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おしゃれモノクロームなボーイ・ミーツ・吸血鬼 映画「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」

映画

ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~ [DVD]

ジャンキー、ポン引き、娼婦・・・、そこは死と絶望に満ちている。
暗闇が覆い尽くす夜、町に現れる黒いチャドルを纏った美しい少女。静かにそして冷たく、町にはびこる悪人たちを襲うその正体は、残忍で美しい牙を持つヴァンパイア。
ある夜、少女は孤独な青年アラシュと出会い、ふたりは急速に魅かれあっていく。それはまるで血塗られた壮絶な世界へとふたりを導くように・・・。

いかにもサブカルなヴァンパイア映画。
映画秘宝、ファンゴリアよりクイックジャパンとかTRUSH-UPで特集載せそうな(載せてそうな)雰囲気。



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光と影

イランを舞台にしたヴァンパイアムービーというかなりの変わり種。
単館系映画らしい小品さ。

白黒の画面はスタイリッシュで、リンチの「イレイザーヘッド」を思わせる張り詰める狂気と陰鬱さを持つ。
吸血鬼もので白黒を使うと鮮血が真っ黒になるあたりとても面白い。
このイラン系アメリカ人監督アナ・リリ・アミルプールの映像へのこだわりは隅々に感じられる。

たとえば二人が向かい合い、部屋で抱き合うシーンがある。
ミラーボールが激しく周り壁を高速の光が横切る中、当の二人は逆光で表情が見えない。
あえて表情を見せないことで細かい感情の機微が見えない。
影の二人が近づき、シルエットのまま抱き合う。

もちろん光と影は人間とヴァンパイアの暗喩。
クルクルと激しく回るミラーボールは二人の感情の高まりを表現してる。
モノクロの画面だからこそ、こういう上手い影の使い方が引き立つ。

ボーイ・ミーツ・ヴァンパイア

ストーリーは、シンプル。

若者の父親はジャンキーで、ポン引きには借金があり、先が見えない日々。
そんな中で若者とヴァンパイアの彼女が出会うボーイミーツガールな恋愛物語。

描き方は、淡々としていながら物語自体は結構急展開。
ジムジャームッシュが描いたヴァンパイアの怠惰な日常「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」を思わせる気だるげな雰囲気と喉笛を掻き切り血をすするヴァンパイアの捕食行為が緩急をつけているあたり魅せてくれる。
ヴァンパイア役の女性がボートネックのボーダーシャツでちょっとフレンチな雰囲気。
ゴダール意識しているのか?と思えなくもない。


劇中使われている音楽もかなりセンスがいいもので、ただかなり淡々と地味な展開なのでアート系な雰囲気を楽しめるひとにはハマりそう。
でも、メリハリのある展開を観たい人にはあまりお勧めできない。

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