滅菌消毒された「クールジャパン」にオタクは存在しない

・クールジャパンを世界に発信する--経産省が手掛ける官民出資の新会社の狙い/CNET
http://japan.cnet.com/interview/35031364/


※クールジャパンは本来広義ですが、ここではオタク文化、コンテンツに限定したクールジャパンについて取り扱います

村上隆


うさんくさい...。
過去、村上隆がオタク文化をカリカチュアライズして、
自分の作品をアートとして発表し評価されるに至り、
「これってイケてるでしょ?今まで地下でオタって言われたものをボクが表舞台に引っ張り上げたんだよ」
ていう展開がオタクにとって
「お前がオタクの代表でもないクセに何さまだ?アート? (#゚Д゚)ゴルァ!!」
さんざ燃え上がるハメに陥り
「オタク文化で搾取しやがった」
と揶揄された顛末を思い出す。

参考:村上隆「一つ言わせてください」/togetter

勘違いなのは村上隆を揶揄するオタクはクリエイターでは無く消費者なのに。
視点が違うのにクリエイターの意見を吐くからそこに齟齬は存在し続ける。
オタクがアート化していくとか言われても。
クリエイターは知らんが、少なくともオタク消費者はそんなもの望んでもいない。
アートの文脈とオタクの文脈は違うしそこを交流させたいとも何とも思ってない。
オタク文化なんてハイテクスト極まりない。


相手との交流でそこそこの距離感を保つように「オタク」と呼び合うからこそ「オタク」が語源なわけでしょ?(Wikiは中森明夫説が書いてあるけど)
オタク同士のその距離感。
ハイコンテクストを翻訳してアートに昇華しようとした。
いや、誰が頼んだそんな翻訳?
ジャーゴンで充分だ。
こんなだからカオスラ周辺のきな臭い流れが発生する事になる。
とはいえ上記に貼ったのは2010年頃の発言で最近は...

あぁ、変わってないわ(笑)
最近の村上氏がオタク界からどんな風に捉えられてるかの実情も知らない。


――最近は、政府による「クールジャパン」の政策を批判しています。

アホですよ。アホすぎて話にならない。今や、官僚になっていく人材も地盤沈下を起こし、憐れなグダグダな失態を世間に晒しています。ネットに上がっていた「クールジャパン」のビジネスストラクチャーのマトリックス図は、大学生のレポート以下でした。そんな複雑で可能性の低い事業に税金が使われていく様は、数十年前の原発村の起源発生を見るようで、虫酸が走ります

http://news.nicovideo.jp/watch/nw454270


そんな複雑なことはしないで、集英社、小学館、講談社のビック3をまとめあげ、東京に世界に冠たる、漫画博物館を造るべきです。ビック3をまとめあげるというまとめ方に、特別免税制を敷いて、美術館制作を民間に一時任せる。「ロード・オブ・ザ・リング」を造ったときのニュージーランドのとった政策にアイデアをもらっています。つまり、ハリウッドからの資金には課税せず、すべてを製作費に回したという離れ業。そのために、ニュージーランドへの観光旅行は増え、かつ、今やニュージーランドはハリウッドを超えるクリエーティブなスタジオを保有するにまで激変しました。そういう離れ業を行えるのが官ではないかと。今回の「クールジャパン」のファンドの旗振りはナンセンスです

http://news.nicovideo.jp/watch/nw454270

最近、竹熊氏が荒ぶってる辺りの話になりそうなので触れたくない(めんどくさそう)んだが、それにしても
東京に世界に冠たる、漫画博物館を造るべきです
あぁ、それはそれは。
実にクールだ(棒読み)。


クールジャパンの胡散臭さ


クールジャパンを気持ち悪く感じるのは、
そもそもクールでもなんでもないオタク文化を、海外に向けて発信する際に無理矢理実態の伴わない「クール」という冠をつけようとするからだろう。
ギークだ、オタクだ。
「クールジャパン」だの「国際ポップカルチャー特区」だのネーミングセンスの時点でオワコン臭しかしない。
海外が求めてるオタクカルチャーは綺麗な額縁に飾られたものなのかな?
クールジャパンはオタクカルチャーと言いながらそこにオタクは存在しない。
輸出するために、カルチャーの周りにたかるオタク菌を洗浄し滅菌処理して排除し「クールジャパン」って瓶に詰め込んだもの。
かつて村上隆がオタクの「文化」のみを純粋培養してアートとして海外に紹介し、そんなオタクを知らない文化圏の人間が「なんだこれは?!」と驚いてる間に
「どうだ?!これが日本のオタクのカルチャーだ!イケテるんだ!素晴らしいんだ!アートなんだ!ウリリリリリリリィィィ!!!」
とばかりに評価を決定づけ売り抜けたように。
オタク文化がアートに昇華してんだか何だか知らないが、そこにハイコンテクストな文脈は見えない。
見えないからこそ高値で「オタク」アートは取引される。
村上隆作品の向こうに本来のオタクである筈の「お前ら」は見えない。
そしてクールジャパンにも「お前ら」はいない。
ギークでユースなカルチャーのオタク文化がいつの間にか大人の手に渡った。
実態の伴わないオタク文化を海外に向けて大人は提示しそれを誇らしげに
「これが日本のコンテンツ力、クールジャパンなのだ!」
とばかりに掲げようとしてる。
だから「お前ら」は胡散臭さしか感じない。
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クールジャパンには痺れないし憧れない。
ゲロ以下のにおいがプンプンする。

海外がクールジャパンをクールと思うかどうかなんて知らない。
「お前ら」からすればクールジャパンなんて寒々しいだけ。
それを村上隆が批判するのもブーメランでしかない。
ライターの長谷川町蔵が「サブカルクソ野郎」とか言ってたけどこの辺が入るのかな?
知らんけど。


裏面史


かつて宮崎某の犯罪によってオタクは蔑まれ、疎まれた。
腫れ物に触るかのように忌まれた。
ミンキーモモ、クリーミーマミ、ガンダム、ヤマト...。
キモっ。
宅八郎「お前ら」のアイコンとしてテレビに登場しキモがられる事でオタクのイメージは一般にも定着し、オタクという存在は周知のものとなり、しかしリア充天国なバブルの影で「お前ら」は、淡々と自分の世界に籠もりコンテンツを消化し続けた。
しかし世間が不況になり、リア充どもは一気に落ちぶれた。
消費は落ち込み不景気のスパイラルに入る。
ところがひたすらコンテンツの消費に明け暮れたオタクには不景気の波も関係なかった。
そこで電通みたいな金儲けに目が無い連中が動き始める。
「お前ら」はコンテンツになら金を払う。
不景気で飯が食えなくも服が着れなくても円盤に金を払う「お前ら」
電車男やノマネコ、初音ミクけいおん、エヴァ。
どんどん表舞台に上げられる。
オタクの生み出すコンテンツが金になる事が判り大人がたかりはじめる。
そして安定して市場がある金づるだと判ったオタク市場は日本の裏面史から表舞台に上がる事になった。
そして今度はその文化を世界に売りつけようとしている。


クールジャパンは結構だがそこにオタク文化は入れないでくれないか。
オタクから切り離されたオタク文化は、オタク文化ではもはやない。
B級グルメでも美しい国日本でもなんでもいい。
売り込むなら勝手にやっとけ。
しかし勝手にオタク文化を売るんじゃねぇよ。
その中に「お前ら」オタクはいない。


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