音楽を聴く。
その時に耳には複数の情報が一度に入ってくる。
ボーカルの声、ギター、ベース、ドラム、キーボード、スクラッチ、クラップ。
同時に処理できるほど人間の処理能力は残念ながら高くない。
さて、まず何を意識して聴くだろうか。
以前、バンプオブチキンのライブを観に行ったことがある。
既にバンプは人気もあって、よく覚えてないが付き添いか何かで行ったんだと思う。
毎月洋楽のライブに複数行きフェスもフル参戦してた頃の話。
観客は大半が女性。
ボーカルが歌ってる時はキャーキャー言い、間奏になると観客が大人しくなる。
その時感じた違和感は未だに覚えてる。
先日、ももクロを観に行きあの感じを久々に感じた。
ももクロはコール(合いの手)があるからあまり感じていなかったが、5THの新曲でよく判った*1。
ツイッターでやり取りをしていて、思った
「ももクロは洋楽をよく聴く人の方がハマるんじゃないだろうか?」
ももクロの歌は、特段上手いってわけじゃない。
下手ではないが上手くも無い。
百田夏菜子の歌い上げるとこは、ツボだったりするけどそこはこの際置いておく。
多分、多くの人がももクロのCDを聴いたとしてまず意識を向けるのは歌だと思う。
そして
「んー、別に上手いわけじゃないなー」
そんな印象で終わる。
そこで聴き終われば感想は
「ももクロ?んー、いまいちかなー」
になる。そりゃそうだ。
歌しか聴いてないからそんな感想になる。
聴いたつもりでも本質的には聴いてはいない。
I Don't Speak English
洋楽を聴く人は英語を話せるわけじゃない。
実際、ウチのiTunesは1万曲近くが英語詞だが英語は全然話せない。
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅべりーうぇる。
でも聴いてる。
何を聴くかと言えば音を聴いてる。
音を楽しむから「音楽」だから。
洋楽を聴かない人がよく言う
「英語の歌詞は判らないから」
そりゃそうだ。
オレだってそうだもの。
でもボーカルの歌も楽器の一つと捉えて曲に耳を傾けてみる。
「歌」だけを意識して聴くんじゃない。
ギターやベース、ドラム。
そして最後に歌。
全部を一つの音楽として聴く。
歌詞の意味が判らないからそれは言葉では無く認識は楽器の音と同じ*2。
するとその曲が違って聞こえる。
洋楽を普段から聞く人は、脳がそういう指向になっているんだと思う。
歌詞の意味が判らなかろうが聴いて、意味を知りたければ後で調べる。
脳の中での優先順位を判り易く書くと、邦楽の一般的な聴き方って
歌詞≧歌>曲
だと思うけれど、
洋楽を聴く人の聴き方(洋楽脳)って
歌=曲>歌詞
じゃないかって思う(多分)。
ももクロのトラックの出来はBAR*3の頃から異常に高い。
5TH*4に到っては
「なんてトンデモナイもんを造ったんですかあんたがたはっ?!」
てのが素直な感想。
ヒャダインの音の作りはホント変態。
だから洋楽脳に向いてる。
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実践編
以下で自分が普段洋楽を聴くようなイメージで書いてみる。
(実際聴きながら以下を読むと判るかと思うんですが...)
まず歌の後ろにいるトラックを最初に意識する。
歌詞の中身とか歌とかはひとまず置いておく。
歌以外に集中し、意識を向ける。
すると複雑に重なったトラックのリズムを構成するハイハットとスネアの切り替えや合い間にクラップ*5が盛り込まれているのが判る。
ギターは自己主張を強めて鳴り響き、歌声と主張を競い合う。
歌詞の意味を飛び越えて、一体となった音圧が跳び込んでくる。
メロディラインとリフ。
Aメロ、Bメロ。曲の構成を意識して考えながら聴いてみる。
ホントにトラックが気持ちいい。
ダブステップっぽい打ち込みにいななくギターは鳥肌が立つ。
そして次に歌に意識を向ける。
歌詞の意味じゃ無く、声の音そのものに意識を向ける。
それぞれのソロパートやコーラス、ユニゾン、パートの割り振られた意味。
それぞれの力量と、歌唱法の変化。
今、この部分をソロで歌わせるってどういう事だろうか。
あーりんの声は伸びが無いけど(あえて)ソロパートが多かったり、
ソロならかなこが当然一番上手いし、
しおりんとれには声質が似てるけれど、
ももかの歌い方のクセを外して喉への負担を軽して、
でもこの歌い方ってロックオペラをイメージしてるのかな。
とか色々思いつく。
歌詞の意味はその後に考える。
曲を書いてる人、歌詞を書いてる人、歌う人、全て違う訳だから。
要素は一つに見えて必ず複数が重層的になってる。
次はアルバム全体の構成に移る。
曲順や何やら全部ひっくるめた総合的な世界観も当然気にして作られてる。
アルバムなんだから。
ただ単に曲を詰め合わせにしたわけじゃない。
だから曲を何パートかに別けて考えてみるとそこに風景が見えたりする。
あれ?この辺は旅立ちとか多いかな?
