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絶望と挫折からの復帰 ドキュメンタリー「ジェイク・ザ・スネークの復活」

社会 映画

HULUよりNETFLIXの方を選ぶのは、こういう良質なドキュメンタリーが多いからだと思う(あとオリジナル作品もクオリティが高い)。
これは素晴らしかった。


かつてリングで脚光を浴びたプロレスラー ジェイク“スネーク”ロバーツ。巨大な蛇を手に相手を威圧、決め技であるDDT*1を決める姿にファンは歓喜した。

しかしジェイクは徐々に落ちぶれ、酔っ払った状態でリングへ上がり失態を晒す。
そのままリングを去った彼は孤独に暮らし、アルコールに溺れ依存症に。
体重も増え、すっかり身体も動かないロートルになった。
暴飲暴食の果て、ボロボロになった身体でなんとか生きている。

そこでジェイクの後輩レスラー ダイヤモンド・ダラス・ペイジが立ち上がり、ジェイクをアルコール依存から救い出すために力を尽くす。



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WWE レジェンド フィギュア ジェイク ザ シェイク ロバーツ

海外プロレスファン的には、WWEの実況解説でお馴染みJB、スーパースターのエッジやストンコ*2、クリス・ジェリコらが登場し、先輩ジェイクについてコメントするだけでも価値がある。
プロレスを知らない人であっても復帰も厳しいと思われた年老いたレスラーが、仲間の協力でアルコール依存から抜けだそうと努力する様子には、伝わるものがあると思う。

ジェイクはことあるごとに幼いころ父親に「お前は成功できない」と言われ、認められなかったと語り「誰かに認めてほしかった」からプロレスというショーの世界に飛び込んだと語る。
リングの上で賞賛を受けることで承認欲求が満たされてきた。
しかしそんなリングから離れればそこには誰からも認められない自分だけが残る。家族とも疎遠になり、身体は衰え、孤独に暮らす日々の中、自分のダメな面ばかりが見え、心の奥底に突き刺さった父親の言葉がトラウマとしてよみがえる。

高校を卒業した時“大学に進学したい”と話したら“お前みたいなやつは絶対大成しない”と言われた。
それを聞いて恐ろしいほど怒りがこみ上げた。
プロレスラーにはならないとずっと決めてた。
(監督:結局なったね?)
見返したかったんだ。
父が誇りに思うようなレスラーになってやるとね

途中、スコット・ホール(元祖レイザーラモン)が登場。
ペイジのところへやってくる。
スコットは有名な悪役レスラーだったが、引退し鬱になり酒に溺れている。
アメリカのプロレスラーは体を作るためのステロイド注射の影響で鬱になる事が多いともいう。
車椅子で登場するスコットは手術を受け、ジェイクらに合流し共に復帰を目指す。


プロレスにはリングの上の世界とそれ以外の現実の2つがある。映画作品の中だけで役を演じる俳優などと違いリングの上で戦うレスラーのキャラクターは賞賛されるレスラーとしての姿と現実の自分とのギャップに悩む。
ダーレン・アロノフスキーの映画「レスラー」でミッキーロークが演じたレスラー ランディも心臓病を患いリングを降りるが、体にムチを打ち再びリングへと上がる。

プロレスはきらびやかな世界だが怪我が絶えないし、ハードだから選手としての全盛期も短い。
リングを去ったあとは火が消えたように生気を失うのかもしれない。

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以前、WWEの裏側を描いた映画「ビヨンド・ザ・マット」にも登場していたジェイク・ロバーツがこんなことになってるとは。
ジェイクにしろスコットにしろ、かつての活躍を知っているので、すっかり太り車椅子で登場する姿にはやはり衝撃的なものがある。
そんな彼らが回復へ向かい、記念式の壇上で「信じていれば夢は叶うんだ」と語る姿には説得力を感じる。
そこらへんの言葉だけの薄っぺらいアメリカンドリームではなく、落ちぶれ自殺寸前まで行ったレスラーがもう一度立ち上がるまでを目の当たりにすれば。

昔、WWEを見てた頃にはダイヤモンド・ダラス・ペイジってあまり好きじゃなかったが……どんだけ信義に厚いいいやつなんだろう。
なんでデューク更家みたいになってんのかだけは謎だが。

にしてもNETFLIXは良質なドキュメンタリーが多い。
プロレスに興味があってもなくても加入してる方には、是非一度見ることを勧めたい名作(真顔)。

www.netflix.com


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*1:フロントチョークのまま相手の頭をリングに叩きつける技

*2:ストーンコールド・スティーブ・オースチン