

んで、ラストのアクション。
あそこでイ・ミンギにベタなアクションやらせる物足りなさ。
あの程度で「盤面をひっくり返す」とか、いやなにそれ(小並感

仮に暗殺オチなら松田優作チックに(以下、ベタな演出案)

イ・ミンギが公園を独り歩いている。
すると男が近づいてきた。

男「タバコくれないか」
イ・ミンギ(以下:イ)「……(無視して去ろうとする)」

どんっ、と背中から何かが当たる。
イ・ミンギの背中から男が刃物を刺している。

イ「ぐっ」
男「……」

男を振り払い一撃食らわせるイ。
しかし走ってきた男らが次々刺す。

ロングショット。男らが去っていく。
地面に突っ伏し動かないイ。
そこへ野球のボールが転がってくる。
ボールを取りに来る子ども。イを見て足が止まる。

ゆっくり力なく起き上がりボールを拾うイの影。
子どものミットにボールを渡す。
ボールには血が付いている。
ふらつきながら去っていくイの姿を見つめる子供。

……こういう感じだと単純な暗殺であれ「野球」のボールに暗喩があったり、子どもを絡めることで野球に夢中だった過去の自分の暗喩と暴力団で成りあがり暗殺されたイとの対比にもなると思うんだが。
 

まとめ

さっくり観ればそこまで悪い駄作じゃないのに、こう書いてみるといろいろとイマイチな感じ。
暴力団の割に拳銃すら出てこないのも物足りない。
まぁ、韓国ノワールは面白い作品が山ほどあるのでそっちを観ればいいと思うよ。

……そんなに悪くないんだけど、この書き方だとひどい映画みたいに読めてしまうな。
 


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