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パワーインフレと表現の限界 映画「ドラゴンボールZ 復活のF」

ドラゴンボールZ 復活の「F」 [Blu-ray]

宿命の激突!! 神を超える戦いが始まる――!!!!
破壊神ビルスとの闘い後、再び平和が訪れた地球にフリーザ軍の生き残りであるソルベとタゴマが、ドラゴンボールを求めて近づいていた。その目的は、軍の再起のためにフリーザを復活させること。宇宙史上最悪のその願いは遂に叶えられ、蘇ったフリーザは悟空たちサイヤ人への復讐を目論む・・・。そして、地球に新フリーザ軍が押し寄せ、悟飯、ピッコロ、クリリンらは1000人の兵士と激突。悟空とベジータは、フリーザとの宿命の対決へと挑むが、フリーザは圧倒的なパワーアップを果たしていた!
「お見せしましょう・・・わたしの更なる進化を!!!!」
今、限界を遥かに超えた戦士たちの空前絶後の戦いが幕を開けようとしていた――。

テレビでやってたんで観ました。



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最近はテレ東「ふるさと再生 日本のむかしばなし」の方が日曜朝からドップリ鬱話を流したりするのでドラゴンボールを一切観てないんでなんとも。
ジャンプ系漫画の劇場版はだいたいシンプルと相場が決まってるけれど、それにしても。

これ、

→ドラゴンボールでフリーザ復活
→地球にやってくる
→悟空が来るまで他キャラがフリーザ軍の相手&ジャコがゲスト出演
→悟空が来てフリーザと対決
→破壊神ビルス登場

……と、このあとはネタバレなのであえて書きませんが。
やってることが

フリーザが復活して襲ってきた(以上)

これ以上でも以下でもない。

で、目新しい何かがあるのかといえばフリーザが新しい変身を手に入れて、悟空も新しい変身をしていて、でも絵の表現的に強さが行き切っているのでこれ以上が出来ない。

ドラゴンボールは、パワーインフレーション。
「強い敵が登場→悟空が強くなる→強い敵が登場→悟空が強くなる→強い敵が登場→悟空が強くなる→強い敵が登場……」
これを延々繰り返した。
その結果、惑星を吹き飛ばすとか言うレベルにまで達してる。
実際、フリーザ編で既にそれをやってる。

で、悟空もフリーザも強くなったらさらにそれ以上の強さの表現がビジュアル的に必要なんだが、残念ながらそれがない。
強さは相対的。
この映画の中での強さ表現としてのマックスを悟空とフリーザにおいている。
ドラゴンボール世界の中の強者*1である破壊神ビルスを登場させ「フリーザ強くなったな」と語らせることでフリーザの強さの担保にしてる。

強い人間が強さを認める→つまり強い

なので戦いの描写はあいも変わらず、ドカドカ殴り合い。
一撃決まれば地面に叩きつけられ岩山にぶつかってチュドーン。
フリーザに気合が入ると(怒ると)モーセの十戒のごとく海が裂け岩が舞い上がり……ってそんなの過去にやってなかったっけ。

つか、その力表現が全編に必要だがそこまでやるのも厳しい。

本来、フリーザというキャラは段階を経て変身をする→強くなるという理由付けを持つキャラ。
今作ではこれまでの変身を経てさらに上の変身を手に入れて……なんだけどその表現はもう限界。
フリーザは超絶強くなって今の悟空に届くか?ってレベルならもうクリリンらはその威圧だけで立ってられないとか、空間が歪むとか、そういうビジュアル表現だったりするのかもしれない(観客層を考えればそういう表現は難しいのでヒュンヒュン効果音を鳴らし、光らせるしか無いが)。

たとえば強さ表現は、

・ゆっくり動く<一瞬で動く(シュンと音を立て瞬間移動)

・殴ってダメージ<殴ると相手が吹き飛ぶ

・殴られると転ぶ<殴られて飛ばされ壁にぶつかり壁をぶちぬく

・光線を発射すると相手にダメージ<光線で惑星を破壊

キャラによって表現に差をつけ、力の差を観客に感じさせる。
以前はスカウターという力表現に便利な数値アイテムがあったけれど、もうそれも使えなくなった。

相手を殺すのも遠慮が必要なので、肉体破壊系の表現はあまり使えない。
悟空が殴る→相手の頭が弾ける、はちょっと……(幾ら、その後はメルヘンの地獄に行くとはいえ)。
悟空の場合は、
かめはめ波→シルエットの敵が消える
これだと肉体破壊系だが残酷さがない(消えてしまうので肉片が残らない)。
悪の側のフリーザが破壊系をやるのはオッケーですが。

アレだけシリーズやってれば、悟空の強さ表現は次元を曲げるとか岩を殴ると原子分解するとか、そういうレベルに達してるんだけど、もう破壊される表現に惑星以上がないから悩ましい。
本来であれば人間である武天老師やクリリンらよりも圧倒的な差の強さ表現をしなければならないんだけれども。

どれだけ強くなっても空中に飛んで殴り合い。
光線を飛ばして最後は気合合戦。
で、決着は危機に陥ってから、逆転の一発ネタを何か。

これをずーっと繰り返した結果が、復活したフリーザの芸の無さなわけですが……。

その点「ワンピース」は便利。
敵も味方も「能力」なので強さ一辺倒ではなく、応用が効く。
新しい能力者が登場すれば目新しさが出る。


力と気のバリエーションのみのドラゴンボールでの限界が露骨に見えてしまう作品だった。
コメディに傾倒してるのもそりゃあしかたない。
シリアスにやっても物語も、表現的にも厳しい。
だからモロに「悪のスーパーマン」を意識した未来編へ繋げるしか……。

ドラゴンボールZ 復活の「F」 [Blu-ray]
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*1:本編では更に上の存在が出てるらしいが観てないんで知らん