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新宗教の老いと悩みとプロパガンダ

テレビ

ここ数日、清水富美加の幸福の科学への出家が話題になっている。

ただ今回の騒ぎが幾つもの問題を含んでいるのに、それが同列で語られ論点がズレたり混乱している印象がある。
テレビでは芸能界絡みということで、かなりバイアスの掛かった報道もされている。

一度整理してみよう。



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整理

まず今回の案件は、

1.レプロという事務所の俳優に対する扱い
2.仕事の途中で出家してしまう行動
3.芸能界の旧態然とブラックな体質
4.幸福の科学のプロパガンダ
5.新宗教に対する嫌悪感

概ね、これらで構成されてる。


1.レプロという事務所の俳優に対する扱い
3.芸能界の旧態然とブラックな体質

まず1と3。
これがのん(ex.能年玲奈)の件で悪名を轟かせたレプロでなければここまで事務所の非が言われることはなかったかもしれない。
教団弁護士側(清水富美加側)の主張だけをみると

私ども、芸能界にしばしばみられる厳しい就労環境があったことが大きな点だと思っております。
(中略)
お父様から事務所に、厳しいのではないかとお話ししたところ、仕事を干されたというのがありました。その中で清水さんは、仮面ライダーシリーズのオーディションに自分で申し込み役を射止めましたが、睡眠時間3時間で1カ月31日働いても、月給制、ボーナスは支給されなかったという環境で、仕事をやっておりました。
幸福の科学、清水富美加は「心身に傷」会見全文 - 芸能 : 日刊スポーツ

どこまで事実かわからないが、少なくともオーディションを受け役を射止めても給料制でキツかったのは事実だろう。

レプロ先輩のユージが「入ったばかりの新人の子、これからどうなるか分からない子に大量のお金を渡す事務所はない」と言い、坂上忍が新人は5万で順当だと言おうが、その旧態然とした労働環境が正しいという視点が、ブラック企業や過酷な労働環境を生み出したのではなかったのかと疑問に感じる。

今回の問題は「五万円の報酬額が正当か否か」ではなく、
「事務所にいくら支払われ、いくら搾取され、何時間働かせていたのか?」
という実態のはず。
それもわからない状態で「新人なら5万円」などと働きも確認せずに決め付ける硬直化した意見しか言えないタレントにどんな価値があるのか。

芸能界の闇

2.仕事の途中で出家してしまう行動
4.幸福の科学のプロパガンダ

次に2と4。
仕事を途中で放り出せば当然話題になる。
逃げられないように仕事を与え続けたのでは?という意見もあるが、本人の意思を無視して契約を無理やりさせているならレプロ側に問題がある。

本人が嫌がるような役柄もやらせていた、と言うのであれば仕事に選択の自由がどの程度あったのか疑問にも思える。
実際はわからないが。

ただ一つ言えるのは、売れっ子の清水富美加が単に信仰だけではなく出家したのは「信仰にすがるだけではなく、こういう環境や職場から逃げたかった」のだと見える。
そして教団からすれば、こうやって裁判沙汰になるのも想定の範囲内だろう。

明るく楽しいハッピーサイエンス

4.幸福の科学のプロパガンダ
だから幸福の科学側からすれば「違約金を支払うことになろうと、この騒ぎによる宣伝効果の方が大きい」という狙いが見える。
たとえば今日話題になったこんな記事がある。

rocketnews24.com

この記事、幸福の科学が行ったイベントの様子を面白く描いているが、宗教のイベントが怖いとかつまらないではなく面白いと思われたならこれほどの成功はない。
プロパガンダは楽しく面白おかしい。

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今回の件で自然と幸福の科学が話題になる。
さまざまな記事が書かれる。
景山民夫や小川知子以来の盛り上がり。

この記事も含め幸福の科学のプロパガンダになるのだとすれば、教団からすれば違約金なんて安いものだろう。
すべてはエル・カンターレの掌上。
踊らされるのは、気分が悪いが。

老い

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ここ数年、いわゆる新宗教(新興宗教)の信者が減りつつあった。

島田裕巳氏によればそれはインターネットの登場によると言う。
生きる上で悩みがあってもインターネットに答えがある。
疎外感を感じてもネットには似たような境遇の、あるいはもっとひどいひとがいる。
そうやって、神さまより集合知の方が現生の悩みに即効性があったのかもしれない。

今回の件で見られたのが新宗教に対するアレルギーのような反応で、これもまた新宗教の信者数が減った一因だろう。

新宗教→オウム

この連想が根本にあれば、オウムに対する団体規制法、破防法の適用などによって新宗教に対して「反社の宗教」と言うイメージが強く根付いたように感じるし、公安などからすればそれを狙った展開だったろうが。

反社、詐欺のイメージ、そしてネットの台頭。
「宗教が必要とされない時代」において、幸福の科学も信者の高齢化は避けられず、若者の信者の加入がなければ衰退していく一方。

だから創価学会のようにアイドルグループ アンジュルムを作り、アニメを製作したり、さとうふみやがマンガを書いたりもする。

教団からすれば喉から手が出るほど欲しかった新しい世代とそれに向けた若い広告塔。
それは金には代えられない価値がある。

win-win

online.sbcr.jp

新宗教の場合、信仰を獲得した第一世代から、その子どもである第二世代に継承が進まないからでもある。第一世代には、その宗教に入信するに至る動機がある。ところが、第二世代にはそれがない。それでは、親の信仰を子どもが受け継ぐということが難しいのである。

清水富美加は第2世代だったから幸福の科学へのルートがあったとも思える。
これが仮に他事務所への移籍だったら同じ業界内ということで揉め方もかなり違っていたろう。
のんの件で見たデジャヴュが繰り返されたかもしれないし、あの一件がトラウマになったからこそ清水富美加の逃走先として他の事務所は選べなかったのかもしれない。

違約金を払うだけの体力があり、自分を守ってくれて、その後の活動の支援も得られる。
さらに看板として表に立ち、さらには信仰のためにもなる。

レプロという過酷な芸能事務所を離れ、理不尽な芸能界を離れ、新たに自分を求めてくれる教団で活動したい。
実情がどうだったかはわからないが、少なくとも清水富美加と幸福の科学の間は完全にwin-winの関係に見える。

暗部

SMAPの騒動やのんの一件、今回の件に対する坂上忍の発言にも見られるように業界ルールはとても根深い。
これだけ大きな業界なのに騒ぎになっても一切メスが入らない恐ろしさ。
なぜテレビでは誰も「一月働かされて5万円という主張がもし本当ならそこに問題はないんですかね?」と口にしないんだろう。

さらに「町工場でも放送局でもいい。寝ずに働いて『俺もう無理です』という若者に、『俺たちの若い頃はもっと仕事していたぞ』とか『他の人に迷惑を掛けるから頑張れ』と言うのを良しとしていた時代があるけれど、もはや違うだろうと俺は思う。彼女は死にたいと思っていて、そういう人に『仕事の責任を取っていないのにやめるな』というのは俺は違うと思う」と話した。
伊集院光、清水富美加を巡る騒動に「意見が一色なことに気持ち悪さを感じる」 : スポーツ報知

今回、相手が新宗教だからということでこの伊集院のいう部分がボヤケてしまってる。
しかし新宗教を切り離して考えれば今回騒動の前提として「一人の女優を逃避に追い込む業界と周囲の環境」があったのは間違いがない。
なのに、なぜそこの部分をスルーしてしまうんだろう。
伊集院しかマトモなことを言っていないのが本当にこわい。


芸能界と新宗教。
果たして闇が深いのはどちらだ?