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教養としての新聞読み比べ プチ鹿島「芸人式新聞の読み方」

読書

芸人式新聞の読み方 (幻冬舎単行本)

「教養としてのプロレス」プチ鹿島氏らしい“新聞の読み方”本。
どちらかといえばハウトゥというよりは、プチ鹿島氏が新聞を読み比べて「こんな風に面白く読めた」という体裁になっている一冊。
話題はスポーツ、政治、芸能など幅広い。



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オバマ寿司騒動

まずオバマ元大統領が来日した際の「寿司騒動」が実例としてあげられている。

2014年4月、オバマ大統領が来日した。
安倍首相とすきやばし次郎で会食を行ったことが話題になったが、オバマ大統領は「人生の中で一番おいしい寿司だ」と喜んだという報道と「寿司を半分残した」という報道が流れたのだという。
この時の記事が残っている。

国賓として来日したオバマ大統領。2014年4月23日に安倍晋三首相と東京・銀座の寿司屋で約1時間半にわたって「寿司外交」をした。この会食でオバマ大統領が寿司をどれくらい食べたのかについて報道が分かれている。

寿司の大好きなオバマ大統領は「生涯で最もうまい寿司とご満悦だった」との報道があれば、コースの半分で箸を置いた、とし、暗い表情で店を出るオバマ大統領の写真を掲載しているメディアもある。大統領は満足したのだろうか。
全文表示 | オバマ大統領は「次郎」の寿司に満足したのか 「生涯で最もうまかった」のか「半分で箸を置いた」のか : J-CASTニュース

さらにオバマ大統領が久兵衛の寿司を出前したという報道まで出て、事態は混迷の度を極める。
果たしてオバマ大統領はすきやばし次郎の寿司を半分残したのか、そしてなぜ久兵衛の寿司を出前したのか。
利権が絡み合い、さらに寿司業界の関係性も見えてくる様子は、まさに藪の中。

何気ない新聞の読み比べから壮大なるミステリーに発展してしまった一連のオバマすし会食騒動。どう解釈するかはあなたの「読み方」次第だが、点を点で終わらせず、「あのときこんなことを言ってたな」と線でつながったとき、ただの「事実の羅列」だったはずのメディア報道は、俄然面白くなってくる。

この事態の真相に新聞を読み比べて迫ろう、とプチ鹿島氏は名探偵のごとくパズルのピースを当てはめ、謎解きを楽しんでいるようにも読める。

おっさん擬人化

2章「朝刊紙はキャラごとのベタを楽しめ」では、朝刊紙を擬人化しているプチ鹿島氏。
それぞれの報道が偏っているからこそ、キャラクターに例えて理解してみようという趣旨。。

まず朝日新聞は「高級な背広を着たプライド高めのおじさん」だという鹿島氏。

論調は自他共に認めるリベラル。その一方で「大朝日」のプライドも見え隠れし、それが鼻持ちならないと他紙や週刊誌の格好のツッコミ対象となる。擬人化するなら、高級な背広をを着て、ハイヤーに乗り込むおじさんをイメージしたい

次いで産経新聞は、「いつも小言を言ってる和服のおじさん」
毎日新聞、東京新聞、日経新聞、読売新聞。
軍艦を美少女に擬人化する現代に、それぞれの新聞を擬人化して、特徴をわかりやすくして見せるやり方は、単純に読み物として楽しめる。

プロレス的読み方

安保法案、SMAP解散騒動。
東スポの行間の読み方、匂わせ芸、週刊文春との最強バケツリレー。
アンチ安倍政権な日刊ゲンダイからは「ゲンダイ用語の基礎知識」として日刊ゲンダイ流のフレーズを紹介。
幾つか引用してみよう。

・『デタラメ』
安倍政権のこと。
(用例)「大風呂敷を広げるばかりのデタラメ政権」

・『ペテン』
安倍政権のこと

……。

さらに後半では森喜朗のラッキー人生を詳細に解説。
ここだけは、新聞から少し離れ「政治家 森喜朗伝」と化していて、とても面白い。
コネで入学し、入社試験では白紙の答案を出し、出馬の際には現職が病気で引退。
そんな「森喜朗、安倍マリオの影で暗躍説」も読み比べミステリとして紹介している。


プチ鹿島氏の中心にあるのは、前作「教養としてのプロレス」と同じくグレーをグレーとして楽しむことなんだろう。

真偽もわからぬ藪の中のような出来事が世にはあふれているが、それに白黒をつけたがるのがひとの情。
明白な正義と悪とを簡単に決めてしまいたい。
複数のソースを読み比べ、パズルのピースを自分で当てはめることで唯一自分なりの情報の解釈を楽しむ。
政治も芸能もスポーツも。
表もあれば裏もあって、表しか見えないならその行間を読むしかない。

「オヤジジャーナル」でもある新聞を読み慣れないひとが、新聞に対して興味を持つには充分な内容で、具体的ハウトゥ本ではないので、新聞を読む読まないにかかわらずこれ単体で読み物として充分楽しめるクオリティがある。
新聞を楽しむための副読本。

かなりオススメの一冊。
もちろん前作「教養としてのプロレス」も必読書。

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