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ネカフェ難民 meets 暗黒神話 映画「オカルト」

『口裂け女』の白石晃士監督によるフェイクメンタリーホラー。2005年、とある観光地で起きた無差別殺人に関心を抱いていた白石晃士は、事件の生存者で現在はネットカフェ難民の青年・祥平に出会うが…。

先日観た「放送禁止」の流れでフェイク・ドキュメンタリーをもう一本。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com



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OL3人の旅行を撮影したハンディカメラの映像。
吊橋に差し掛かったとき、突然聞こえる悲鳴。
悲鳴に反応しカメラが向くと、そこにはナイフを振り回し次々人を刺し殺す男の姿。

映画監督である白石晃士は、通り魔事件の生き残りの人々に話を聞き、それを記録している。
生き残った男性の背中にはまるでナイフで刻んだ傷が文様のように何かを描いていて……。

モキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)の本も出してる白石監督作品なのでハンディのカメラ映像が中心。
中でも生き残った一人の男性を描くシーンが多い。
背中の傷跡は古代の何かしらの文様で……というあたり諸星大二郎「暗黒神話」を思わせる展開。
それにしても突然、詳しいことを知ってる専門家として黒沢清が出てきたのは面白かった。
なんか説得力あるキャスティングだわ。

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この男がいわゆるネットカフェ難民(2008年にリーマン・ショックが起きて日本が不況のまっただ中だった2009年の映画)
明日生きる金もないが、何かしらの「奇跡」が起きるというので、白石監督がカメラを手渡し、その奇跡を撮影出来たらギャラを渡すという契約をする。
奇跡と言っても最初は手品レベルの小さいことなんだけど、どんどんと……常軌を逸したコトが起き、徐々にいろいろなことが歪んでいく。
 
まぁ、大オチが「うわぁ」という感じなんだけども、この辺の描写がざっくりしてるのは旧作「ノロイ」でも特殊な空間との境目の処理が雑過ぎて冷めた過去があるので予想の範囲内、

そこに至る過程が面白いんですよね、過程が。
だからもっと途中で終わって丸投げにしててもそれはそれでよかったんじゃないかなという。

オカルト作品を観ているはずが気づけばネットカフェ難民の日常とオッサン同士の友情物語を観ているという不思議な映画。
最後のあたりの使命感は、イスラム系のテロリストの心境を想像するとあんなものなのかもしれない。

オチに目をつぶれば充分オススメな一作。

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