【読書】一億総ツッコミ時代/槙田雄司

マキタスポーツこと槙田 雄司氏の書いたこの本を読み終わったので感想など。

ざっくり表現すると、作中ではDQNやベタを持ち出して
「ツッコミでスマートに生きるより、ボケやベタで生きる方が楽しいでしょう?」
と言うのを骨子として、世の中理不尽も多いけれど受け入れて、
おおらかに生きましょう、と。
「憂さ晴らしで上から目線のコメントして、ファボられてフォローされて喜んで。で、それにどんな意味があるんだよ?ギスギスしてんじゃねーよ」
って事になるか。
主体的・主観的に行動して生きる方が「人生は豊かでしょ?」っていう事になるかも知れない。

ただ読んでいてずーっと違和感があったのは
「マキタスポーツ氏は関西人じゃないんだろうなぁ」
ってとこ。
関西人なら多分同じ感覚を持つと思う。

ツッコむ、ボケる、ウケる、スベる...本来であればお笑い芸人だけが気にしていれば良かったことを一般の人々も気にするようになったのです

ここ15~20年っていう槙田氏が指すところの「第二次お笑いブーム以降」気にするようになった、のではなく関西って文化圏はそれより以前からそういう文化圏なのでこういうところに首肯出来ない。

いつの頃からこんなに世間でお笑いやバラエティの価値が上がったのでしょう?ここ15〜20年の間のお笑いブームはすごかったと思います

20年っていうと90年代以降を指してるイメージで作者は書いてる。
「関西なんて小さい文化圏じゃなくてこれは日本と言う国の話だ」
と言われてしまえばそれまでだけれども。
中田ダイマルラケット、夢路いとし喜味こいし藤山寛美中田カウスボタン、コメディNo1、サブローシローオール阪神巨人などなど...
かつて「いろもの」と呼ばれていた漫才を代表する「お笑い」と言うモノの価値が吉本と松竹によって、すでに確立し、数々のお笑いスターを既に生んでいた関西圏では
「お笑いテクニカルタームの一般化」は先進していたし、そういう土壌に育った人間が
「ボケツッコミが一般に広まったのは、たけしさんま以降だ」
なんて言われてしまうと、なんとも
「確かに関西以外はそうなんでしょうねぇ」
としか言えない。
こういう事は故・香川登志緒氏とか上岡龍太郎氏ならキチンと歴史も語れるようなところだと思うけれど、少なくとも作者の言うような時代より以前からボケツッコミの文化は関西では一般に根付いていた。
モテるのは昔は面白い子供よりも足の速い子だった、と言う一文もあったが関西圏ではその辺りも断言はできないと思う。
※ちなみに作中にお笑い番組におけるテロップの話が登場するが、上岡竜太郎氏が鶴瓶上岡パペポTVの中でその事について批判していた記憶がある

さて、この本で言うところの「ツッコミ」という言葉は一つの言葉で複数の事象を指している。
一つが上記の、お笑い芸人のいわゆる「ツッコミ」であり。

自分では何もしないのに他人がすることについて批評、ときにひはんすることを指します。これが私の言っている「ツッコミ志向」と言うことです

もう一つがこのソーシャルのRTでのファボ・RT狙いの批判コメントとか、ぶコメとか。
安全圏に身を置いて、自分が傷つくことなく匿名で批評することを「ツッコミ」と表現している。
で、両者を結びつけて語っているのがこの本なんだが、その辺りはちょっと牽強付会というか、強引な部分も多くて首肯できかねる部分も(上記のテクニカルタームの一般化もそうだが)多い。
主張自体は「匿名の悪意あるSNSコメント」に対する批判を直接の批判ではなく「批判よりもっと楽しい人生送れよ」っていう判り易いものだし、納得も出来る。

相手を傷つけようというほどではないにせよ、先に攻撃することによって自分に振り掛からないように防御しているという心持ちが、端から見ていて気持ちが悪いのです


そんな「一億総ツッコミ時代」試し読みはこちら


さて、んでこの本を読む前にこの記事を読んだ事があって、気になっていたんだけど。
このツッコミ記事にも一部ツッコんでみたい。

...インターネットで、感想を公開する人が増えた。視聴者のスタイルは何も変わってない。技術が変化しただけだ(上の図はTwitterFacebookのアイコンを入れてますが、2ちゃんねる、ブログ、mixiなども含みます)。テレビだけでなくネットの出現で、交友関係も可視化されやすくなった。
そしてインターネットが出現する以前はこのように
(画像)
テレビに出演する芸人は、関係者としか交流を持たなかった。
それがネットの出現により
(画像)
このように、視聴者の意見がダイレクトに芸人に届くようになった。
んーw
いやいや、この批判もなんだかw
ツッコむなら、テレビに出演する芸人が関係者としか交流持たないなんて絶対にない。

なぜかと言えば芸人は舞台に上がるから。
舞台に上がると客のリアクションはそのまま返ってくる。
面白ければウケるしダメならスベる。
0か1か。
舞台が終われば客と言う名の批評家がアンケートと言うレスポンスを返してくる。ツッコミが弱かった、ボケのタイミングがイマイチ、世界観に入れなかった。 テレビに出れば今度は視聴者からファンレター、クレームさまざまな形でメッセージは帰ってくる。
テレビタレントでは無く「お笑い芸人」であれば舞台も営業も当然仕事として存在する。
それともリンク先の批判記事はテレビタレントだけ想定しているのか。
よく判らないが...。

つまり、槙田氏が言う「ツッコミ高ボケ低社会」になったのではなく、技術が進歩したお陰で視聴者の意見がオープンに、そして出演者にダイレクトに届くようになっただけだ。

つまり“視聴者の意見がオープンに”と言う部分は正しいが“出演者にダイレクトに届くようになった”は違う。
今までも届いていたが、匿名からの批判が数が増し、そしてそれが第三者にも可視化された、とでも言えば良いかも知れない。

ネット大好きッ子と大阪の人が読むと失神するので…… と言いたいところですが、全体的に薄い内容なので、これで820円+税という価格は高いのでお勧めできません

ネット大好きな関西人の自分が読んでも失神はしませんでしたが、関西圏出身で無い人の方が素直に読めるかも知れない。
とはいえ、この批判してる人も関西人ではない(お笑い知識に関しても...)みたいですが(まぁリンク先下部が引っかかってベクトルかかったんかな?とは思うが)。
ツッコミだのボケだのっていう言葉で「おおらかに生きようぜ」っていうメッセージを表現した人生指南書みたいな。薄い本だし、確かに820円はなかなか高級。
まぁ某150万円が云々とか読むならこっちの方が良いと思うけどw

わーわー言うとりますうちにお時間です。さようなら。


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ベタでもいいじゃん(いいじゃん)
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