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映画「REC3 ジェネシス」を見て考えるホラー映画の恐怖と反比例する情報量

謎の感染者に襲われる人々の恐怖を残酷描写満載で描くスペイン発のホラー第3弾。周囲から祝福され、結婚式を迎えた新婚夫婦・コルドとクララ。しかし、和やかな披露宴の会場で突如醜悪な姿に変貌したコルドの叔父が、参列者に襲い掛かり…。

毎度おなじみPOVホラー「REC」もパート3。
1、2、4と違い監督ジャウマ・バラゲロが制作に回った今作。
よほど暇なら観ればいいですが。
いつものお決まりの感染者が増える→逃げる、という展開は変わらず。

なので余談として既知と恐怖について。
あとネタバレも多少ありで、以下。



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未知

恐怖というのは未知に対して感じる感情。
たとえば話が通じない相手は怖い。
同じ人間であっても、相手が何を考えているかわからなくなった途端、恐怖が巻き起こる。

だからドラマ「ウォーキング・デッド」のゾンビは怖くない。
アレはもはや日常であって、一定のルールが存在し、未知の存在ではない。
対策が確定していて対応策があれば対処はできる。
しかも「ゾンビ」というクリチャーは有名になりすぎた。

今度「リング」の新作が上映されるのだそうで。
ビデオの時代は終わったのでブルーレイを飛び越え、ネット動画だそうですが、ここまでモロに登場するともはや別物のクリーチャー。
単に貞子という記号を使っているだけで、キャラとしては死んでる(生物的生死の意味ではなく)。
呪いが拡大しまくってネット動画で大量虐殺起きるなら黒沢清の「回路(ry


ホラー「イットフォローズ」の追いかけてくる“何か”はよくわからない。
理由がよくわからないところが恐怖の対象。

ただ交通機関は使えない、徒歩で来るというのはわかっている。
だからアメリカ西海岸と東海岸を飛行機で往復していれば「追いかけてくる何か」から逃げることは出来る。
そういう具体的な対処の方法を考えついてしまうとコメディみたいになってしまう。

「イットフォローズ」はホラーというより、ホラーの形式を借りた暗喩満載の映画なのでそこまで怖さを求めてないんですがね……。

ディセント

映画「ディセント」は素晴らしいホラーだった。
女性グループが洞窟探検に出るが落盤事故に合い、そこで未知の恐怖にあう。
暗喩として子供を失った女性の胎内巡り。

そして二作目は、一作目で既知となった恐怖に対して不死身のジークフリートのごとく圧倒し暴れまわる。
主人公は逃げ出せるのに逃げ出さず立ち向かい戦う。

これは「エイリアン」の一作目でリドリー・スコットがSFホラーとしてエイリアンを描いたのに対し、二作目でジェームズ・キャメロンはその恐怖の対象が既知となったことで立ち向かい全面抗争になったのと同じ構造。
未知が既知になったからこそ正面から戦える。

一作目と同じく二作目で同じホラーをやってもしかたがないこと。
残念ながら「REC」なんかはそれをやってしまう。

弱点

ドラキュラが怖くないのは、太陽の光が苦手だとかニンニクがダメだとか十字架がダメだとかそういう弱点が既知になっていることが原因だろう。
明確な弱点、というのは勝てる→生き残れる、助かる隙がある。


さて急に話を「REC3」に戻しますが、RECに登場するクリーチャーはゾンビっぽいがゾンビではない。
人工的に悪魔憑きを起こすバイオテロを画策した結果があれ。
REC3は結婚式場が舞台ということで教会が登場する。
悪魔、教会……。

これまでのアパートなどと違い教会というアウェイの中で悪魔憑きは当然ながら対策されてしまう。
「幽霊が出てきてお経を唱えたら効いた」みたいなもんですよ。

なんだかわからない、かなわない、次々死んでいく。
それがホラーにおいての恐怖の根源。
キリストのご威光が効いちゃうクリーチャーなら観てる側は「だったら○○で助かるだろ」と既知になってしまう。
ここで肝心なのは登場人物にとって既知なのか、観客にとって既知なのか。

登場人物はバカのふりをして未知としてキャーキャー言って逃げまわるのが当然。
観客も同じく未知であれば、その登場人物のキャーキャーに感情移入できるのに、観客にとって既知であれば登場人物の未知に感情移入しづらい。
観客はわかってるのに、登場人物は舞台の上でわかってない。
それこそ「志村後ろ!」状態。

ホラーにおいて情報というのは少なければ少ないほどいい。
恐怖と情報量は反比例する。

そういう意味で「REC」というのが、キリスト教圏のクリーチャーだとわかってしまったらあなた……。
ホラーに意味や動機や理由なんていらない。

「REC3」はよほどヒマなら観ればいいのではないかと。

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