テクノ、ラップ、ハウスにも影響を与えた名機TR808のドキュメンタリー「808」

エレクトロからヒップホップ、フィル・コリンズまで、無数のヒット曲にインスピレーションを与えた革命的なリズムマシン「808」のすべてに迫る。

ローランド TR-808のドキュメンタリーがAppleMusicで観れるようになっていたので(アプリのマネーの虎みたいなやつばかりが話題ですが)早速観てみました。

以前、モーグのドキュメンタリーも観たことがありますが、あちらが開発秘話だったのに対して、こちらはTR-808によってどんな曲が生み出され広がり影響を与えたかという、使い手(ミュージシャン)視点のドキュメンタリーになっていて、具体的な曲も多く、観やすいかも知れない。



【スポンサーリンク】





誕生

ドラムマシンの名機TR-808。

開発したのは、梯郁太郎氏。
Mr.Kとも呼ばれる梯氏は、エース電子工業を創業。
コンボリズムボックスをハモンドオルガンのために制作。
1972年にローランドを立ち上げる。

そして1980年、定価15万で売り出されたのがTR-808。

リズムマシーンというのはあくまでも本物の楽器の代替として、演奏するドラマーがいなくても勝手に演奏できるようにという意図で開発された。
そんな808の音を使って世界で初めて作られたレコードは、プラスチックス「Welcome Back Plastics」なのだそう。

WELCOME BACK(Deluxe Edition)(DVD付)
PLASTICS
ビクターエンタテインメント (2016-03-23)
売り上げランキング: 142,250

当時、クラフトワークに影響を受けたテクノの波は日本でP-MODEL、ヒカシュー、プラスティックスなどを生み出すしていた。

HIPHOP

一方、そんな日本から遠く離れたアメリカ、ブロンクス。
シーンを牽引していたDJの一人、アフリカ・バンバータの「プラネット・ロック」によってラップの歴史も本格的に始まる。

ドキュメンタリーでは、ソウルソニックフォースのメンバーやバンバータにインタビュー。
プラネット・ロックが生まれるまでの経緯も答えていて、かなり面白い。
前代未聞のこの曲は大ヒットとなり、世界中に808のサウンドと共に大きく影響を与えることになる。
 
 

POPS

808の音はポップサウンドにも影響を与え、マーヴィン・ゲイは「セクシャル・ヒーリング」で使用。

その後、ベルギーのミュージシャン ソウルワックスが中古の808を808ユーロで買ったところ、どうやらそれが「セクシャル・ヒーリング」で使われていたものらしく、当時の設定のままのプリセット音が残っていたなんて逸話はとても面白い。

マーヴィン・ゲイは一度セットしたら「それは絶対動かすな」なんて言っていたそうで、完璧主義者だったのかもしれない。

さらにフィル・コリンズも登場。
808について語る。

BEASTIE

ライセンス・トゥ・イル

T-LA ROCK&JAZZY J「IT'S YOURS」のくだりでは、お馴染みリック・ルービン。
ロック畑のひとには「ニルヴァーナのプロデューサー」というと伝わる。
相変わらず新興宗教の教祖みたいなスピリチュアルな白ひげで登場。

ドクター・ドレーがリック・ルービンにトーンの使い方を教えたなんて話も出てくる。

そして当然のごとく、ビースティ・ボーイズが出てくる流れ。

アダム・ヤウクがテクノの達人だったそうで、聞けなくて残念ですが(うーん)。
「ジミ・ヘンドリックスがいろいろ反対にしてやってるから真似してみよう」と言い出し、テープを逆にして、その逆にラップを乗せて作り上げたのだとか。

そして808のサウンドは、マイアミへも影響。
マイアミベースを生み出す。

808

Blueprint-Best of

イタリアでは、トニー・カラスコが808の音を使い、それがニューオーダーやペット・ショップ・ボーイズなどに影響を与える。

テクノ、ラップ、アシッドハウス、マッドチェスターなどさまざまな音楽に影響を与えたTR-808。
デヴィッド・ゲッタ、ノーマン・クック(ファットボーイ・スリム)、デーモン・アルバーン(ゴリラズ)、ハンク・ショックリー(パブリック・エナミー)、ファレルなんかも登場して808の音について語るこのメンツだけでも観る価値アリの名作ドキュメンタリー。
特に、今年の4月亡くなられた故・梯氏が登場し808についての裏話をしていてとても希少価値がある。

「808って何?そんなの知らんわ」と言う人でも一度聴けば「あぁ、あの音」となる定番の音。
最近ではピコ太郎「PPAP」に808のカウベルが使われてると盛り上がったこともありましたっけ。

togetter.com

1980年に生まれたドラムマシーンのチープなプリセット音が、バンバータ「プラネット・ロック」によって本格的に広がり、アシッドハウス、セカンド・サマー・オブ・ラブなどのムーブメントにも影響してきた。
そして現代の日本で、ピコ太郎が808のカウベルを鳴らす。

とっくに生産終了しているTR808のプリセット音を、存在を知らないような誰もが一度は耳にしているというのは、とても面白い。


ちなみにアフリカ・バンバータ~リック・ルービンの辺りのヒップホップ界隈の話はコミック「ヒップホップ家系図」にも詳しいので、興味のある人はそっちを読んでもいいかもしれない。

ヒップホップ家系図 vol.1(1970′s~1981)普及版(ソフトカバー)
エド・ピスコー ED PISKOR
PRESSPOP INC (2014-09-01)
売り上げランキング: 72,866


APPLE MUSICに有料で加入していれば、無料で見れるので(有料で無料??)加入している方はどうぞ。
ちゃんと日本語字幕もついてる。