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クラクラさせるアトラクション映画「ゼロ・グラヴィティ」

地球から60万メートル上空。スペースシャトルでのミッション遂行中、突発的事故により、無重力空間(ゼロ・グラビティー)に放り投げ出されたふたりの宇宙飛行士。ふたりをつなぐのはたった1本のロープ。残った酸素はあと僅か!真っ暗な宇宙空間の究極的な状況の中、果たしてふたりは無事、地球に生還することができるのか…!

もう各所でさんざレビューも書かれているでしょうが。
今さら感満載で。



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無重力感

映像体験的な作品であるのは間違いなくて、無重力表現をするために画面の軸を定めずに時々に変えることによって固定された軸を定義しない。
たとえば過去の宇宙を舞台にした映像の多くで無重力感を感じないのは、そこに明確な軸が存在する。

スターウォーズにおいての宇宙空間描写は、明確に上と下が存在し、そこに重力は存在しないはずだがカメラの軸とXウイングの上下が揃うことで、観客の認識する上下と差異が発生しないようにできている。
ドッグファイトが行われるがデススターを地面として固定された天と地が存在する。
だからスター・ウォーズのドッグファイトに無重力感はあまり感じない。
観客の天地とカメラの天地は一致してる。

その点、ゼロ・グラヴィティでは視点を固定しないからこそ無重力感が観客にも感じられる。
視点の天地が一致しないからこそ観客は違和感を覚える。
身体的な感覚と視覚的感覚が一致しない。
視点が定まらない不安感がこのゼロ・グラヴィティのエンターテイメント性の根幹であり、アトラクション感の根源をなしている。

暗喩

サンドラ・ブロックの露骨な胎児のポーズを見るまでもなく、この映画は出産の暗喩が多い。
特に臍帯を思わせる紐が多く登場し主人公らに絡みつく。
紐は命を繋ぎ止めるものでもあり、命を奪いかねないものでもある。

ソユーズは子宮の暗喩として機能し、サンドラ・ブロックは中に入り胎児のポーズになる。
そしてそこから出産……母なる地球へと向かう。
地上において湖に着陸するのも意図的。

水は、異世界との扉として機能する。
映画「コンスタンティン」においても浴槽に張った水が異世界との出入り口。

紀里谷和明の映画「キャシャーン」でプールの中で聖別されたキャシャーンが誕生するシーンがあるが、キリスト教の洗礼を水の中で行う(赤ん坊を水につける光景を見かけますが)のも水が生と死を意味しているから。
サンドラ・ブロックは湖の中を通り生を得る。

アトラクション的

ストーリーとしては「事故って生き延びる」以外のものはない。

緊張感を増すための冒頭の長回しや、
アトラクション的体験を与える映像の斬新さを楽しむ映画。

正直、音楽がうるさい。
もっと無音に呼吸音だけで緊張感を増すようなシークエンスが多くてもよかった気がする。
この映画の音楽は生きることや地上とのつながりだからこそでもあるけれど。

ゼロ・グラビティ(字幕版)
(2014-04-08)
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