西尾維新「悲痛伝」を読み終わった
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地球からの攻撃「大いなる悲鳴」により1/3の人口が失われた世界。
空々空(そらからくう)を主人公に据えた「悲鳴伝」の続編にあたる作品。
※以下、ネタバレばかり
序章
新書で500ページ超。
京極夏彦並みの分厚さで鈍器になるレベル。
「化物語」がセリフをメインに口頭の「言葉」で作られる物語だとすれば、こちらは描写で作られる物語。
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相変わらず感受性の欠片も無い冷徹な心理的に冷めた主人公空々空は、読者の感情移入を阻むし、だからといってロジカルに動くのかと思えば、感情があるかのように振る舞おうともするって言うめんどくさいメンタリティ。
無感情と言えば、ミスタースポックあたりを思い出すけど、スポックの方が余程人情味がある。
スポックは人間と交流するうちに人間の感受性を理解してたけども、空々空は終始感受性ゼロのまま。
この500ページを読み終わってまだ序章に過ぎなかった事実が一番驚き。
いまだスタート地点から、一歩も動いていないのだった
(第8話)
(終)
(悲惨伝に続く)
その通りだよwww
マリーセレスト号状態の四国を調査の為に降り立ったのに、500ページかけてやった事は
・うどん食って
・拷問受けて
・スカートを覗き込んで
・ロリ衣装をはぎ取って着込んで
....最後に名探偵の推理を披露。
そこだけは主人公らしい働き。
とはいえ推理と言うほどの推理は無いし、
四国の集団失踪状態は絶対平和リーグ(絶和)の人的災害ってのは解ったけども、
それにしても「魔法少女りすか」ん時は、長崎が魔法の国だったけど今回は香川県。
中国四国地方好きですね。
ムアコックのエターナルチャンピオンみたいにキャラが交流する世界も構築出来そう。
冗長
それにしても語り口が冗長。
「化物語」では、会話劇として第三者的(作者・神)目線の描写を排して「語り」を楽しむと言う側面があって、だから単純描写よりもわざと婉曲にしたり無駄な会話が多かった。「悲鳴伝」「悲痛伝」では、会話劇ではなく第三者的(作者・神)目線が中心に世界を構築するんだが、空々空の面倒な思考パターンをなぞって物語を展開させるので語り口は必然冗長になってしまってる。
途中で挫折する人も多そうで、これが四冊繰り広げられるんだから最終巻まで読破しきれる強者はかなり厳選されてるだろう。
それこそ四国で繰り広げられる脱出ゲーム並みに。
シネクドキ:提喩
メタファー:暗喩
パトス:熱情
なにかありそうな魔法少女のネーミングかと思わせておいてコラーゲンにパンプキン。
暗喩があるんだか無いんだか。
正義のヒーローと言う記号と、魔法少女と言う記号とは、意味性も存在も大きく異なる。
ヒーローは主観的な悪と戦う記号だが、魔法少女は必ずしも他者との戦いを必要とせず成立しうる。
絶和の魔法少女チーム「サマー」
他の魔法少女の存在は?
なぜ魔法少女なのか?
なぜ科学では無く魔法なのか?
その辺りは今後語られて行くのかな。
四国を支配するゲームのルールも
「外と連絡を取る」
「死ぬ」
くらいしか今のところ解っていないし、ルールをどう展開させるのかも面白い(ルールは魔法なのか科学なのか)。
それにしても誰が「悲痛」だったのかな?
では、この続きは六月に。
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