【音楽】いつの間に少年は「ロック」を聴かなければならなくなったのか?

いつの間にロック少年は「洋楽」を聴かなくなったのか?/DrillspinColumn
前回書いたときはかなり勢いと感情が優先して細かい検証をしてない。
なので、ちょっと検証してみた

まず最初に確認しておきたいのが、この記事って
「ロック少年は「洋楽」を聴かなくなった」
って記事が趣旨の筈。
そこを意識しつつ読んでいく。

2012年には音楽ソフト市場が14年ぶりに拡大したというニュースも報じられたが (※2)、それに寄与したアーティストのメンツを考えても、今年はさらに全体の中で洋楽が占める割合は少なくなっているはずだ

「音楽ソフト市場、14年ぶりに拡大 中高年下支え」日本経済新聞 2012年11月26日
ここで引用している日経の記事は、音楽ソフトが拡大したと言ってもシングルの種別違いの販売(限定版、ジャケット違い、握手券付き、複数枚購入で特典...)やベスト盤の売り上げでの「拡大」であって、その拡大要因にこの記事で言うところの「ロック少年」はほぼ介在していない。
音楽市場が拡大(けん引するのは過去の資産の使い回しとアイドル市場)→
つまり洋楽の占める割合が少なくなっている、って論法は破綻してないだろうか?

何故なら、洋楽全体の市場が落ち込んでいく中で、それでも大きな支持を築き上げたアーティストがいるからだ。その筆頭に挙げられるのがレディー・ガガ。昨年にリリースされたアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』は60万枚を超えるセールスを果たし、オリコンの年間ランキングでも嵐、AKB48、EXILEに続く4位という数字を記録している。今年でいえば、シェネル『ビリーヴ』は20万枚、カーリー・レイ・ジェプセンは10万枚以上のセールスを実現している

ここにシェネルの「ビリーヴ」が挙げられているが、

シェネル 『ビリーヴ』7月4日発売

  • 収録曲-

1. サンシャイン・オン・ユー
2. フォール・イン・ラヴ
3. ストーリー ★TBS系全国ネット『CDTV』3月度エンディング
4. ビリーヴ ★映画『BRAVE HEARTS海猿』主題歌
5. アイム・ウィズ・ユー
6. STARS [カヴァー] 作詞:秋元康 作曲:川口大輔 英語詞:シェネル
7. ハプニング・アゲイン
8. レイン
9. クリスタルズ・オブ・ラヴ
10. 愛の歌
11. ラスト・ボーイ
12. You're My Only Shinin' Star [カヴァー] 作詞・作曲:角松敏生 英語詞:シェネル、アントニオ寺西
13. トゥ・ユー
初回限定盤のみボーナス・トラック

とまぁ、いわゆるイメージする「海外でヒットしまくって日本にも入ってきた洋楽」と言うより「海外在住、日本で売れてる」ビッグマウス・イン・ジャパンなミュージシャンで、「ロック少年」の影は無いし、いわゆる「洋楽」にカウントしていいのか疑問。
この前関ジャニの番組にも出てたし
カーリー・レイ・ジェプセンをそもそも「ロック少年」は聴かない(最高位が初週売り上げ3万枚で4位だし)。
拡大に寄与、と言うほどの規模でもない。
レディガガは売れてます、確かに。

そして、ここに挙げられたようなアーティスト名を見ていくと、だいたいどういうことが起こっているのかがわかる。端的にいえば、バンドがいないということ。おそらく、10代~20代の音楽ファン、特にロックファンがリアルタイムの洋楽を聴かなくなっているのだ

それは邦楽にも言える。
若者がリアルタイムの「ロック」自体を聴いていない。
聴くのはポップスだ。でもそれは今さらだろう。
日本で若者の初期衝動を体現するような「ロック」が売れていたのっていつの事だろう。

2007年は象徴的な年で、振り返ると、音楽を巡る環境を大きく変えるサービスやプロダクトが世界中で同時多発的に生まれたのが、この年だった。たとえば、初代iPhoneが披露されたのは2007年1月。USTREAMの一般向けベータ版のサービスが開始されたのは、2007年3月。2007年6月には前年サービスインしたYouTubeが日本語対応を開始している。数多くの有名アーティストがアカウントを持つ音楽の共有サービス「soundcloud」がベルリンでスタートしたのが、2007年8月。ちなみに、レディオヘッドがアルバム『イン・レインボウズ』を自由価格でDL配信したのも、この2007年だった。

ちなみにスマパンがアルバム「Machina2」をネットで無料配布・拡散させたのが2000年、NINがGarageband用に音源を配布したのは2005年、ソウルウィリアムズとNINが組んで$0もしくは$5の選択制でアルバム「The Inevitable Rise And Liberation Of Niggy Tardust!」をダウンロード配信したのが2007年、NINが公式サイトから「Ghost I-IV」「The Slip」のDL配信したのが2008年(Slipは無料配信)。

