VALUの価値も信心から

評価と贈与の経済学

さて、周回遅れですがVALUについて。
(遅れたのは、スマフォのゲームで投入された新キャラをガチャで引いて育成にかまけてたせいなので気になさらず。おかげでソウルレベルMAXになりました)

VALUは、岡田斗司夫の唱えた「評価経済社会」の末子であり、FREEexの残滓なのは一部の方には自明であるわけですが、ところで「VALUとは投げ銭である」の比喩には違和感。
投げ銭が売り買いできることに違和感がある。



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【もくじ的なもの】 

 
 

FREEex

そもそもFREEexとは何か。
「労働しなくても生きて行くための仕組み」として岡田斗司夫は、自身の評価を使い師弟制度、あるいはタニマチ制度を拡大したFREEexというコミュニティを作り上げた。

「お金を支払い岡田斗司夫のために働く。代わりに岡田斗司夫からスキルや知識などを得ることができる」

これがFREEexの仕組み。

社員が社長へ給料を支払うシステムである。仕事をした社員はフリラック印税から社内通貨を通じて報酬を得られる。社内通貨は各団体ごとで発行される。これは団体各々の評価を表す指標になると考えられている。さらにプール金がある場合は毎月社員に配当金として公平に分配する予定である。社員は会費を支払うための収入源=本業が必要となり、入会条件に「金銭的に余裕のある人物」であることが求められる。なお、2012年末には社員を上限150人と発表している。以前は上限を300人としていたが200人を超えた辺りから岡田が管理できないため150人まで減らした。
フリックス - Wikipedia

評価経済社会の応用であり、実験場としてのFREEexは徐々に綻びを見せつつ、やがて岡田斗司夫氏の例の騒動で評価を著しく下げ、FREEexの骨組みであるはずの評価経済をも破綻させることとなった。
その後、けもフレなどで話題を作ろうとしてもアラを見せ、得意の能力すら低下していることを露呈させた岡田斗司夫の明日はどっちだ……。

n-knuckles.com

は、さておき、そんな岡田斗司夫に教示を得た小飼弾氏がVALUの片棒を担ぎダークサイドに飲まれるのは時間の問題だったわけで。

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ファンクラブ

VALUは、公式の規約にも書いてますがファンクラブの会員権と考えるのがやっぱり一番しっくりくる。
会員証じゃなく会員権。
握手会の券には握手の権利がついてますが、VALUという会員権には「○○というひとにお金を払った」以外の意味はない。
実際的には、VALUとはレシートが一番近いかもしれない。

アイドルのファンクラブ会員権は、好きな人には価値があってもそうでない人には価値がない。
ファンクラブ会員権はファンの人にしか価値がない。
鰯の頭も信心から、じゃないがVALUの価値も信心から。

ファンクラブなので、アイドルがメルマガ発行しようがファンミをやろうが、何もしなかろうが自由。
ファンクラブ会員権を買ったファンがアイドルに対して何かやれと要求する権利もない。
ファンは、ファンだからという理由で会員権を買うんだから。
そもそもファンがアイドルに何かをやれと要求するか???

ファンクラブ会員権は、あくまでも応援する権利(投げ銭はこの部分の比喩として適切)でしかない。

評価経済社会

かつて経済は、金本位制だった。

金に価値があると定義したうえで、通常使用する貨幣は、金の価値を根拠として「この紙切れや金属片には金と交換できる価値がある」としたのが金本位制度。
しかし徐々に世界経済は金本位制から脱却した。
だが、転じてVALUはどうか。

tyoshiki.hatenadiary.com

何度もいいますが、買い手が買ってるのは、あくまでなんの価値もないVAなんですよ。そんなものに勝手に価値を見出して、勝手に値段をつけて買わせてくれといって列に並び、いざ買ってみたら自分がおもった価値が無いから詐欺だというのは、まだ常識に囚われすぎです。

こちらの記事は概ね同意だし、語っている「無」というのも理解できるが、単に「無」という理解は足りない気がする。
今回、VALUの本質的価値を論点にしても仕方がない。
なにせVALUは、

・小飼弾らの語る理想のVALU
・情報商材屋が語る儲かるVALU
・ゆるいクラウドファンディングとして発行しているVALU
・発行者のファンとしてValuを買うVALUER
・投資目的で買うVALUER

大まかにこんな感じの側面がある。
それぞれにとって視点は異なる。

たしかにVALUの中身が本質的に「無」だったとしても、その価値は受け取り手によって相対的に決まる。
人によってはそれを操作すらしてる。
問題はVALUの本質的価値ではない。
価値は、必ずしも権利のみによって発生しない。
不確定な「無」だからこそ、価値がより相対的であるといえるかもしれないが。

