映画愛が詰まった“荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟”

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荒木 飛呂彦

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荒木飛呂彦の映画好きはとても有名で前作「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」ではホラー映画に対する愛がたっぷり語られていたんだけども、今度はホラー以外のサスペンスやアクションと言ったジャンルの映画にスポットを当てて、荒木飛呂彦が映画愛を語ってる。
ジュラシックパークからシュレックまで。

荒木飛呂彦の漫画は実に映画的と言うか、カメラ(コマ割り)や演出が映画的で、映像的な切り取り方が多いのもこういう映画好きの影響が出ているんだろうけど。
それにしても荒木飛呂彦がもし映画紹介ブログをやってたら間違いなく読者になってると思う。
実に語り口が上手い。
下手な映画ライターがめんどくさくて回りくどい言い回しで映画を表現するのに大して荒木氏の文章は文字の間から愛が伝わって来る。実に楽しそうに映画を語ってる。
それが素晴らしい。
好きだから紹介してます。
好きだから書いてます。
だから漫画にも出ちゃうんですよね、映画好きだから。
キチンと監督の演出手法やメッセージを読み取って、それを自分の作品に取り込んでる。理解してなきゃ当然出来ないわけです。

セリフにもプロフェッショナリズムがほとばしっています。銀行を襲撃したとき、騒然とする銀行員や客に向かって、デ・ニーロが言い放つ言葉が、「騒ぐな。盗むのは銀行の金だ。お前らの金は盗まん」「家族の事を考えろ」「英雄ぶると死ぬぞ」。普通だったら「動くな。痛い目にあいたくないなら大人しくしてろ」でしょう。でも血気盛んな者が飛びだす恐れもあるので、家庭を想像させて行動を抑えようとする。この人間心理を計算し尽くしたフレーズに、「お前ら、やるな」とほくそ笑んでしまいます。

第一章 ベストオブベストは『ヒート』と『96時間』

“「お前ら、やるな」とほくそ笑んでしまいます”
こういう部分に映画の好きな荒木氏の「くぅ、いいねぇ」みたいな心理が表現されてる。
グッと来る男泣きのポイントとプロフェッショナリズム、そういう男臭い部分が好きなんだろうなぁ。
実際映画観ながら独り言言ってんだろうなぁ 笑
間違いなく。
それが伝わる。

ヒートは強盗のプロと刑事がプロとしてぶつかる作品で、デ・ニーロvsパチーノって言う名優競演で話題になったけど、映画好きにはそこまで評判の良くない映画。だけども荒木氏的にはそう言う「男がグッと来るプロvsプロ」って言う図式に惹き付けられて、そういう視点で愛が語られてる。
仕事でやってるんじゃなくってホント好きだから書いてる感じが伝わって来る。


荒木氏と個人的に趣味が似てるんだか九割くらいは知ってる映画で、「あー、確かにあれは面白かったよねー」「ふふふ、怖かったな、確かに」ってのが多いんだけど、たまに「ん?こんな映画あったんだ」って作品が中に幾つかあって、ついついiTunesでレンタルやって無いかなーとかAmazonでDVD買ったらどのくらいになるのかなーって読みながら調べてしまった。
実に面白そうに語るもんだから。
観てみたら全然だったりするかも知れないけど。
映画よりも荒木氏の語りの方が面白い可能性もある。
単にリストみたいに映画を挙げて語るって感じじゃなくて、色々引き合いに出したり自作の「〇〇の中でこれの手法を使ったんですけど」とかぶっちゃけてる部分もジョジョ好きにはたまらない。
承太郎はイーストウッドの影響受けてたのか、なるほどー。
薄い新書だけど、中身は濃くて愛が一杯つまった、そんな一冊。
面白かった。
ごちそうさまでした。

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