感覚の隔絶とネットジャイアニズム

昨日、
「バクマン。がおそろしい一つの理由」を読んだけど必要ないから書いてないだけじゃね?
記事を書いた。
中身を簡単に言えば
「どうしてバクマンにコミケが描かれないのか?って言われてもプロのマンガ界を描くのにコミケはプロになる為の平常ルーチンに入ってないですけど?」
って言う事だったんだけど、考えてみれば時代も違うんだな。


作者がバクマンを書き始めたのは2008年。
小畑 健と大場つぐみは(一応謎だが)40~50代。
そういう世代にとって、同人誌書いてコミケで売ってみたり、て選択肢はあまり無い。
物語構造的な否定論は昨日書いたので割愛するが、実際、プロの漫画家になっている自身の経験で振り返ってもそこにコミケが無い事は容易に想像できる。
だって小畑健って在学中の手塚賞入賞が最初でしょ?...(Wikiを調べる)うん。

新潟県立新潟東高等学校卒。1985年、「500光年の神話」で第30回手塚賞準入選。
17歳でデビューし高校生の頃から絵が上手かったとよく編集者から言われている

小畑健/Wiki


自身の経験と重ねてるんだろう。
省略されてるのはだからコミケよりも
漫画家次原隆二にわのまことの下でアシスタント経験を積んだ後

小畑健/Wiki


ここだよね。
昨日も書いたけどバクマンは狭い世界での二軸の対立項を描きたいマンガだからそこにアシスタント時代を入れてしまうと速度が落ちる。
いらないものはいらない。
物語構造的にアシスタント時代の描写が必用か否かと言えばバクマンの目指す対立項には遠い。
だからアシスタントを経験せずそのままプロになってる。

コミケがあって当然の世代からすれば
「どうしてコミケ書かないの?まさか裏に陰謀が?!恐ろしい!!」
信じるか信じないかはあなた次第って言うユダヤ人の陰謀説に似たようなものも出てくるんだろうが、4~50代の人間からすれば多分当然の事だろう。年下のオレでもプロの漫画家を目指す話を書くとすればコミケを描くって選択肢は思い浮かばない。だって経験して来てないもの。
構造的にもいらない、ってのは昨日の記事に書いた。
コミケが今みたいに巨大化したのって何年前だっけか?
今なら当たり前のビッグイベントだろうけど。
大昔から当然のようにあったわけじゃあない。
f:id:paradisecircus69:20130508113255j:plain


ネットジャイアニズム


昨日っからパクリの話をしてて、その流れで思ったんだけれど、無料でネットに落ちててそれを拾って当たり前って言う感覚のズレってすげぇなあって言う。
【緊急記事】続・引用と剽窃は違うと思うぞ或いは独りでがっかりした話
こちらに書いたような
・他人の書いた文章でも使ってしまって構わない
そういう感覚と、
・自分の書いたものにプライド?何それ?美味しいの?
って言う感覚。
これって矜持とかそういう次元の話じゃなくって文化的に
「新しい曲なんてYoutubeから落とせばいいんじゃね?なんで買うの?意味がわかんね」
とか、


こういうのは多分どこかで隔絶してる気がする。
理解が出来ない。


ネットジャイアニズム(©RW2002MMC)とも呼べるこの
「誰かのモノはオレのモノ、おれのモノはオレのモノ」
を当然とする世代と、著作権や権利を考えてしまう世代と、しかしインターネットの上では差も無く同等に存在して交流もしてる。
本来ならインターネットであれデータであれ、法的にそこは取り締まられねばならないところが、整備が遅れ(する気も無いのか有名無実に)いかにも日本的文化圏でハイコンテクストな「なぁなぁ」の元で許されてきたことが当然になっている世界で、ディスコミュニケーションが産まれるのも仕方ないのかも知れない。
「法的にダメな事なんだぞ!」
と言ってみたところでなんの実行力も無く、現実の存在からしてみればせいぜいアカウントが消されるだけ。
・twitterへの発言による逮捕(書類送検)者
あれだけバカが溢れるTwitterでさえこの程度。
法的に、なんて「先生に言いつけてやるぞ」程度の効力すら持たない。


では、こんな世界はこのまま続くのだろうか。
神林長平氏の「戦闘妖精雪風」の中に出てくる社会では、個人が扱う端末は全て管理下に置かれ、許可が無ければ端末が与えられずアクセスすらできない。
違法にアクセスすれば逆探知されて摘発される。
インターネットの自由を守れ、というのは聞こえも良いが、大した自浄努力も叶わず「法的に」なんて言葉が何の効力も発揮せず、違法な著作権無視やパクリが正々堂々と横行している「自由」なこのインターネットで「自由を守れ」と言っても説得力が無いのは仕方ないのかも知れない。
自由ってなんだ?
好き放題やる事なのかね?

「え?インターネットで勝手にダウンロード?昔はそんな事出来たんだ?」
そんな時代が来なければいいなぁ、と思います。
f:id:paradisecircus69:20130508113744j:plain

いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)
神林 長平

早川書房
売り上げランキング : 51872

Amazonで詳しく見る