タイトルで損してる名作 映画「コインロッカーの女」

地下鉄のコインロッカーに捨てられた赤ん坊。成長した彼女は、裏社会を支配する“家族”の一員となる。そんな中、イリョンは父親が残した多額の借金を抱える青年ソッキョンの元へ取り立てに行くが、不幸な生い立ちでもめげない彼に次第に惹かれていく…。

“コインロッカーの女”ってまんま。
このタイトルで韓国No1って……と思ったらNo1も納得の内容だった。
地味なタイトルと違い、とてもよくできたいい作品。

これは推せる。



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あらすじ

10番のコインロッカーに捨てられていた孤児が主人公。
ホームレスに育てられ、その後闇金組織の元へ。
そこで『娘』として育てられる。

成長したイリョン(捨てられていたコインロッカーの番号”10”という意味)。

借金取りとして生活する中、一人のコックを目指す青年と出会う。
青年の父親はイリョンの『母』が運営する闇金組織に借金をしている。

恋未満の感情にイリョンが動揺。
そんなとき、青年の父親が夜逃げ。
イリョンの『母』は青年の身柄を拘束、臓器を売ろうとするが、それに気づいたイリョンは青年を逃がそうと……。

と言うストーリー。

監督は、ハン・ジュニ。
なんでも初監督らしいが、初めてでこのクオリティとは。
 
 

演技

よく演技演技というけれど演技というのは、説得力なんですよ。

観客はウソだとわかって物語を見ている。
役者はウソを演じてるなんてわかってる。
でもそれを観客に納得させるだけの説得力を持たせなきゃならない。

主演のキム・ゴウンは、映画「その怪物」で頭の弱い女の子を演じてた女優さん。
一見、そんなに可愛くないんだが惹きつける魅力がある。

そして演技力がまぁ、高いんすね。
もともと演技力でオーディションを勝ち抜いてデビューした人なので。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com
 
少し残念な映画「その怪物」の中でも演技が際立っていたキム・ゴウン。
今回借金取りとして育てられた孤児の娘を演じる。

少し影があり、感情を表に出さず、不器用。
そして恋心に揺れ、キム・ヘス演じる『母』との関係に悩む。

『疑似家族』組織を支配する『母』キム・ヘスの押さえた演技もいい。
組織のリーダーであり、激昂することなく淡々と無慈悲に決断を下す。
 
そんな冷徹な『母』も『娘』の前で素顔をさらす。
『母』は親子としての感情と組織のリーダーとしての意識の間で揺れる。
 
 

家族

物語の中心にあるのは、家族。
金貸しの元締めである母、その下で働く孤児で形成された疑似家族であれ。

娘が恋に落ちたことで歯車が狂い、『疑似家族』のコミュニティが崩壊していく。

この家族は、女系なんですよね。
一家の主は「母」
なので疑似家族もまた代替わりをするなら次は女性が相応しい。

母は、母。
「死ぬときがくるまで死ぬな」というのも母の願い。
 
 

最後に

日本だと、安易に逃避行に展開させるような話なんですよね、これ。

若手美形女優演じる恋に落ちた娘が、ジャニーズ辺りのアイドルユニット一推し男と駆け落ち。
それを中堅俳優が演じる悪の組織が追うなんてありがちな展開。
主題歌はもちろんアイドルユニットの曲で。
うわぁ……ドイヒー。

家族崩壊の方向に持っていくのは、今作のテーマが「恋」ではなく「家族」だからでしょう。
主人公がマッチョじゃないので、派手なアクションは控えめ。
代わりに押さえた演技で見せる。

武器は包丁や飛び出しナイフ、金属バット。
韓国映画お馴染みの鉈や手斧は出なかった。
銃が出ないのも面白い。

一つ難点を言うなら音楽の演出が少しベタか。
哀しいシーンでバイオリン流しちゃうみたいな。
ムダに音楽を重ねず主人公の動揺を伝えるような自然音で緊張感は出る筈なんで。

いやー、いい映画を観た。 
是非観ていただきたい一本(iTunesでレンタルしてるんで)。
ベスト10級じゃないですかね。

もちろんトップは、不動の「新しき世界」ですが。
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
 
観終わって「いやーよかったなーこれはすごいわ」と思い、テレビを付けたらスケートの羽生結弦が映画「殿、利息でござる」に出るというニュース。
……。
日本映画界は、危機感持てよ。


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