音楽に金を払う人間は減少し続けていくだろうと声高に語られ、その一方で「新しいジャンル、新しい価値観に触れる喜び」をもたらす新たなプラットフォームが生み出されることはなかった。2008年には音楽ストリーミングサービスの「Spotify」がスウェーデンで、独自のレコメンデーションシステムを持ったパーソナライズド・ネットラジオの「Pandra Radio」がアメリカで、それぞれサービスを開始している。2012年現在、どちらも欧米では大きな存在感を持つサービスに成長しているが、しかし、共に日本には上陸していない。

と言いながら

洋楽メディアがオヤジ化する一方で、ニコニコ動画というプラットフォームがボカロPたちを同時代的なヒーローにしているのだと、僕は思っている

って事は「「新しいジャンル、新しい価値観に触れる喜び」をもたらす新たなプラットフォーム」とニコ動は「新たなプラットフォーム」足りえないという事で良いのかな。
それにSpotifyやPandra Radioが上陸したところで、本当に洋楽の裾野が広がるかも疑問だと思う。
下手をしたらセールスが余計に落ちる効果しかもたらさないかも知れない。
時代を象徴するカリスマがいないと嘆きながら、ボカロPたちを同時代的なヒーローにしていると言っちゃうダブスタ

この記事のって「洋楽ポップス」「洋楽ロック」「邦楽ポップス」「邦楽ロック」を別けずに語ってるのが一番の違和感なんだと思う。
「洋楽は市場が小さくなってる。邦楽は(アイドルと往年のベスト盤で)音楽市場規模が増えたのに。一部ポップスの洋楽(に入れて良いかどうかわからないものも入れつつ)は売れてるのに売れてる中にロックバンドがいない」
そしてその原因が「良いロック音楽を紹介するガイドが無いからだ」と言うところに落とす。
しかし前提条件がグダグダなのに、「ロック少年は「洋楽」を聴かなくなった」ってところに持って行くからなんだか違和感がある。

で、元記事はここからアデルとかエミリーサンデーとか持ち出して、アコースティク回帰とか言われて、どこにもロック要素がホントないまま展開をし続ける。
最後辺りのパーマ・ヴァイオレッツは一部でかなり評価も高いし、リアルタイムなロックとして良いのかも知れないけど。
そもそもの惹句の「ロック少年は「洋楽」を聴かなくなった」と内容が合致しない。

整理するならまず音楽市場全体は落ちてる。これは間違いない。
洋楽ポップス:レディガガやアデルなど一部はセールスもある
洋楽ロック:売れてないし聴かれて無い
邦楽ポップス:今のメイン。一部アイドルが強い
邦楽ロック:売れてない
こんな感じか。
だから「【音楽】いつの間に少年は「ロック」を聴かなくなったのか」なんて記事を書いたんだけども...あまりウケなかったようだけど。

今なら邦楽ロックでもOKAMOTO'Sとか良いバンドもいる。

THE BAWDIESなんかも売れてる方でしょう。

少年はなぜロックを聴くのか。

たとえば、甲本ヒロトは中学生の時に聴いたセックス・ピストルズに衝撃を受けてバンドを始めようと思ったという。『THE ROCK STORIES』に登場したアーティストたちも、思春期の思い出と共に、それぞれの憧れのバンドを語っている。しかし、2012年の現在、そんな風に10代のロック少年を駆り立てるような同時代的なヒーローたりえる人は、シーンにどれだけいるのだろうか

ロックには初期衝動がある。
若さゆえのやり場の無い無軌道な感情。
そんな時、エッジが効きまくったリフや、がなり立てるように荒々しい歌声にその思いが惹きつけられるのは必然だと思う。
鼓膜を震わせるフィードバックノイズ、全身にドスドスと浴びせられるスネアドラム。
揉みあいになりながら、跳びながら、踊りながら、一緒に歌い、叫ぶ。
ロックバンドの、ライヴの、モッシュで繰り広げられる光景はそんな「衝動」を具現化したような坩堝だろう。

ロックなんてクズ音楽じゃないか

トム・ヨーク

だが少年はロックを聴かなくなった。
なぜなら「ロックに代わるものが幾らでもあるから」って事になるだろう。
掲示板に憂さを晴らすように書き込めばいい。
どっかのタレントが炎上しているのを見て加わってもいい。
やり場のない気持ちをツイートしてもいい。
アプリの評価をクソだと批判してもいい。
ニコ生主にコメントを投下しまくったっていい。
気が向けばボカロの新曲を無料で聴ける。
秋葉原にサリンを撒くだのツイートしてファボられて喜んでればいい。
今、少年がロックを聴かなければならない、何か理由があるんだろうか。
ましてや洋楽ロックを聴く必要があるのか?