「私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記を読んで」の書きかたの練習のブログの記事

できるだけ文中の「の」を減らすとしたらどう書き換える?「私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記を読んで」 - Togetterまとめ



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大阪風

あんな、ちょー(ちょっと)聞いてぇや。ウチの兄きの話やねんけど……そうそう。なんかアニメの学校行きたいから東京行くとか最近言うてんねんけどさぁ、それでお母ぁちゃんとえらい揉めて、なんかわー言うて飛び出して行ったんよ……ん?一昨日。
ほんでな、今朝ウチのケータイに電話かかってきて「荷物送ってくれ」言うわけよ。心斎橋の漫喫におるらしいねんけど「えぇ年して家出とかせんと、お母ちゃんと話し合いしてからの方がえぇんちゃう?」言うたんやけど、お父ちゃんに似て頑固やから全然聞かへんのよ。ほんでしゃーないから、兄きの部屋に入ってカバンにガーって荷物突っ込んで。なんかようわからんフィギュア言うやつ?いっぱい乗っかってる机があんねんけど、そこの引き出し開けたら日記入っとってさ、読んだらあかんなー思いつつちょっとだけ読んでしもたんやけど、これがビックリでやな

探偵風

「私の家の兄の部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記を読んで」
そう書かれた血文字を見て警部は頭を抱えた。
「もうこれで四人目だぞ、いったいどうなっとるんだ……」
「えぇ……それにこれは」
探偵はそう言い血文字を覗き込んだ。
「おかしいですね」
「おかしい?何がだね。たしかに死ぬ間際に書く内容ではないが……塙氏に兄がいたと初耳だ」
「いえ、違うんですよ、警部」
探偵は癖っ毛を右手でかき回しつつ
「塙さんは日本でも有数の言語学者です。そんな彼がこんな気持ちの悪い一文を残すでしょうか」
「気持ちが悪い?」
手帳を取り出した探偵は血文字を写し、幾つかの斜線を書き込んだ。

私の家の/兄の部屋の/机の/一番上の右側の/引き出しの中の/日記を読んで

「いいですか。まず冒頭にある“私の家の”は必要ないことがわかります。仮に斜線の前部分を削っても」
ペンで冒頭部分を消してみせる。

私の家の/兄の部屋の机の/一番上の右側の/引き出しの中の/日記を読んで

「成立します。そして引き出しの位置は必ずしも必要ありません。引き出しが10も20もあるならまだしも、引き出しの場所は書かない方が簡潔です。」

私の家の/兄の部屋の机の/一番上の右側の/引き出しの/中の/日記を読んで

「さらに引き出し『の中』は必要ありません。引き出しにあるのであればそれは中です。上や下はないですから」

私の家の/兄の部屋の机の/一番上の右側の/引き出しの/中の/日記を読んで
兄の部屋の机の引き出しの日記を読んで

「……これでも『の』は多すぎますから、書き換えるなら」

机の引き出しに兄がしまっていた日記を読んで

兄の部屋にある机の引き出しにしまわれていた日記を読んで

「これでもいいのかもしれません」
「……で、これがどうかしたのかね?」
難しそうな顔をしていた警部が難しそうな顔で探偵に問う。面倒で仕方がないと言った風だ。
「言語学者の塙氏があえて違和感のある文章を書いた……もしかしたらこの中にアンゴウでも入っているのかもしれません」
「暗号だって?!ははは、さすがにそれは考えすぎだろう、第一」
警部が笑い飛ばそうとしたときだった、血相を変えた駐在が部屋に駆け込んできて叫んだ。
「大変です!お嬢さんが!滝で!!」
駐在が言い終わる前に飛び出す探偵。
警部は笑いを凍りつかせ、大きなため息をついた。

怪談風

幼かった頃の話です。
私には兄がいました。
ある夏の日、兄は一人で遊んでいるとき足を滑らせ、用水路に落ち死んでしまいました。
兄の死体は何日も発見されず、腐った状態で発見されたそうです。
葬式では、弔問客に死体を見せることもなく荼毘に付されたと聞きます。

兄が死んで何年も経った、寝苦しい夏の夜のことです。
どうしても眠れない私は尿意を催し、トイレへ向かいました。
私の部屋からトイレへ向かう途中の廊下、何か嫌な感じがしたんです。
こわいなーこわいなー、やだなーやだなーと思いながらふっと前を見ると途中にある扉の前にぼやぁっと影のようなものが立っていました。
よく見るとそれは兄の姿をしているんです。
私は驚いて叫ぼうとしましたが、なぜか声が出ません。
兄の影はすっと扉の中へと消えて行きました。
私は恐る恐るその扉に近づきました。
それは兄の部屋の扉でした。

ゆっくりとドアノブを回し中へ入るとそこにも兄の影が。
影は兄が使っていた机を指差しています。
ちょうど一番右上の引き出しのあたり。
私は兄に声をかけようとしたんですが、影はそのまま消えてしまいました。
私は机に近づき、影が指差していた引き出しを開けました。するとそこには一冊の日記が入っていたんです。
開いてみると、そこには血のような文字で大きく
「お ま え にこ ろ さ れ た」
と書き殴られていました。
首筋に冷たいものを感じ振り向くとそ

落語風

えー、毎度バカバカしいお笑いを一席。
「ご隠居!ご隠居!」
「なんだいクマさん?騒々しい。そんなに大きな声でどならなくても聞こえてるよ」
「聞いてくださいよ、ご隠居。あっしの家の兄きの部屋の机の一番上の右側の引き出しの中の日記をっすね」
「ち、ちょっと待ちな。慌てるんじゃないよ」
「へぇ」
「お前さん何回『の』っていうつもりだい(指を折りつつ)ひいふうみぃ……9回も『の』って言ってるじゃないか」
「ダメですかい?」
「ダメってことぁ無ぇが、減らせるに越したことはねぇやな。もういっぺんやってみな」
「へぇ……ご隠居!ご隠居!」
「…そこは端折っていいんだよ」
「聞いてくださいよ、ご隠居。あっし家兄き部屋机」
「違う違う。『の』を無くしても代わりに何か付け足さなきゃ文章がおかしいだろう。もういっぺん」
「へぇ……ご隠居!ご隠居!」
「……(ご隠居、呆れ顔)」
「あっしが家で兄きは部屋を机に一番上を右側で引き出しから中まだ日記を」
「これこれ、何でもかんでも付け足しゃあいいってもんじゃあない。仕方ないねぇ。私が見本をやるから、お前さんもその通りにやんな」
「へぇ」
「ごほん(ご隠居咳払いを一つ)ご隠居さんに聞いていただきたい話がありまして、今日はおじゃまさせていただいたんですが、実は私には兄貴がおりまして同じ長屋に暮らしております。その兄貴の部屋に文机がありましてそこの引き出しの中に日記が……で?続きはなんだい?」
「ごほん(クマさん咳払いを一つ)ご隠居さんに聞いていただきたい話がありまして、今日はおじゃまさせていただいたんですが、実は私には兄貴がおりまして同じ長屋に暮らしております。その兄貴の部屋に文机がありましてそこの引き出しの中に日記が……で?続きはなんだい?」
「(ご隠居呆れた様子で)そのまんま繰り返すんじゃないよ。この先の話を聞いてないから聞いたんじゃないか、まったく」
「(クマ、オーバーに呆れた様子を見せ)そのまんま繰り返すんじゃないよ。この先の話を聞いてないから聞いたんじゃないか、まったく」
「…
(浅草松月堂ホール録画より書き起こし)

おあとがよろしいようで。

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