ドラゴンボールの戦闘力とヤンキーの武勇伝

小ネタです。
・「戦闘力・・・たったの5か・・・ゴミめ」という台詞は何故凄いのか/不倒城
http://mubou.seesaa.net/article/362571901.html
なんか(すでに)懐かしい話を不倒城さんが書いてたので反応しとく。
一時期ドラゴンボールのバランス感覚について話題になっててその時にもこのスカウターでの見える化と言うのは出ていた話。
ウチでも何か書いたっけ...。


フィクションにおいて、作者が読者に対して
「こいつはすごいんだぞ」
「こいつはこのくらい強いぞ」

って言うのを見せるにはテクニックが必要で、例えば不良ものなら
「あいつは○○高校の××に勝った」
みたいな「XXvs△△」っていう過去の戦績を示す事で「こいつは強い」事を示したり、
武勇伝武勇伝って言う風に過去の武勇伝を語る事で「こいつはこんなにヤバいんだぜ」って事を設定する。

カイザー・ソゼ。彼はトルコの自宅でハンガリー人たちに襲われたとき、人質に取られた妻と幼い子供を前に、鉄の意志を示すため、容赦なく自ら妻子を殺したのだ。当然ハンガリー人も殺したが、怯えた一人は逃した。
だが、ソゼはその後、ハンガリー人の親戚を全て殺すことになる。彼らに繋がりのある人間をも殺しまくった。
その後、カイザー・ソゼは消えた

Usual Suspects



例えばガンダムの二話

マーカー「一機のザクは通常の三倍のスピードで接近します」
パオロ 「シャッ、シャアだ!あ、赤い彗星だ!!」
ブライト「は?艦長、何か?」
     「ええっ!赤い彗星のシャア?」
パオロ 「ルウム戦役で五隻の戦艦がシャア一人の為に撃破された。…に、逃げろ」

通常の三倍
ルウム戦役で五隻の戦艦がシャア一人の為に撃破」

この過去の武勇伝で「シャアってのはこんなにすごいんだ」が判るように出来てる、仕組まれてる。
しかも赤い彗星なんていう通り名まで付いてる。
ヤンキーもので言えば「犬殺しの太田」みたいなもんですよ。


ドラゴンボールが「戦闘力」と言う概念を持ち込むことで各キャラクターの強さを一目瞭然にした、って言うのは確かに素晴らしい。
でも「見える化」という面で言えば、昔からあった事で。
ウルトラマンのカラータイマーが点灯する事で活動限界の見える化。
3分っていう活動限界を付ける事で無制限の強さを抑制して理由づけにした。Wikiから引用すると

カラータイマーと変身時間の制限は、撮影費用のかかる特撮部分の経費削減のため、およびウルトラマンが完全無欠のヒーローでありすぎると話に面白みが欠けるので、子供にも判りやすい弱点を作ろうということで導入されたといわれている

同じジャンプで言えばキン肉マンの「超人強度」って言う概念も数値化・見える化。

この見える化というのは便利な反面応用の効かなさもあって
「スーパーサイヤ人になると戦闘力が上がって」
界王拳を使うと悟空のパワーが」
スーパーサイヤ人2、スーパーサイヤ人3、スーパーサイヤ人4...。
数値は上がって行かざるを得ないが途中スカウターが壊れる。
では、なぜスカウターを数億でも数百億でも計れる設定にしなかったのか?


でもスカウターは壊れた


悟空はスーパーサイヤ人の時点で1億5千万らしい(Wiki参照)。
つまり戦闘力によって「こいつは強ぇんだぜ」っていう理由づけの明確な見える化としてスカウターを使ってたんだけども、サイヤ人になった悟空を計って壊れてしまう。
これで
「フリーザの戦闘力53万は計れるのに悟空のは無理なの?!」
って言う比較の演出が可能になる。

このスカウターの壊れた事実は、
「強さは計れるもんじゃない」
という逆説に繋がってる。
サイヤ人は戦闘力が変化する。
つまりスカウターを付けた悪役が「なんだ、ザコかよ」とバカにしていたのにものすごく強くなってやられる、という展開に繋がり
「戦いは数値に頼るんじゃねぇよ!強さは気持ちだ!」
っていういかにもジャンプらしい信念がそこに見える。
「友情」「努力」「勝利」
そこに数字で計ろうなんてものは無い。
ざっくりとしたマッチョイズム。
まぁ、戦闘力を突っ込んでいくと色々と...
ドラゴンボール戦闘力 究極考察への手引き


キン肉マンは、確かに超人強度を持ち込んだが、数値だと「火事場のクソ力」などで安易に強さが変化したりするし、そこで強さの意味を数値では無く「悪魔超人」「完璧超人」といったブランド分けをする事で強さを表現してみせた。
普通の超人では無く「悪魔超人」だから強い。
理由になってるんだかなってないんだかよく判らないが、つまりそういう看板をくっつける事で「こいつは強い」を表現した訳だ。
競馬の血統主義みたいに「オヤジが○○だから強い」っていう看板。
それと似た事。
悪魔超人だから。
完璧超人だから。
ギャラクティカマグナムと叫ぶからパンチはすごい。
「あ、あれは48の殺人技の1つ!」って言うからすごい伝説な技なわけで。
ブロンズよりシルバーの方が希少だし、ゴールドの方が更に希少だから強い。
でも魂や精神や勇気は、数値やブランドを越える。
コスモが燃えるから看板やブランド、数字も関係ない。
食らえ!ペガサス!彗星拳!!!!
ってな具合。


アムロが乗ってるから、ニュータイプだから、キリコが乗ってるから、パーフェクトソルジャーだから。
1000マンパワーだから、戦闘力5だから。
理由づけの形式を探って言うとなかなか面白いかもですね。
(体調が悪いからこんなもんで勘弁してくれという、これも理由づけ)


関連過去記事:
『ドラゴンボール』に本当にバランス感覚があったのか?