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2016年リアルタイムな日本語ラップの極北 文化系ラップシーンの面白さ

kai-you.net
最近「初心者が聞くべき~」と題した古典(1980~)ラップまとめ記事が書かれて、そんな盛り上がりの中で、上記のようなリアルタイム性のあるまとめも出てきた。 

個人的には、初心者だろうがわざわざ古典から聞く必要はなく、今リアルタイムな曲から聞けばいいと思う。
(ミステリーをホームズやチャーリー・チャンから読む必要はない)
どうしてラップ初心者がわざわざ「今夜はブギーバック」や「おら東京さ行くだ」から聞かなきゃいけないんだ?
あんなので本気でオススメしてんのかねwww(と軽くBEEFしといて)。

個人的に好きなラップが入っていなかったので幾つか挙げてみたい。
あまりマッチョなものは好きじゃなく、どちらかといえば文化系ラップ好きなので、初心者向けかどうかは知らない。



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moe and the ghost

※動画はmoe and the ghostと空間現代のコラボアルバム

上の動画はアバンギャルドなスリーピースバンド空間現代とのコラボアルバムから。

MC萌の透明感がありときに激しいライムが美しいmoe and the ghostsは、現代のラップ界の中でもかなりの異端。
ラップの文脈よりポエトリーリーディングを思わせる。

萌のライムは独特のフローで、アンビエントなトラックに違和感なく一体化してる。
しかしmoeさん、憧れたラッパーはバスタ・ライムスだそうで*1
ゴリゴリなのが意外すぎ。 

RAP PHENOMENON
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Moe and ghosts × 空間現代
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jinmenusagi

現代のラップを語る上でネット系ラップシーンを考えない訳にはいかない。
特にニコニコ動画を中心にしたラップ(ニコラップ)界隈は盛況で特異で自由な才能が多く排出されている印象。

そんな中でもいろいろと尖った印象があるのがjinmenusagiじゃないだろうか。
ストリートの匂いを感じさせるが純ストリートじゃないのがネット系ラップの面白いところ。

ジメサギ
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Jinmenusagi
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SALU

「SALUはヤバイ」「絶対チェックしとけ」という声を見かけた記憶がある。
美しいこのフロー、心地のいいズレこそが持ち味。
一見いわゆるNujabesからあるような単なるジャジーなヒップホップと同じと思えなくもないが、聴きこめばわかる異なる文脈。
こういった唯一無二の感覚は、やっぱり天才だろうなーと。
(tofubeatsとコラボするとポップ感あるなー。随分聴きやすくなる)

スタイルがかなり変化してきていて、個人的にはデビュー当時よりも今のスタイルのほうが好きなんですが、どーすかね。
 

Good Morning
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SALU
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ぼくのりりっくぼうよみ

らっぷびと、daoko、先に挙げたJINMENUSAGIなどニコらっぷ(ニコニコ動画のラップ)出身でメジャーデビューするラッパーが最近多い。
中でもぼくのりりくぼうよみは、いわゆる旧来的なラップのフォーマットに縛られない独自の感性を持っているように感じる。
一番メジャー感がある、というかこれこそ初心者にも聴きやすい一曲じゃないだろうか。

hollow world
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ぼくのりりっくのぼうよみ
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OMSB(ex.SIMILAB)

元SIMILABのMC OMSBは、トラックメイカーとしての才能も素晴らしいんだけれども、やはり今のラップ界では異端。
先日、フリースタイルダンジョンでライブを披露していたが、あの観客を相手に変態トラックなこの音を鳴らすOMSBの姿には少しズレを感じた。
それはそれで面白かったが。
入江陽のねばっこいボーカルに参加したこちらも必聴(大谷氏もちらっと出てる)。


ちなみにOMSBが去年出したアルバムは個人的2015年ベストアルバムの一枚。
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
 

Think Good
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OMSB
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現代日本のラップ

現代日本のラップシーンは独特の流れを持っていて、特にリリスクやライムベリーなどに見られるようなアイドルラップは最たるものだし、daokoや泉まくらのような文化系(サブカル的な)女性ラッパーも独特のシーンを築いてる。
もちろん去年話題になったロバート・グラスパーやヤシーン・ベイ(モス・デフ)のようにJAZZとラップの垣根を超えるような(ラップの側からの)動きは日本でも起きているし、今ジャズとラップの蜜月はまだまだ続く。
菊地成孔が、次回の大西順子のアルバムをプロデュースし、その中でOMSBが参加しているというのも大きなポイントだろう。
miyearnzzlabo.com

14歳なのにストリートの匂いを感じさせるKiano jonesのような次世代も出てきて(成長期なんでトラックが違うと声変わりしていて面白い)いたり、IO(KANDYTOWN)のような素晴らしいラッパーも排出されている。
日本のラップ界は多様性があり、どのシーンを聞くかによってラップの印象が変わる気もする(“日本語ラップ版『ILLMATIC』”って煽りはキツいがIO「Soul Long」は2016年の必聴盤だと思う)し、シーン全体を幅広く聞くのが面白い。

ゴリゴリのハードコアばかり勧めるのは実にセンスが狭い。
せっかく日本語がわかるんだから「悪そうな奴はだいたい友だち」なギャングスタなラップだけではなく幅広い、現代日本の文化系ラップシーンも是非聴いていただきたい。

初心者初心者言うなら「文化系のためのヒップホップ入門」一冊読めばいいような気がしなくもないがね。

Soul Long

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【関連過去記事】
azanaerunawano5to4.hatenablog.com

*1:「菊地成孔の粋な夜電波」で発言