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シンゴジラの自衛隊と真反対な米軍の素早さ 映画「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」

神に等しい力を持ちながらも”正義の味方”から”人類の脅威”へとなってしまったスーパーマンに、”生身の人間”であるバットマンはいかにして立ち向かうのか?そして、この壮絶な死闘の果てに待ち受ける、本当の正義とは?

レンタル開始したので観賞。
アマゾンインスタントビデオだとSDで299円とお安い。

※多少のネタバレはあり



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表の顔と裏の顔

バットマンとスーパーマンはかなり双極的な存在で、たとえばバットマンは表では大富豪ブルース・ウェインとして活動し、裏ではバットマンとして悪党を倒している。
一方、スーパーマンは表の顔で、裏の顔が新聞記者クラーク・ケント。
ナチュラルに強いデミヒューマンのスーパーマンと科学技術で人間の力を強化しているバットマン。
表裏の2人が相性いいわけもなく。

一方、日本のヒーローは、モラトリアムの住人なので表の顔を持たなくても成立している。

ジャッカー電撃隊は国際科学特捜隊だし、ゴレンジャーは国際秘密防衛機構イーグルの一員であってヒーローであること自体が表の顔。
仮面ライダー宛に悪の組織から「あけましておめでとう」と書かれた年賀状だって届く。
日本では礼節を重んじるので悪の組織ですら年賀状は書く。

なので法に依らない「正義」を行うことについて苦悩しない。

日本では、倒した怪人は死ぬのではなく爆発四散する。
ライダーキックで蹴り、穴が空き内臓がドロドロ出るのでは子供が憧れない(親が見せない)
そこで爆発したりする。
最近では撮影が楽なので溶けることも多い。
アメリカの怪人は爆発しない。
警察に引き渡し投獄される。
怪人を縛るルールが、日本では私刑なのに対し、アメリカでは私刑→刑法なのも面白い。怪人専用の刑務所に入れられる。
今度の映画「シーサイドスクワット」に登場する怪人らも刑務所に収監されてワイルドセブンみたいな展開になる。

日本の怪人は問答無用で絶対悪なので殺していい。
そこで悪とも言い切れないシーボーズのような怪獣はウルトラマンが怪獣墓場へ送り届けるし、ジャミラのような半人間の怪獣は悲しいエピソードとして語られることになる。
モラトリアムの住人であるヒーローと怪人・怪獣のパラダイムで刑法で裁くという判断はされない。

序・ワンダーウーマン

閑話休題。
本作はいきなりエイリアンの侵略からスタート。
唐突に感じるけれど、もちろん9.11の暗喩と考えて、ここだけは描きたかったということでしょうが。

スーパーマンの正義とは、暗喩的にアメリカの正義なんだけれど強大な力を振るい抑止するスーパーマンのやり口が現実に当てはめればうまくいくはずもなく。
バットマンのやってることは自警団、私刑警察でこちらの正義も歪んでる。
法の元に準じなければならない社会的に認められる正義とそういう権利を持たないデミヒューマンや金持ちの超特権的な正義がアメコミヒーローの抱える闇であって、映画「ダークナイト」ではそんな影の正義を描いた。

今作では2つの相容れない「正義」を描いてる。
さらに来年公開ワンダーウーマンへの壮大な前振りでもある。

肝心のスーパーマンvsバットマンに至るまでのバットマン修行シーンはロッキー・バルボアばり。
キン肉マンもそうですが、修行シーンを入れることで強くなった理由付けを強固にする意味を持つ。
しかし人間とスーパーマンでは悟空とミスターサタンくらい実力差がありすぎなので、資本主義の末裔であるバットマンは金をかけて奥の手としてトラップを仕掛け、直接ダメージを防ぐフルメタルバットマンとして戦いを挑む。
あの筋肉強化のほとんどは、フルメタルスーツ(鉛)を着ても動けるようにするためだと思われ。

この二大ヒーローによるプロレスが肝心なシーンだけれども、リングで決着をつけるわけにいかない試合は常にノーコンテストと相場が決まってる。
そもそもバットマンはスーパーマンを亡き者にしてそれでも自分の正義の執行で充分間に合うと思ってたんだか……。

米軍こわい

それにしても米軍の出動は驚く速さ。
そもそも市街地で異常事態が起きて「立ち入り禁止です」というニュースの一言で処理するあたりは当然とはいえ実にあっさり。

市街地で異常事態→米軍スクランブル→「丁度ひとがいない時間帯で助かりましたね」→ビルにミサイル撃ち込む

これ、シンゴジラなら延々会議やったうえで、民間人の避難誘導を確認し、事務手続きを踏んで、特別法で自衛隊を市街地へ派遣し、総理の決断があってからようやくゴーサインが出るような展開ですが、アメリカはあっさりここまで行くんだから。
異常事態とはいえ、躊躇なくビルにガンガンミサイル撃ちこむ米空軍怖い。
他国じゃなくアメリカなんですが……。

www.imdb.com

IMDBを見てると高評価がなかなか多いのも原作を読んでるからいろいろな部分がつながるからで、これをアメコミも読まずに初見や映画だけの知識で見ればそりゃあ評価も低くなる。
原作ファンは10か0かって極端な評価の模様。
日本だと、よくわからないとかついていけないとかワンダーウーマンって誰だよとか、そういう感想も散見する。

ザック・スナイダーの映像や無茶苦茶しまくるバットマンもなかなか面白かった。
それにしてもベン・アフレックがいつも無精髭バットマンなのって、さわやかスーパーマンと差をつけるためなんだか……。

来年のワンダーウーマンに期待しつつ。

ところでレックス・ルーサー。
表は企業の顔で裏では傭兵部隊を送り込み……ってあたりまるでアルカイダに(結果的に)武器供給してたアメリカ自身みたいな。