劉暁波氏を獄死させた現代中国を知る書籍・映画まとめ

ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が死去 批判に中国反発 - BBCニュース
劉暁波氏が亡くなった。

数年前から中国が好きというわけでもないんだが、中国関連本を読むようになった。
これまでがアメリカの時代、これからが中国の時代なのは間違いない。
一時期の嫌中本ブームの終焉により、現代中国のことを比較的フラットに取り扱う本が増えた印象もある。

知れば知るほど見えてくるのは、中国とそれを支配する中国共産党という二重の構造。
情報を統制し言論の自由を奪う全時代的な共産党の体制と習近平の絶対的権力。

今回はこれまで読んだ中国関連の本や映像を幾つかまとめ。
みなさまが現代中国を知るためのお役に立てばいいですが。

※以下、☆の数で主観的面白さ(興味深さ)を表しています
※読んだ本や映画だけを並べてあります



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》毛沢東、文革

 

【書籍】悪の出世学/中川右介 ☆☆☆☆☆

悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東
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毛沢東と同時代に生きたスターリン、ヒトラーの悪どい立身出世を比較し描いたノンフィクション。
歴史に名だたる独裁者という比較軸があることで見えてくるものもある、これは必読級の一冊。
 
【関連過去記事】
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【映画】さらばわが愛、覇王別姫 ☆☆☆☆☆

京劇役者として、舞台の上で項羽と虞美人を演じる二人の役者が日中戦争や共産党の台頭と文化大革命など時代の渦に翻弄される姿を描いたチェン・カイコー監督の名作。
中国という国が外的にも内的にも混乱を極め、運命を変えられてしまう。

レスリー・チャンが自殺した日に、哀悼の意味を込めてこのDVDを買ったのも懐かしい。

さらば、わが愛 覇王別姫(字幕版)
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【映画】妻への旅路 ☆☆☆☆

チャン・イーモウ監督が文革によって離れ離れになった夫婦の悲劇を描いた作品。
娘の讒言によって投獄された夫とその夫を待ち続ける妻。
文革が終わり、夫が妻の元へ戻るが妻は痴呆になっていて夫のことを認識できない。
時代が変わって社会が変わっても、文革によって付けられた心の傷は癒えないまま残る。
 
【関連過去記事】
azanaerunawano5to4.hatenablog.com

妻への家路 [DVD]
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中国共産党を作った13人/タン・ロミ ☆☆☆☆☆

中国共産党を作った13人(新潮新書)
中国共産党を始めた最初の13人を描いたノンフィクション。中国共産党に支配される前の中国をかなり描いているのも興味深い。
日本とのつながりの深さや、ロシアの暗躍、党内闘争。

メンバーの中でも影の薄かった毛沢東が、その偏った思想を手にやがて独裁者に至るまで。
面白い。
 
 

》中国経済

 

【書籍】現代中国経営者列伝 ☆☆☆☆☆

現代中国経営者列伝 (星海社新書)
制限の多い中国の中で成り上がり、巨大企業を作り上げた創業者の伝記をわかりやすくまとめた一冊。
日本ではなかなか読めないような人物を多く取り扱っていて、かなり読み応えがある。
あれだけ難しい国で成り上がるのが尋常じゃなく難しいのもよくわかる。
 
  
【関連過去記事】
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【書籍】メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない/高須正和 ☆☆☆☆

モノづくりスタートアップの聖地とも言える中国深センの今を取材したノンフィクション。
法律がゆるくとりあえずやってしまえ、の中国だからこそモノづくりスタートアップが容易に始まり、そんな中から未来の大企業が生まれる。

これも中国という土地柄だからこそと言うのがよく分かる。
 
 

【書籍】橘玲の中国私論 ☆☆☆☆

橘玲の中国私論
橘玲の中国私論
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ダイヤモンド社 (2015-04-06)
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最近徐々に自己啓発っぽい感じに傾倒しつつあって危なげな橘玲氏が、中国について書いた一冊。
中国10大鬼城(ゴーストタウン)観光と称して、不動産バブルの残骸をめぐる巻頭記事や
オルドスのある内モンゴル自治区の省都、フフホトにもあった鬼城 [橘玲の世界投資見聞録] - エキサイトニュース
青幇(秘密結社)や共産党など範囲が広いので今の中国を広く捉えるという意味で向いてる。
 
 
 

》共産党とインターネット

 

【書籍】グーグル ネット覇者の真実/スティーブン・レヴィ ☆☆☆☆☆

グーグル ネット覇者の真実

「ほかの国のオフィスは自分たちのことを『グーグル』と考えているが、北京のオフィスは自分たちのことを『グーグル・チャイナ』だと思っている」。

グーグルの内側を描いたノンフィクション本。
中国関連本ではないが、一章を割いてグーグルが中国に進出し、中国共産党によるグレート・ファイアーウォールと検閲に屈し撤退するまでの経緯が書かれている。
理想を掲げて中国でのサービスを開始するも検閲の壁に遮られ、政府によってアクセスが突然遮断。
中国の情報省からは、検索結果から排除するキーワードが毎日送られ対応を迫られ、政府による検閲に抵抗のない検索サービス百度との争いにも敗れ、さらにサイバー攻撃が襲いかかる。
泣きっ面に蜂、政府に追い詰められ完敗するグーグル・チャイナの悲劇。

【関連過去記事】
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
 
 

