シンゴジラの最後を考えた神山健治「映画は撮ったことがない ディレクターズ・カット版」

映画は撮ったことがない ディレクターズ・カット版

神山健治の名著、新生!

企画、脚本、演出、ポスト・プロダクション──。
制作全工程の具体的な解説を通して「映画の正体」に迫る!

神山健治が作品をつくりながら巡らせ続けた思考を記録した単行本に、庵野秀明監督との録り下ろし対談、ダ・ヴィンチ誌で連載されたコラム「映画を生む本棚」、そして現在の心境をつづったあとがきを収録した増補改訂版!

アニメ監督神山健治が月刊誌ダ・ヴィンチで連載していたコラム「映画を生む本棚」や、インタビューを収録した本「映画は撮ったことがない」を、ディレクターズ・カット版と題して、新書サイズのソフトカバーにし、庵野監督との対談を新たに収録した一冊。

旧ハードカバー版にあった押井守監督と中島哲也監督との対談をごっそり庵野監督対談と入れかえてある。
付け足さずに削って入れ替えるとは思い切ったやり方ですが。

これは面白い。
映画に興味がある人なら、一読して損のない内容。
旧版を持ってる人なら対談だけ書店で読むって手もあるけれども……いや、書いましょう。
以下、簡単に内容を。

※以下、「シン・ゴジラ」に関してネタバレがあります



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まず旧版にもあった監督目線でのコラム。
押井塾出身の神山監督だけに企画に関してもがっつり考察されている辺も面白い。
映画の構造、脚本、演出などについて。
効果音、実写とアニメの差異。
毎回それに関して参考になりそうな映画を一本挙げる構成。
特に「映画の構造」に関して言及してるのはあまり見ない気がする。
脚本に関しても劇内の時間の流れと劇外の時間の流れなどとてもしっかりした考察が多く、ためになる。

次に「映画を生む本棚」と題して神山監督のオススメ本が幾つか。
そして最後に、最近新録されたらしい庵野秀明監督との対談企画。

シン・ゴジラ
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どこを切っても面白いが、中でも今回新録された庵野監督との対談は「シン・ゴジラ」や「ひるね姫」についてなので、今読むのがタイムリー。
ちなみに神山監督は「シン・ゴジラ」の脚本の途中まで関わっていたそうで

(庵野)~第8稿以降は神山さん自身の企画がスタートしたこともあって、自分の方で引き取りましたけれど、その段階でゴジラ本体の流れは一旦出来上がってました。ゴジラが東京湾に出現して、、初上陸するんだけれど、一旦海に帰る。そして再上陸して東京に居座ってしまい、最後は凍結させられる。『ゴジラ』って最後にゴジラをどうするかという問題が常にあるんですけれど、ラストの落としどころは神山さんが最初の打ち合わせで出してきてくれたアイデアで、「これでいける」ということになりました。
神山 ゴジラを“石棺”に入れてしまおうというアイデアは最初に言っていた記憶があります。

あの「シン・ゴジラ」のラストに関しても神山監督のアイデアだったとか。
監督二人がそれぞれのやり方や作品について語り合う内容はじっくり読む価値あり。

神山監督のファンでなくても、映画や映像のエンタメに興味がある人ならいろいろと愛蔵版になる一冊かもしれない内容。電子書籍なら保存も楽なんだが……(未電書化)。
それにしても、なんで押井監督との対談削ったんだろう。

おたより(5)

私は神山健治さんにとても興味があるのですが彼の人物としての実体が上手く
掴めません。
 押井さんからみた神山健治という人物はどういったものなのでしょうか?
 よろしければお教え願いたいです。

《押井監督コメント》

 神山健治の人物としての実体は私にも上手く掴めません。
 がしかし、監督としての神山健治はとても理解しやすい人物です。
 それでいいぢゃありませんか。
 人間としての映画監督なんて、どうせロクなもんじゃありません。
 問題はそのロクでもない人間だと言う事実を自覚したうえで、社会的にいかな
る表現を実現していくかだけです。
押井守の「世界の半分を怒らせる」。第58号

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