【音楽】いつの間に少年は「ロック」を聴かなくなったのか

きっとロックは、自分は何てダメ人間なんだろうと、はいつくばって生きている連中にとって、最高の救済手段なのだ

ロッキンホースバレリーナ/大槻ケンヂ

第47回:いつの間にロック少年は「洋楽」を聴かなくなったのか?/DrillSpinColumn
ホッテントリになってたエントリーなので読んでみた。

ロックンロール・イズ・ファッキン・ネバー・ダイ。

かつてバンドブームってもんがあった。
いか天出身でXとかカブキロックスとか宮尾すすむと日本の社長とか、雨後の竹の子みたいにうじゃうじゃバンドがいた。BOØWY、ユニコーン、ジュンスカ、ブルーハーツジッタリンジン、パーソンズ、プリプリ、ゴーバンズ筋肉少女帯...。
岡村靖幸とかフリッパーズギターなんかを聴いてると少しセンスが良いヤツ、みたいな。
洋楽を聴いてるやつは少なくて、聴いててもガンズとかメタル系の奴しかいなかった。


ロックンロールはリビドーの向かう先、モヤモヤは全てロックに昇華した。
バンドブームは過ぎて多くは消えて行き、大槻ケンヂは文化人になってサブカルで食い始め、小説「くるぐる使い」と「ののこの復讐ジグジグ」で星雲賞を貰ったり、フリッパーズギター渡辺満里奈を取り合って解散し、岡村靖幸はどんどん太っていった。

そしてミッシェルガンエレファント(TMGE
チバの枯れてセクシーな声にアベフトシのバッキバキのギターリフ、チバ独特な世界観の歌詞に細っそいモッズスーツで歌う姿はいつ見ても恰好良かった。

ブランキージェットシティ(BJC)、ギターウルフナンバーガール。バンドブームが去ってもまだまだ尖がったバンドは生まれてたし、ロックっていう「言葉の意味はよく判らないが、みんな意味はなんとなく判るモノ」を体現してた。
ロックンロール。
格好悪くて、ダサくて、格好良い、その言葉、思想、概念、想い。
そういうバンドのメンバーが聴いてた曲を今度は聴いてみる。
Dr.Feelgood、PixiesNirvanaRadiohead、OASIS。
そういうのが洋楽の入り口だった。

その頃の一番のメディアはインターネットじゃなくテレビだった。
でもテレビでやってる歌番組が紹介する音楽はつまらないものばかりだった。
歌謡曲、ポップス、どれもこれも「あなたが好きなの」「この想い届け」「別れてもまだ好きだよ」
グラムロックのなりそこないみたいな半端なヴィジュアル系バンドは、売れていくと化粧を落として「実力派」とか言い出す。テレビのヒットチャートに入るいわゆる「バンド」は「ロックバンド」じゃなく甘ったるい恋を歌う「ポップスバンド」ばっかりだった。
テレビやヒットチャートは小室哲哉のプロデュースが全盛。
アムロ、篠原涼子とか華原朋美とか。

BJCはHarlem Jetsを発売し、2000/7/9最後のライヴを行って解散。
2002年にナンバーガールは解散。
ギターウルフが音楽番組に出た時に「演奏下手だなー」とか某掲示板に書かれてた。
t.A.T.uがドタキャンした時にTMGEが急遽「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」を演奏したのは2003/06/25の事。

同じ2003年にTMGEは解散する。
その後、銀杏とかサンボマスターが、海外ではWeezerなんかがやってた「青春=ロックンロール」って路線を始めて少し盛り上がったがバンドサウンド自体が廃れだした。洋楽ではロキノン辺りが「ロックンロールルネッサンス」とか言ってストロークスを先頭にフランツフェルディナントとかジェットとかBRMCとかマンドゥディアオとか売ろうとしてたが結局一部のブームに終わったんじゃないかな、一過性の。

レディガガが売れたり、アデルが売れたりそれは判るけど、日本でも「曲が良いから」売れたのか。
「話題になったから」だけじゃないのか。
ストーンズ以降、ビートルズ以降、ニルヴァーナ以降、オアシス以降、レディオヘッド以降、ストロークス以降、カサビアン以降、アークティックモンキーズ以降。「売れた」って言うほど売れたロックバンドってどれだ?
英語がピンと来ない日本人は曲じゃなくって、歌詞を聴く。
愛だの恋だのの歌詞に「共感」して涙する。
歌詞が判らないから洋楽は聴かない。

今じゃウチのiTunesにもももクロとミクが並んでるし、JamesBrakeを聴いた後にTomato n'Pineを聴いたりする。
ネットではプロデューサーが曲を作り、ボカロが歌い、それを無料で観てコメントしてる。
そんな今、洋楽がウケる素地がどこにあるんだろう?

俺が思うに、インターネットがロックンロールの輝きを奪いやがったんだ。今じゃ何だって(ネット上に)ばらまかれているからな

Kasabian ロック・バンドが売れないのはネットのせい!?/vibe

フェスでは毎年、同じようなヘッドライナーが大トリ。
ケミカル、ファットボーイ、プライマル。
ジザメリマイブラ、往年の復活組が目玉になってオヤヂホイホイで客を呼び集めてる。
各バンドは事ある毎にリマスター盤を出し、グリーンディみたいに過去のアルバムまとめ売りも始めた。
雑誌の表紙はMUSEにレディへにレッチリに...。

ウケのいいポップスバンドばかり紹介してたせいで、「ロックンロールの初期衝動」っていう形の無いリビドーを理解する事無く過ごし、歌が綺麗で、演奏が綺麗な曲ばかり聴いてた耳に、フランク・ブラック・フランシス(Pixies)みたいな叫び声とか、J(Dinosaur.Jr)がジャズマスターで掻き鳴らすビッグマフで歪んだギターサウンドなんて聴く気にならない。
ATRが再結成したって聴くのは殆どリアルタイムの世代でしょう?
みんな大好物の愛も恋も、イケメンのボーカルだっていないバンドは多い。

音楽が売れない。
そりゃあそうだ。
洋楽を受け入れる素地はそもそも小さかった。
でもそれを広げる事無く、限られた少年らを相手に商売は続けられた。
少年らは成長して大人になり、ロックに疲れ、日常に戻った。
仕事に疲れて、昔を懐かしんで聴くのが関の山。
音楽を積極的に聴かない層には、売れ線のジャンクフードみたいな甘ったるいポップスばかりを投下。
洋楽が広がる余地なんてない。

売れないからって「昔はこんなじゃなかった」って懐古趣味で理解されないとか言ってたってしょうがない。
売れないようになったのは必然。

ロックンロールは神様が若者に与え、大人が食いつぶした昔話。
今やロックンロールと初期衝動はニアイコールではないし、ロックンロールが無くても生きられるんだろう。
かまってちゃんもミクも相対性理論ももクロもいる。
ロックは、ましてや対象が洋楽である必要が無い。
憧れのロックンロールスターは居なくなってしまった。