読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

高速道路を走る密室劇 映画「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」


オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(字幕版)(予告編)

夜のハイウェイ。アイヴァン・ロックはある場所へと車を走らせていた。妻カトリーナとの間に二人の子供に恵まれ、建築現場監督としてのキャリアも評価され、順風満帆な生活を送っている。大規模なプロジェクトの着工を明日に控え、その夜は家族と一緒にサッカーを観戦する予定だった。しかし、一本の電話が人生のすべてを賭ける決断を迫る。愛する家族、仕事仲間、そして過去に一度だけ関係を持った女性。刻一刻と彼を取りまく世界が崩壊へと向かう中、なんとか大切なものを守ろうとするアイヴァンだったが…。

かなりの異色作。



【スポンサーリンク】



一度寝た浮気相手が、自分の子を出産すると連絡を受け、高速道路をひた走る男。
演じるのは、トム・ハーディ。
この車の運転席というワンシチュエーションに各所との電話で進行する内容。


棺桶に閉じ込められる「リミット」という映画があったが、あれを連想した。
高速道路を走る車は、棺桶と同じ。

一度寝ただけの浮気相手が、妊娠出産するとの連絡を受け、病院へ向かう主人公。
高速道路を走る車内。
巨大ビルの基礎工事に大量のコンクリートがやってくるのに現場にはいけず、会社からはクビを言い渡され、現場監督は助けを求めてくる。
トラブルは続出。
現場で必要なはずの書類は手元にあるし、生コン積んだトラックの誘導のための道路封鎖は役所の許可が取れていないからと言われ、役所は夜の九時で閉まってるし、役所の担当者は食事中だからと取り合わない。
息子はサッカーに夢中でなぜ帰ってこないのか聞いてくるし、妻に事情を説明したら激ギレしてトイレで嘔吐。
浮気相手は、病院で一人不安に駆られ声を聞きたがり、仕事の電話は鳴りやまない。
公私共に無茶苦茶。

なんとか平穏を取り戻そうと電話で工事現場には指示を出し、家族はなだめようとするが、どうあがいても事態は悪い方へと転がっていく。
ひとつ解決すれば新たな問題が発生。

まず、父と子というテーマ。
電話がない間は「いかに理想的な男になったか」を死んだ父親に対して独り対話し続け……自分の中の父親との対峙を暗喩し、息子からの電話では目に涙を浮かべる。
どうして浮気相手が子供を産むから家族も仕事も放り出して走るのかと考えてみて、主人公も同じような私生児だったのかもしれないと思い当たる。

主人公を中心に、片方には浮気相手と新しく生まれる赤ん坊、もう一方には妻とサッカーを見ている子が。
主人公はウインカーを出してどちらかにハンドルを切らなきゃならない。
そして高速道路に乗ったらそのまま走り続けるしかない。

選択を行った男が、降りられない高速道路で、自分の選択を正しく転がそうとする。
そんな衝動的な行動は、憎む父親をなぞらえてしまうのかもしれない。

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(字幕版)
(2015-10-29)
売り上げランキング: 24,454