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ゲットー発、ヒップホップ経由 ストリートファッションの黎明から隆盛まで ドキュメンタリー「フレッシュに着こなせ」


ヒップホップといえば、まずラップ音楽を連想するが、ヒップホップとは大きなジャンルを指す。
ラップ音楽やブレイクダンス、グラフィティ(スプレーなどで壁に書く絵)などがヒップホップカルチャーに含まれる。
このドキュメンタリーでは今やストリートファッションとして広まったヒップホップなファッションのこれまでの歴史を紐解いたドキュメンタリー。
非常に面白い。



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かつてイギリスなどではぜいたく禁止法というものが発令された。
当時の文化における服装は地位の象徴でもあった。

ぜいたく禁止法には、どういう剣を差すか、どのような色の衣服を着るか、布地はどのような物を使うかといった細かい規定があるのですが、ほんらい、その趣旨は、社会的身分に応じた服装をしなさいというものです。
第一章 都市の生活文化はいかにして成立したか/イギリス近代史 川北 稔

同じく金銭的に困窮する多くの黒人が住むゲットーにおいてファッションはステータス。
どれだけ生活が苦しくても他人に自慢できるファッションをすることでアイデンティティを確立していた。

成功してゲットーを出る。
その手段としてのラップ、大金、そしてファッション。

対立するギャング同士は同じ服を着ることで団結を強める。
切りっぱなしのデニムジャケットの背中に同じロゴを入れるから、違う絵柄を見かければ敵とわかる。
ラップがストリートのパーティーからラジオで流れるようになり、音楽として広まる。
それと同時にテレビへの出演も始まり、テレビでラッパーが着るファッションに注目が集まり始める。

ラッパーに自分のブランドの服を着てもらうことで有名にする。
そんな宣伝もこの時代に始まった。

ポロ、カンゴール、トミーヒルフィガー、ヴェルサーチ。
最初はそういったブランドを求めて着ていた人々もやがて自分たちでブランドを立ち上げ始める。
ストリートファッションは徐々に市民権を得ていく……。

今やすっかりファッション業界もリーダーを失って、カニエ・ウエストが自身のブランドを立ち上げファッションリーダーになり、アディダスもナイキもラッパーのファレルとコラボする時代。

※↓ファレルとアディダスのコラボスニーカー


ドキュメンタリー「フレッシュに着こなせ」には、そんなカニエやファレル、最近注目株のエイサップロッキー、
カニエと仲の良いジバンシィの現デザイナー リカルド・ティッシなどが登場しストリート・ファッションについて語る。

ここ数年、パリやミラノ、ロンドンのコレクション会場で、モノトーンのストリート・ファッションに身を包んだファッショニスタを見かける機会が多くなった。子細に観察すると、リック・オウエンス、ジバンシィ バイ リカルド ティッシなどのハイファッション・ブランドと、ミラノのマルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン、パリのピガール、ロンドンのKTZなどのストリート色の強い新興ブランドをミックスして着ており、それがえらくスマートかつ現代的に見えるのである。

そんな彼らのスタイルは“ラグジュアリー・ストリート”と呼ばれ、ひとつのジャンルを形成しつつある
ラグジュアリー・ストリートウェアが世界の最先端|メンズファッションニュース|GQ JAPAN

アメリカという白人文化の中で、ゲットーに住む黒人が白人の高級ブランドを着ることでステイタスにする、というのは皮肉だが、徐々にそんな黒人の始めたストリートファッションが市民権を得て、今や極東日本にまで広まった。
さらに皮肉なことに最近ではラッパーの求心力を利用しようとファッション業界全体が動いてる。
ラグジュアリー・ストリートと呼ばれるファッションも台頭しつつあって、もうファッションの世界とヒップホップカルチャーは切り離せない存在になっている。

日本でも日本語ラップが盛り上がりつつある中、こういうドキュメンタリーでストリートのルーツを観るのもいい。



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