【書籍】十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争 ☆☆☆☆☆

十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争

優れた国際報道の貢献者に贈られるボーン・上田賞を2011年に受賞した気鋭の朝日新聞記者が、謀略蠢く中国共産党の最深部に分け入り、習近平国家主席の「果てなき生存闘争」を活写する。北京、上海、大連、重慶、ワシントン、ロサンゼルス、ボストン、東京…ひたすら「現場」を歩き、米中当局者50人以上の「証言」に裏付けされた唯一無二の国際ノンフィクション―。

これは、かなり面白かった。

タイトルにあるように習近平が共産党内部で成り上がるまでのドロドロとした権力闘争の背景ももちろんだが、中国共産党の乱れっぷりと、金を持った共産党の偉いさんは必ずと言っていいほど愛人を囲うってのがよく分かる。
人間、金の次は色……。

中国の一人っ子政策を避けるべく愛人をアメリカに送り込み子供を産ませ、米国籍を取らせ、万が一汚職がバレると逃げられるよう賄賂で稼いだ資産を送ったり……。
ほんと、ろくでもない。
 
 

【書籍】なぜ習近平は激怒したのか ☆☆☆☆☆

なぜ、習近平は激怒したのか 人気漫画家が亡命した理由(祥伝社新書)

中国で起きたネット論壇の中で風刺漫画を投稿していた辣椒氏が中国を追われた背景と、中国のネット論壇の栄枯盛衰。
辣椒氏という中国の内側から見た自由なネット文化の始まりと共産党による情報支配の推移がよくわかる。

こちらは中国を追われた辣椒氏だけに中国共産党に対して、かなり辛辣な視点が多い。


 
 

【書籍】マンガで読む 嘘つき中国共産党 ☆☆☆☆

マンガで読む 嘘つき中国共産党
そんな中国を追われた辣椒氏が書いた風刺漫画。

中国のネット上に花開いたネット論壇。
しかし共産党は徐々に締め付けを強め、やがて共産党がネットのやり口を学び逆に利用し始める。

今はアメリカ在住の辣椒氏が日本にいたころに書いた本なので、安倍政権へのデモや奥田○基っぽい若者なんかも登場する。 
 
 

【書籍】中国メディア戦争 ☆☆☆☆

中国メディア戦争 ネット・中産階級・巨大企業 (NHK出版新書)

取り扱っている範囲が「なぜ習近平は激怒したのか」と一部重複しているが、前者が内側からの視点が多かったのに対して、こちらは外側から広く俯瞰したような内容になっている。

共通しているのはネットの普及によってネット論壇が起こり、やがて共産党がそれに目をつけハブとなるネット有名人を弾圧。
漫画家 辣椒氏のように一時拘束されやがて中国に帰れなくなるひとがあり、汚名を着せられ晒し者にされる人あり。
共産党のプロパガンダとしてネット利用が始まる、なんて辺りも恐ろしい。
    

》vs中国共産党

   

【映画】アイ・ウェイウェイは謝らない ☆☆☆☆☆


中国人アーティスト アイ・ウェイウェイが中国政府を敵に回しても創作活動を続ける姿勢を描いたドキュメンタリー映画。
芸術によって中国政府のやり方を批判し、中国政府に監視され、拘束され、開放されても盗聴装置を仕掛けられ。
それでも中国から離れず、批判を続ける。

やがて政府に拘束され、監禁尋問を受けるアイ・ウェイウェイ。
しかし現在も、アイ・ウェイウェイは批判を続けている。

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

アイ・ウェイウェイは謝らない(字幕版)
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【映画】ジョシュア ☆☆☆☆


こちらはNETFLIXオリジナル。

香港 雨傘運動の中心になったジョシュア・ウォンに密着したドキュメンタリー。
愛国主義教育の義務化反対のため、高校生らが立ち上がり広場を占拠。
香港政府に義務化を撤回させる、という辺りまでは市民運動の強さも見られるが、習近平が登場し流れは一転。

一気に中国色が強まり、抵抗も虚しく民主化の望みは排除されていく。
ちょうど先月もこんなニュースがあったばかり、戦いは今も続いている。

www.afpbb.com

中国本土を扱ったわけではないですが、もしNETFLIXが観れるなら是非觀ていただきたい一本。

最後に

あらゆるものが繋がるネットが広がり続ける現代においても、情報統制を行いファイヤーウォールで国内と国外の情報を遮断。
共産党のやり方をいくら外から批判しても国内には届かず、民主化を夢見た劉暁波氏の死も中国国内では冷ややかに受け取られる。
jp.techcrunch.com
先日のVPN禁止のニュースもそんな情報統制強化の一環。

中国では、アニメの技術も上がり国内向けにプロパガンダアニメも制作。
先日TLに「最近中国のアニメ技術がすげー!!」なんてお気楽なツイートが流れてましたが、そんな技術力の向上したアニメでプロパガンダが作成され自国民を共産党の電池として洗脳してると考えると、お気楽に「中国のアニメすげー!」と思えないんですよ。
プロパガンダはすごいアニメの顔で近づいてくる。

アメリカや欧州が力を失いつつある中、力をつけつつある中国。
しかしどれだけ近代化しても共産党の思想は変わらない。

これからの時代に、中国共産党という恐ろしい隣人のことを、少しでも知るのはとても大事なことじゃないでしょうか。
劉暁波氏の死が、無意味なものになりませんよう。

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)
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