マンネリの素晴らしさ

Damage & Joy
※個人的音楽に関する雑感
今や絶滅危惧種であるシューゲイザーファンの皆さまは、すでに毎日ヘヴィロテされておられますでしょうジーザス・アンド・メリー・チェイン(ジザメリ)19年ぶりの新アルバム「DAMAGE AND JOY」

『ダメージ・アンド・ジョイ』とは、いわゆるシャーデンフロイデ(=schadenfreude; ドイツ語で他者の不幸、悲しみ、苦しみ、失敗を見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情。 「他人の不幸(失敗)を喜ぶ気持ち」を意味する。日本語では「メシウマ」など)を意味している
http://www.hmv.co.jp/fl/4/1156/1/

なので以下、「メシウマ」で。



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メシウマ

この「メシウマ」
19年ぶりのアルバムということで、どんなサウンドになってるのかと思ったら相変わらず朝帰り道のキャバ嬢みたいなテンションのジム・リードのボーカルとひたすら無機質に刻まれるドラムとやけにブンブンと主張するベース。
そしてあふれかえるフィードバックノイズ。
19年ぶりなのに音が変わってない*1

旧譜から切り出してきたのかというくらいおおむね変わっておらず、ただ少しだけ打ち込みが入っていたり。
そんな申し訳程度の変化しかない。

この変わっていない音こそ待ち望んだ音。
もうジザメリの旧譜を軽く十周は聴いているようなファンからしても、相変わらずの音を相変わらずのメンツで鳴らしてくれるだけで嬉しく、いまどきの新しさなんて元々求めていない。
きちんとジザメリのジザメリっぽい音を鳴らしてくれていればそれでいい。
もしEDMを取り込んだり、ラップが入ったりしたら、ガッカリ感……。

変化

新しい、変化がある情報の処理には、それなりのリソースがいる。

ヒャダインがアイドルソングを作曲をするとき、一曲の中に転調を詰め込むのは若いリスナーに向けての刺激を意識するからだという。
若者ほど早くて変化がある曲を好むのは、音楽のリアルタイム情報に刺激が多いからだろう。

一方、年をとると演歌の良さがわかってくるという。
比較的スローなリズムとテンプレート化した世界観、醸し出す深い抒情。
加齢によって情報処理能力は衰え、リアルタイムの情報量が多い・早いとついて行けなくない。
演歌は、リアルタイムの情報が少なく、処理が容易から「聞きやすい」という感覚が想起される。
音の変化が少なく歌詞の世界観に目が向かいやすい。音楽性に刺激や目新しさを求めなくないユーザーには向いてる。

だから若者は、このスローで刺激の少ない情報量に有り余るリソースを生かせず、退屈してしまいやすいのかも知れない。

オヤジとロックと

Give a Glimpse of What Yer Not

ところが若いころにライブハウスに通い、モッシュで暴れていた世代は演歌の世界観を受容しづらい。

変化の激しい最近の音楽にはついて行きづらいが、しっとり男と女の情念を切々と歌い上げられても、それはそれで違和感を感じる。

演歌は、あまり音単体に面白さがない。
「歌」にかなりの比重がある音楽なので仕方がないけれど。
「歌」と「歌詞」を重視してポップスを聴いている人*2ほど演歌へシフトしやすいのかも知れない。

そこで、イマドキのロック中高年は、即興性があり音の変化も楽しめるジャズにハマったり、サウンドやコンテクストからアイドルにハマったり、あるいはこうやって「若い頃から変わらないロックサウンド」を受容することになる。
(アイドルにハマる理由については、コンテクストがさまざまなのでここでは割愛)

Dinosaur.JrのJマスシスがビッグマフを噛ませて鳴らす歪ませたノイズギターはいつの時代も激しく切なげに泣いていて、毎度おなじみ、いつものロックを聴かせてくれる。
たしか一番聞きこんでたのはアルバム「ハンド・イット・オーヴァー」のころだと思うが、あのころから相も変わらず、アコースティックギターにすらノイズを入れ込み歪めるJは変わらないスタイルで演奏してる。
大いなるマンネリズム、だからこそ素晴らしい安定感。
安定して歪み、安定して泣き、安定して尖ってる。だから安心して聞ける。
マンネリだからこそ面白い。

Doo-Bop

Humanz

もちろんマイルス・デイヴィスのようにアルバムごとに革新を求めて、ヒップホップやワールドミュージック、ポップスも取り込もうと貪欲に活動したジャズミュージシャンも素晴らしい。
ロバート・グラスパーはそんな革新的なマイルスの影を新しいアプローチを模索しながら歩んでいるのかも知れない。

デーモンのようにブラーをメインに、マリ音楽にハマったり、iPadでアルバムを制作したりするトリッキーで貪欲な活動っぷりにも感心する。
Gorillazの新譜は、相変わらずのクオリティを見せてる*3

まだ変化の激しい音楽も受容できる。
だがマンネリの良さもわかってきた。
こうして徐々に年齢を実感する。
以前なら「同じじゃねーか」で終ってたかもしれない。

ともかく生きてる間にジザメリの新譜が聞けるだなんて、それだけで嬉しい。
今年は、Gorillaz、カサビアンの新譜も待機してる。
2017年は、ひさびさにロックが盛り上がるかもしれない。


あとラッパ我リヤの新譜は3/29です。

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*1:その間、それぞれソロ作を発表したり、妹のソロプロジェクトSISTER VANILLAのプロデュースをしたりもしてる。全体的にサウンドは似たような…

*2:感情としては「共感」が想起される

*3:「Humanz」は4月末発売。中から数曲が先行公開中