読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

バイオレンス&メタファーな“神”の映画 映画「オンリー・ゴッド」

アメリカを追われ、タイのバンコクでボクシングジムを経営するジュリアンの兄がレイプ殺人を起こし、被害少女の父の報復を受けて惨殺された。麻薬組織に君臨する母クリスタルは溺愛する長男の訃報に怒り狂い、ジュリアンに復讐を命じる。だが、“神”と呼ばれ恐れられる元警官がジュリアンたちの前に立ちはだかり、壮絶な血戦に身を投じていく──。

すばらしく面白い。
続けて二度観てしまった。
やはりライアン・ゴズリングxニコラス・ウェンディング・レフンは相性がいい。
 
だが展開が難解なためYahoo映画などでの評価は賛否両論。
観客は言葉になっていない、画として描かれたものを読まなければ理解が難しい、この手の映画にはこういう反応が多い。
状況や心理をセリフで説明されることに慣れてしまっている。
 
多少のネタバレ有りで、映画を読んでみる。
 



【スポンサーリンク】




 

家族

まずジュリアンと元警官の“神”
それぞれの家族を並べてみると、
ジュリアン:母、兄
“神”:娘

並べるとよくわかるが、それぞれの家族は父子家庭と母子家庭で、お互いにない要素で構成されている。
2つの家族を合わせれば一つの家族になる。
この映画は「家族の物語」であると捉えることが出来る。
 
 

赤と青

挿入される“神”のカラオケは、デヴィッド・リンチ作品を連想させる。
赤と青の照明の印象もあるのかもしれない。


 
ジュリアンがいわゆるエイディプスコンプレックスの元になったオイディプスなのはわかりやすい。
ジュリアンは父親を殺害し、“神”に殺された母を刀で切り、その傷口に手を入れる。
これは死姦を暗喩し、近親相姦でもある。
そして母を犯した息子は“神”によって去勢される。
 
赤と青。
青とはアメリカであり、赤とはタイだろう。
そして青い西洋的文化と赤い東洋的文化の衝突も見える。
レフン監督も

オンリー・ゴッド』をアシッドに例えたのは、観ている人の意識の中にこの映画が浸透すると、現実が変容するからです。現実の別の解釈が生まれる。色彩とも深く関係していると思います。それと、何事にも目に見えないサブリミナルな意味がある、ということについての映画だからです。
http://www.webdice.jp/dice/detail/4079/

色彩による暗喩を意識しているのがわかる。
 
 

全体を「家族」として見ると、常に父である“神”は家族を誅しているのがわかる。
ここに家父長制的な感覚が垣間見える。

兄は罪を犯し“神”(父)は罰を与える。
母は兄の復讐として“神”(父)に逆らうが叶わず殺害される。
そして弟は“神”(父)に拳で戦いを挑むが叶わず、母を犯した弟に罰を与える。
ただ弟は子供を殺そうとしたチンピラを殺しただけなので去勢のみ。
 
“神”は父であると同時に“絶対的な神”としてこの物語に存在している。
慈愛をもって罪を許す神ではなく、激しく罰する神として。
“神”の背中から出てくる刀もまた「神罰
 
 
カルトの帝王アンドレイ・ホドロフスキーに捧げる映画らしいので、観るドラッグこと「ホーリー・マウンテン」のように感覚的に受け取るのが正しい鑑賞法なのかもしれない。
開襟シャツのオッサンは格好いいなーとか。
なんかよくわからんけどアクション面白かったなーとか。
  
上記は「こんなふうに読むことが出来る」という一例でしかなく、正確な答えはない。
ただ傑作であるのは間違いない。01
  

オンリー・ゴッド(字幕版)
(2014-05-14)
売り上げランキング: 9,465