テリー・ギリアム流ディストピアな社畜の未来 映画「ゼロの未来」

コンピューターに支配された近未来。天才プログラマーのコーエンは、荒廃した教会に一人こもり、謎めいた数式「ゼロ」の解明に挑んでいた。ある日、パーティーに連れ出されたコーエンは魅力的な女性ベインズリーと出会う。最初は困惑するコーエンだったが、次第に彼女に惹かれていく。また同じ頃、「ゼロ」の秘密を知る青年ボブとの友情も次第に生まれ始める。閉ざされた世界で、愛と友情に気づいたコーエンの人生は大きく変動していく。孤独に生きてきた男が人々とふれあい見つける、本当の幸せとは――。そして「ゼロ」を解明することはできるのだろうか――。

ディストピアな社畜の未来予想図。



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プログラマーの主人公コーエンは常に締め切りに追われ、休暇を申し出るがそれも却下される。
いわゆる社畜生活の中、教会に引きこもりひたすら「ゼロの定理」を追い求めるコーエン。

モニターの向こうの数字を相手に、ゲームのように仕事をする(コントローラーで数字を嵌めこむのは効率悪そうだが)コーエンの楽しみはヴァーチャルポルノと妄想の先の海辺。
孤独なコーエンを心配するのはオンラインのプログラム精神科医だけ。

「我々が今生きる時代は、消費、物質主義にまみれ、その間に『生きている意味はなにか』など、本当に大切な問いをしなくなっている。そして、ただただ自分を忙しくさせている、それが現代人ではないだろうか。蟻とか蜂は自分の存在意義など考えないだろう。現代社会はそういう人間ばかりが存在するんだ。ソーシャルメディアが、我々を社会的昆虫(ソーシャルインセクト)、あるいは集団行動をする昆虫にしてしまったのではないかというのが、僕の論理なんだ」

そして、我々現代人は「“コネクテッド”(接続している)な世界に生きている」と表現し、「果たしてそこから逃げることができるのだろうか。あるいはそんな世界で人は1人になることができるのか、あるいは自分自身は誰なのかを考えてみるのが面白いんじゃないかと思ったんだ」と本作に込めたテーマを説明する。
ゼロの未来 インタビュー: テリー・ギリアム、情報化社会に生きる若者にメッセージ「自分なりの世界の見方を見つけること」 - 映画.com

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監督テリー・ギリアムは、難解な作風で知られるが、今作はかなりわかりやすい印象。
仕事の縛られ生きる社畜は生きる意味を求めても得られず、ひたすら仕事に追われ続ける。

しかし企業にとって社畜は社畜でしかない。
切り捨てられれば一瞬で終わり。

会社に逆らいドロップアウト。
あとは好き放題、妄想のモラトリアムにでも暮らすしかない。
生きる意味とは何なのか。

仕事に追われ、誰かが求める意味のために自分の時間を使うのか。
それとも社会からドロップアウトし、ひたすら妄想と孤独の中に暮らすことが意味のある生活なのか。
想像力の浜辺で太陽を弄ぶコーエンが、テリー・ギリアム自身に重なって見える。

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