この辺はそのまま日が暮れたイメージ、で夜が明けるのかな、とかね。
とするとこれは全体が一つの物語を...。
だから一回聴いて終わるなんてとても無理。
何度も何度も聴く。
そして未だに聴き終ってない(笑)
だから買ってからずーっと毎日聴いてる。
ジェイムズ・ブレイクなんて二回くらいしか聴いてないのに*6。
モノノフとコール
個人的にですが、
だからライブでのコールはあまり好きじゃない。
アイドル応援の伝統芸なのは判るけど。
単純にモノノフの声でトラックが聴こえない。
モノノフはももクロの歌と踊りを見に聴きに行くからコールで良いけども。
歌の合間に、あるいは歌に重ねて
「みんなのいもうと、しおり~ん!」
なんてペンライト振りながら叫んでる。
でもね、ももクロのライブでの音が聴きたいんだよ。
コールをしに行ったり、モノノフの声を聴きに行ってるわけでもないけど...。
まぁ、コール是非論を云々言うつもりはないので、その辺は置いといて(笑)
毎日こんだけももクロネタを投下してると
熱狂的なモノノフに思われそうだけれど、
ももクロを個人的に評価しているのは「アイドル」ももクロでは無く、
「ももクロ」を構成するため優れた変態みたいなサウンドを作る周囲の力と、
その提供された楽曲を精一杯の力で表現してみせる5人の素晴らしさ。
それを評価してる。
だから他のアイドルには、全然興味がわかない。
グッズ買い漁って、キャーキャー言って
「しおりんはオレの嫁」
とか言うほど若くも無い。
そんなに夢中になれるなら羨ましいが...。
それにTシャツのデザインは元ファッションクラスタ的には無理なレベル。
んー、無理ゲー。
あとモノノフの方と、音の作りとかについて話した事ない。
TWITTERなんかで見てると、会話のメインになる
「しおりんかわいいよねー」
「ももかのブログ読んで泣きそうになったわ」
「かなこはオレの嫁」
そーいう会話は無理っす*7。
うーん...みんな若いよねー*8。
まとめ
...で、話を戻しますが。
洋楽リスナーの脳はそんな風に音楽を聴いてるんだと思う。
意識無意識あると思うけど。
だから歌だけを聴いて満足してしまうんではなく、
まず異様なトラックを意識してしまうとハマる傾向が強いよね、って思う。
なので先日書いた
・洋楽好きの友だちへ、ももクロをおススメするにはどういうトークが良いか考える
って記事はそんなに的外れじゃなかったなーと思う。
世界のももクロナンバーワン
よく言う言い回しだけど、今のモノクロの音は世界に持って行っても評価されるレベル。
(たまに海外行ってるけど、そーいう事じゃなく本格展開ね)
言葉じゃなく、音のクオリティが高いんだから言語は関係ない。
サングラスかけた小太りオヤジのカウボーイダンスよりよほど出来は良い。
まぁ、ここまで変態チックな情報量鬼レベルトラックを解ってもらうのは大変ですが。
結局受けやすいのはバカでもわかる単純な音だし...*9。
PS:
そういえば少し書いておきたい事がもう一つ。
先日の西武ドームで規制退場中に係員を殴って帰ろうとしたやつがいたり、モノノフのマナー問題が色々言われ始めていて。
例のしおりんの一件もそうですよね。
ああいう事件は、聞いてて悲しくなる。
ホントにくだらない。
人が増えるって言うのはそういう人間も入り込んでしまう。
きちんと自分が食べた分のゴミを抱えて帰って行くモノノフの方も見かけたし。
全体が悪いって訳ではもちろん無い。
自浄作用でモノノフのマナー向上を訴える方もいらっしゃいますし、
【拡散希望】モノノフのマナーが悪くなってきたと思います。そこで僭越ながら『モノノフマナー向上委員会』を発足しました。活動内容はまだ未定でメンバーもいませんが頑張っていきます。賛否両論あると思いますがよろしくお願いします。 twitter.com/mmczoh51/statu…
— シンタロスさん (@mmczoh51) 2013年4月16日
これからどうなるか判りませんが応援したいなと思います。
ま、おじいちゃんなのであまり現場に参加は出来ないですけど(笑)
これからも楽しくももクロちゃんを応援しましょう、モノノフさん方。
最後までマナーを守って楽しく。
周りから見ればマナーが良くても悪くても全部モノノフで片づけられてしまう。
家に帰るまでがモノノフの戦いですから。
【関連記事】
・メタルとモノノフとの会話
・プロレス好きの友だちへ、ももクロをおススメするにはどういうトークが良いか考える
明日フラゲできるかな...。
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