今、間違いなく面白いマンガのひとつ 光永康則「アヴァルト1~5」

アヴァルト(5) (シリウスコミックス)

復讐を誓う少年・タギ。自我を持つ怪物・キュリア。奇縁により結成された二人組が、迷宮攻略のために走り出す。目指すは、最強の怪物・黒竜。だが、絶対神〈アヴァルト〉の危機が地下迷宮にも及びつつあった……。

断言しますが、この「アヴァルト」は間違いなく面白いですよ。
両手放しで褒める。

五巻でかなり盛り上がってきた。
やっぱり成長物語はいいですね。

この記事に関わらず読むのが吉。
予備知識なしで読むのが一番面白いタイプの作品。

それでもいろいろ知りたい方は以下をどうぞ。



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狂った神アヴァルト

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※第一話「狂気の世界」
突如として怪物に襲われる街。

それを救うアヴァルトと呼ばれる神。
だが街を救ったアヴァルトに、少年は母親を殺される。


西暦12094年。
冷凍睡眠から蘇生した宇宙船の乗組員ロイド・コスギ。
船内の乗務員はコスギ一人を残し全員姿を消し、一人だけがMMORPG*1を起動したままミイラ化している。
示しているゲームのプレイ時間は1万年。

軌道上に浮かぶ宇宙船にコスギは独り。
眼前に映る地球の文明は衰退し、小さな街が点在しているだけだった。
しかもその街は、起動していたゲームに登場する街にそっくりに見える。
コスギはゲームにログイン。

コスギのアバター(ゲーム内で操作するキャラ)は地上に出現。
街に入り込んだモンスターとそれを殺すアヴァルト、そして目の前で母親を殺される少年がいた。
コスギは、自身のアバターで少年をアヴァルトの手から救うが……。

と言った風。
ここから事件は二転三転していく。

MMORPG

アヴァルト(1) (シリウスコミックス)
「怪物王女」光永康則の新作。

「現実の人間がゲーム世界に入り込んで」みたいな世界観は多いが、こちらは一風異なり、ゲーム世界が現実を侵食してしまう。
ゲーム内から逃げられないどころか逃げる場所は既にない。
芝村裕吏の某シリーズがそういう展開をしていたが、それほど見かけない構成。


しかも今作ではそんなゲーム世界が現実を飲み込み、人間ごと飲み込んでしまう。
人類は文明をやり直し、永遠のゲーム世界を体験し続ける。

そしてゲーム世界のロジックが現実世界のロジックに成り代わり、狂ったNPCが神(アヴァルト)を名乗り、人類を支配する。
ロボットの反乱ならぬNPCの反乱。
アヴァルトと戦う手段もまたゲームのロジックにある。
ゲーム的な成長要素を持ち込み、復讐譚に仕上げる。

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※第一話「狂気の世界」

そんな狂った世界が徐々に明らかになり、絶望的だった状況に少しづつ希望が見えてくる。
これもまた実にゲーム的世界。

とはいえ文明は崩壊し、地上はすっかりソイレントグリーン。
ホコリの大半は剥がれ落ちた人間の皮膚だと言うが、あの世界の大半は……うぅ地獄だ、地獄。

物語は五巻でようやく反逆の狼煙を上げたところ。
これから世界の謎の解明とアヴァルトとの全面戦争に突入していくのか。
世界全体がアヴァルトの支配下である以上、世界規模の話になるのも必然。
他の乗員らの行方も気になる。

間違いなく面白い。
今、一番オススメできる作品。

*1:Massively Multiplayer Online Role-Playing Game