ネタバレを気にしないなら調べればよく、ネタバレを気にするひとに配慮しましょうという話

togetter.com

そんなもん勝手にしたらえぇがな、と思うが、要はあらゆる物語はそもそもネタバレが前提ではないのだからネタバレ自体が不自然。
その不自然な嗜好が好みならそれはそれでいい。

「予備知識無しで楽しんでほしいから」とかって拒否られると逆に楽しめない

って嗜好まで知らんがな。
あとで自分勝手に調べて勝手に観りゃあいいんじゃね。
別に知る権利を否定してるわけでもない。
そもそもネタはバレないようにしてある方が正しい。



【スポンサーリンク】



時系列

たとえば小説や映画は、ページや時系列に従って先→後へと読んでいく。
だから作者の意図としては、物語の始めから終わりに向けて物語の要素を組み上げていく。
終盤に向けて収束するように構成してある。
ところがネタバレというのは、その構成の最後に迎えるべきオチを先に知ってしまうということで、これはもちろん作者の意図には合わない。

だから事前にネタを割ってもいい(あるいはその割り方自体がトリックである)という物語の場合、作者が事前に用意することもある。

0の殺人 (講談社文庫)
0の殺人 (講談社文庫)
posted with amazlet at 17.12.04
我孫子 武丸
講談社
売り上げランキング: 235,892

たとえば我孫子武丸「0の殺人」では冒頭に登場人物リストがあり、その中に犯人がいると示される。
本来ミステリでは「容疑者の中に犯人がいるかいないか」ですらネタバレですから容疑者リストを提示し明確に犯人の存在を示すのはネタバレ。
しかもその容疑者が次々と死んでいく。

人間の意識は、時間に沿ってしか事象を認識できない。
だから要素や事象を順に知っていくというのは自然なこと。
物語はそういう風に作られているし、ネタバレを忌避して楽しむというのは自然なこと。

もちろんネタバレなんて気にせず楽しみたいという思考があっても構わないが、だったら勝手に自分でオチを調べればいいだけ。
ネタバレ忌避は受動で、ネタを知りたいのは能動。
知りたいので自分で調べ知る行為(能動)に対し、知りたくない(受動)嗜好を否定する理由はなにもない。

愛の無いまとめ

よく「どんでん返しのあるミステリベスト」なんてバカなまとめ記事が挙がるが、あれにしろ「この作品にはどんでん返しがある」とまとめに挙げられた時点で読みながら「こいつ容疑者だけどどんでん返しあるからな―……あーやっぱりどんでん返しあったわ―」となる充分なネタバレ。
さらに「叙述トリックがあるミステリまとめ」なんてのも、まとめに挙げられた時点で「この小説は地の文にトリックが仕掛けられた作品です」というネタバレになってる。
どちらにしろ作品に対して「愛」がない。

ネタバレを忌避するというのは、「作者の意図したとおりに楽しみたい」「一番面白いと思われる楽しみ方で楽しみたい」という作品に対しての愛情の表れ。
作品というのは、それだけセンシティブなもの。
繊細さのないネタバレまとめを作る行為には「これらの作品をネタバレなしで楽しんでほしい」という作品に対しての愛が感じられない。

ただ、もちろんネタバレされても面白い作品もある。
映画でもアクションやミュージカル映画は何度見ても面白い。
さらに落語や漫才も何度見ても面白いものは面白い。
吉本新喜劇や一発ギャグは、繰り返される定番の芸。
そういった瞬間的な感覚的事象にはネタバレというものは薄い。

だが一発目、何も知らずに観るその感覚は、やはり一度きりしか味わえないもの。
アクションだって「次に何が起きるかわからない」で観るのは一周目だけ。

昨日、M-1をやってたが、未知のネタはどうなるかわからない感覚で笑え、既知のネタは「上手くやれよー!次、あの笑うところ……あー、ウケたよかった」みたいに見方や楽しみ方が変わる。

ネタバレを忌避する人というのは、つまりネタバレではなく作品そのものによって「未知→既知に変わることの楽しみ」を楽しみたい嗜好。

不安感

時間軸に沿ってしか、人間は事象を把握できない。
だからこそ事件がどうなっていくのかを物語の時系列に沿って登場人物の目線で追体験するのが「物語」なのだが、こういう「先が気になって」と言う感覚は、未知への不安の現れなんだろう。

先がわからないと不安だから先に知りたい。
この先どうなっているかわからないから先に知りたい。

結論を知って観たいのであれば二周目で見ればいい。

過程を楽しむのは、二周目で足りる。
一周目だけが唯一、初見の楽しみを得られる。
二周観たいと思わないのであれば、それはそれほど魅力のある話でないだけ。

センシティブ

ネタバレを気にしないというのは一周目の楽しみを勝手にキャンセルしてるだけ。
キャンセルしたければどうぞ。
スキップして最終チャプターから映画を観たいならそれはそれで自由。
ただ他の人もキャンセルしたいとは限らない。
その上、ネタバレのほうがよほど繊細にできてる。

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)
(2013-11-26)
売り上げランキング: 39,719

ネタバレは、何がネタバレになるかもわからない。
たとえばユージュアルサスペクツを、初見の友だちと一緒に観たとき「うわー、この○○○○でバレるやんけ!」とヒヤヒヤしながら(友人は気付かなかったが)見たし、映画「スクリーム」もとあるワンカットでわかってしまい、推理を働かせるヒマもなく、なんとなくモヤッとした(意図しないカットだったと思うが)。

スクリーム [Blu-ray]
スクリーム [Blu-ray]
posted with amazlet at 17.12.04
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2012-02-22)
売り上げランキング: 93,338

ネタバレしなくていいひとはネタバレ拒否するひとに配慮して欲しい、という簡単な話。
知る権利があるように、知りたくない権利も同等にある。
時系列で楽しみたい、時間軸に沿って追体験したい、未知から既知へ変わる驚きを味わいたい。

結果は言わないで

東京03の「結果は言わないで」というコントがある。

バス停に日本代表の試合を見た帰りの飯塚が立ってる。
そこへ角田が登場。
角田は、家でサッカーを録画してある。
「ゼロの状態で見たい」角田は、ネタバレして欲しくないが、飯塚のテンションですら勝敗がバレそうになる。
何も知らずそこへやってくる日本代表の衣装を着た豊本。
入ってくるなり、いきなり……。

結果を知っている豊本と飯塚に挟まれ、ネタバレを過剰に拒否することを、角田はとても滑稽に演じる。

ネタバレを拒否するのは滑稽な行為。
こだわりがある、思い入れがあればあるほどネタバレに過敏になる。
だが周囲から観て滑稽でも、自分の一番の楽しみ方は大事にしたいだけ。