ファンとしてVALUを買っている人にとって価値が「無」であるとは言えない。
鈴木みそ氏のVALUを買ってファンミに参加したブログを読みましたが、その人は金銭的には損をしていてもオフ会に価値を見出していたし、その出会いに価値があるとおっしゃっていた。

VALUを買うことで発行者に対して何かしらの権利や発行者の義務が発生しない「無」だとしても、ファンがVALUを買い発行者を支える「行為」を行っている時点でそこに価値が生じ、既に「無」ではない。
仮に「無」であれば、その行為にすら価値は生じない。


繰り返すように、鰯の頭も信心からと言うのは、信仰は、信仰の中身や対象の有無ではなく、その行為自体に意味が発生しているからに他ならない。
神を信仰する相手に
「神への祈りなんて何の意味もない。無だ」
「神なんていない。信仰は無意味だ」
「アイドルなんて幻想だ」
と言っても、祈る人、信じる人にとっては、その祈りや信心自体に価値が生じてる。
信者相手に神の在不在は、論点にならない。

VALUを買うことで「発行者を支援する」権利は自然発行される。
だから「無」とは言い切れない。

現実社会の経済にしろ、金本位制から移行した「通貨」という共同幻想の価値によって成立してるんだから、「共同幻想は無だ」と言ってしまうのは「それを言っちゃあ」なんですよ。

価値の根拠

VALUのツッコミどころは、この元IT戦士のVALU体験記を読むといろいろわかる。

www.itmedia.co.jp

VALUを始めるのはとても簡単。VALUの売り出し(「私のおサイフにお金を入れて下さい」と募ること)も簡単。あまりに簡単だった。「新しいSNSに参加する」ぐらいの感覚だ。

まず、VALUに会員登録する。Facebookアカウントを連携させればすぐに登録できる。VALUの売り出しは、サイト上のメニューに従って「審査」に申し込むだけでOK。筆者は6月初めごろに申請し、数日後にあっさり承認された。「申請したのに承認されなかった」という話は聞いたことがなく、審査は甘いようだ。

 ユーザーのVALUの「価値」の指標になる最初の「時価総額」(おサイフの大きさ)は、VALU側が一方的に決める。その額はSNSのフォロワー数で上下し、フォロワーが多ければ価値が高く、少なければ価値が低くなる。筆者の場合、Twitterのフォロワーが3万人近くいるので、時価総額はなんと「850万円相当」とのこと。

まず、この部分。

VALUの時価総額というのは自動で換算される仕組み。
まるでKLOUTみたいにSNSの数で算出される。
ところが、これがおかしい。
TWITTERのフォロワーが三万人(28,000人位)いる→850万円相当。
ん?
ん???
つまりツイッターのフォロワー1人あたり300円程度ということになる。

が、この850万円、何が根拠なのかよくわからない。
「特に根拠はないがツイッターのフォロワー1人が300円位の価値」というのを決めているのがVALU。
しかもこの850万円相当をさらにBTにすることで法規制の穴を抜け、独自の相場を創出しようとしてる。
手前勝手な価値創出と手前勝手な市場創出。


たとえば、株というのは定期的にIR情報を出したり財務諸表を公開することで、会社の実態や業績を公開しそれに対して投資家はファンダメンタルズに株を購入したりする。
株価は適当に決まってるわけではない。

ところがVALUは、根拠のない算出による「価値」を定義してる。
株なら会社の経済的価値に関する根拠もそれなりにあるが、VALUの場合、あまりに根拠が薄弱じゃないか?
どうしてフォロワー1人が300円なのか?
フォロワーが算出される影響力が評価の価値と等価と言えるのか。

価値とは、信用が生み出すものだがVALUの信用は「VALUはBTと交換できる」という信用しか負担していない。
だからVALUはBTと兌換はできても、VALU自体は間接的価値でしかなく保証や信用があるわけではない。

VALUでは、発行者が財務諸表に当たるようなものを提出する必要もない。
発行者の現在の状態も明確にならない。
法人は事業の良し悪しを公開し評価を数値化できるが、個人の業績を出す義務はないVALUにとっての評価は果たして何に拠るのか。

そもそもVALUにおける「評価」とは、
経済状態?
知名度?
人格?
業績???

会社のように貸借対照表もないから発行者の健全性を測ることも出来ない。
会社なら業績があるが、個人ならどうか。
本を出すから上る?
事件を起こすから下がる?
ファンが持つことを前提とするなら、そんなに流動するだろうか。
流動しないなら市場は活性化しない。
だから「上がりそうだから買うし、下がりそうだから売る」人ばかりが市場を動かしているようにみえるが、公式に利益目的の売り買いは禁止してるアンビバレンツ。
VALU運営側としては「応援する人を買ってください」としか言えない。
売れるのに「売って利益を出しても、損しても見ないふりですけどね」とは言わない。

市場創出

だったらクラウドファンディングで足りる。
VALUを「買」えても「売」れる必要がない。
「応援されたい人がVALUを発行してそれを買ってもらうことで支援してもらう」だけでいい。
ところが、売れる。
売って価値が下がったら「支援している意味」が薄れると思うんだが、違うのかね。

VALUは「自分自身をお金に換算し、切り売りする」サービスだ。自分が発行したVALUを買ってもらうことは、「自分のおサイフにお金を入れてもらう」ことに近い。

 「お金をタダでもらうわけにはいかない」。筆者は、お金をもらってしまった後にそう気づき、震え始めた。1VA当たり1700円相当の「何か」を、買ってくれた人に返さなくては……。でも、何を返せるあてもない。
「VALU」やめました やめるのは、とても大変でした (1/6) - ITmedia NEWS

元IT戦士は「いいひと」なので「お金をもらったらそれ相応の何かを返さなければ」と考える。
でも、VALUは欲しい人が勝手に買うだけなので、IT戦士は何をする必要もないんですがね。
ただ「お金をもらう」だけでも成立してしまうのがVALUだし、多分、このIT戦士の感覚は正しいが、旧来的、現実的であるとも言える。

VALUは、売り買いできることで、無理やり市場を創出しようとしてる。
しかも価値の根拠は「フォロワーがこのくらいだからこのくらいだろう」というもの。
フォロ爆なんてしてればエンロン社並みの不正経理だってイージーに出来てしまう。
今回の相場操縦にしろ影響力があるからこそ簡単にできてしまった。

個人の評価が会社の財務状態のようにコロコロ変わるわけもなく、市場としてあまりに流動性に欠ける。
今のところは新規参入者が多いという理由の流動性。
新興市場やIPO狙いみたいな博打相場。
何のファンダメンタルズも必要ない。
こんなところで利益を出すならデイトレードやスイングトレードが主流になるか。

市場ごっこ

ファンクラブだろうが八百万の神だろうが、崇め奉りたい人らが集まってその権利を買ったり売ったり、ワチャワチャやってる分には、損しようが自業自得で構わないが、それをメディアやキュレーターがまるで新たなイノベーションのように持ち上げて「これが新しい世界の新しい評価経済のカタチだ」などと喧伝してもその実態が追いついてない。

握手会の券が欲しくてCDを何枚も買う人と同じく、やる人が自己責任で損しても得しても気になりませんが、これが新たな革新性のあるファンテックだとか言われるとモヤるだけ。

大金をかけた杜撰な市場ゴッコ遊び。
まだまだ成長途中なので~という言い訳が、果たして「フォロワー三万人で850万円」なんて危なっかしいゴッコ遊びに通じるんだか。
これが一桁低ければ、まだ評価経済の実験場として面白みがあったかもしれないがどうしてこんな大金がゴロゴロ無駄に生まれる仕組みにしてしまったんだか。
そりゃあ、お手軽に儲けることばかり考える情報商材屋ばかりが参入するのは自明の理。

次の各号のいずれかに該当する場合、会員登録の申請は承認されない場合があります。また、登録が許可された後でも、登録を取り消す場合があります。
(中略)

  • 反社会的勢力等(暴力団、暴力団員、右翼団体、反社会的勢力、その他これに準ずる者を意味します。以下同じ。)である、又は資金提供その他を通じて反社 会的勢力等の維持、運営若しくは経営に協力若しくは関与する等反社会的勢力等との何らかの交流若しくは関与を行っていると当社が判断した場合その他当社が不適当であると判断する場合
  • 情報商材またはそれに類するビジネスに関わっていると当社が判断する場合

VALU | 利用規約

え?情報商材???
VALUやってるアカウントが、いくつも思いつくのは気のせいだろうか……。


ところでどうしてヨザーはVALUアカウントを取れなかったんですかね。
何を根拠として拒否してるのか是非知りたいものです。
だって似たような人らが、とっくににわんさか稼いでるんですが、もしかすると情報商材屋としての知名度ですかね……。


発行して売るだけ売ってあとは放置なりして、逃げればそれで勝ち。
だって解散価値もないし、議決権もない。
発行者責任なんてないんですから。

VALUは、発行者への応援の気持ちを表す特別なステータスのようなものです。VALUの仕組みは少し株式に似ているところもありますが、実際の株式ではありませんので、VALUを購入しても、発行者に対する経営権や支配権を獲得するものではありません。
VALU | 利用規約

どう考えてもVALU発行者が強すぎ。


周回遅れのVALUの話題でした。